ラングドック・ルーションのエクセレント対策として、本記事では、地図は原語表記、各AOPの詳細説明を追加しました。
ラングドック・ルーションの概要
特徴
南部、地中海沿岸のワイン産地。AOCワインも増えているが、中心はIGPワインである。
歴史
水代わりに飲まれる低廉な大量生産のワインであったが、80年代から品質の追求かじを切った。
文化・経済
ガールの水道橋など古代ローマの遺跡が多数ある。カルカソンヌの城塞土地は世界遺産に登録されている。
地理的条件
地図
気候
- 一様に地中海性気候
- 内陸部は大西洋の影響受ける
土壌
海沿いは砂質、石灰質、粘土質。山側はシスト、泥灰岩など。
主要ブドウ品種
No | 白ブドウ | 黒ブドウ |
---|---|---|
1 | グルナッシュブラン | グルナッシュ |
2 | ヴェルメンティーノ | ムールヴェードル |
3 | ブールブーラン | シラー |
4 | モーザック | カリニャン |
5 | ピクプールブラン | サンソー |
地元料理
地元料理 | 説 明 |
Cassoulet | 肉と白隠元の鍋焼き |
Brandade de Morue | 干し鱈の練り合わせ |
Gardianne de Taureau | カマルグ名物の雄牛の煮込み |
Olives de Nîmes | AOP認定オリーブ |
Pèlardon | AOP、山羊乳、シェーブル |
主要AOC
ラングドック地方
Corbieres
【特徴】
ナルボンヌからカルカソンヌまでの広域AOC。
赤は2品種以上使用し、主要品種は1つ含ませる。主要品種は40%以上、1品種のみが80%を超えてはならない。白も2品種以上、ブールブーランを除く主要品種を1つ含み、40%以上を占めなければならない。
【気候】
地中海性気候、西部は大西洋の影響を若干受ける
【土壌】
シスト、砂岩、石灰岩、泥灰岩
【主要ブドウ品種】
<白ブドウ> :
主要品種:ブールブーラン、グルナッシュ・ブラン、マカブー、マルサンヌ、ルーサンヌ、ヴェルメンティーノ
<黒ブドウ> :
主要品種:グルナッシュ、レドネール・ブリュ、ムールヴェードル、シラー
補助品種:カリニャン、サンソー、ピクプール・ノワール、リヴェレンク、テレ・ノワール
Saint-Chinian
【特徴】
1982年にAOC昇格。
赤とロゼはグルナッシュ、レドネール・ブリュ、ムールヴェードル、シラーを主要品種とし、補助品種にカリニャン、サンソーが認められている。醸造においては2品種以上を使い、1品種が80%を超えてはならない。レドネール・ブリュを除く5品種が全体の50%以上を締める必要がある。
白はグルナッシュ・ブラン、マルサンヌ、ルーサンヌ、ヴェルメンティーノを主要品種とし、カリニャン・ブラン、クレレット、ヴィオニエが補助品種として認められている。ルーサンヌは必須、主要品種を2種以上使用する規定がある。
地理的名称付きのAOCは2つ
「Saint-Chinian Berlou」
「Saint-Chinian Roquebrun」
【土壌】
北部がシスト、南部が石灰岩。
【主要ブドウ品種】
<白ブドウ> : グルナッシュブラン、マルサンヌ、ルーサンヌ
<黒ブドウ> : グルナッシュ、シラー、ムールヴェードル
Faugeres
【特徴】
1982年にAOC昇格。
赤とロゼはグルナッシュ、レドネール・ブリュ、ムールヴェードル、シラーを主要品種とし、補助品種にカリニャン、サンソーが認められている。醸造においては2品種以上を使い、1品種が80%を超えてはならない。レドネール・ブリュを除く5品種が全体の50%以上を締める必要がある。
白はグルナッシュ・ブラン、マルサンヌ、ルーサンヌ、ヴェルメンティーノを主要品種とし、クレレット、ヴィオニエが補助品種として認められている。ルーサンヌは必須、主要品種を2種以上使用する規定がある。
【土壌】
シスト土壌
【主要ブドウ品種】
<白ブドウ> : グルナッシュブラン、マルサンヌ、ヴェルマンティノ
<黒ブドウ> : グルナッシュ、シラー、ムールヴェードル、カリニャン、サンソー
Minervois
【特徴】
1985年にAOC認定。
赤は醸造は2品種を使用し、主要品種を含み、補助品種で50%以上、1品種で80%を超えてなならない。白は主要品種の合計が80%以上。ミュスカは全体比率の10%以下。
赤ワインは長期熟成能力を備えている。
【気候】
【土壌】
小石、砂岩、シスト、石灰岩
【主要ブドウ品種】
<白ブドウ> :
主要品種:ブールブーラン、グルナッシュ・ブラン、マカブー、マルサンヌ、ルーサンヌ、ヴェルメンティーノ
補助品種:クレレット、ミュスカ・ア・プティ・グラン、ピクプール・ブラン、テレブラン
<黒ブドウ> :
主要品種:グルナッシュ、レドネール・ブリュ、ムールヴェードル、シラー
補助品種:カリニャン、サンソー、ピクプール・ノワール、リヴェレンク、テレ・ノワール
Limoux
【特徴】
カルカソンヌの南。オード県41の村のAOC。
発泡性ワインに始まり、いろいろな規定の変更を重ね、樽発酵が義務付けられたり、2004年に赤ワインの規定が加わったりした。3品種以上をブレンドし、メルロの比率は45-70%。補助品種は20%以上。CF,CSは単独で35%以下と規定されている。
AOCの起源となる発泡性ワインがある。
「Limoux methode ancestrale」「Limoux Blanquette de Limoux」
の記載を認められるワインもある。
【気候】
地中海性気候+大陸性気候
【土壌】
小石を含む粘土石灰質
【主要ブドウ品種】
<白ブドウ> :
主要品種:シャルドネ、シュナン・ブラン、モーザック
補助品種:
<黒ブドウ> :
主要品種:メルロ
補助品種:コット、グルナッシュ、シラー、カベルネ・フラン、カベルネ・ソーヴィニヨン
Fitou
【特徴】
1984年にAOC認定。沿岸部と内陸部の2地域となる。ラングドックでは最南端である。
【主要ブドウ品種】
<黒ブドウ> :
主要品種:カリニャン、グルナッシュ
補助品種:ムールヴェードル、シラー
Cabardes
【特徴】
カルカソンヌ北西、1999年にAOCに認められた。
大西洋からの風と地中海からの風を受ける。ぶどう品種もボルドー系と南仏系が混在する。
【土壌】
斜面は石灰質の小石、高地は花崗岩、シスト、片麻岩
【主要ブドウ品種】
<白ブドウ> :
<黒ブドウ> :
主要品種:カベルネ・フラン、カベルネ・ソーヴィニヨン、グルナッシュ、メルロ、シラー
補助品種:サンソー、コット、フェール
Malepere
【特徴】
2007年にAOC昇格。
【土壌】
粘土石灰質、砂利質の段丘、砂岩質土壌
【主要ブドウ品種】
<白ブドウ> :
<黒ブドウ> :
主要品種:メルロ
補助品種:カベルネ・フラン、コット、カベルネ・ソーヴィニヨン、サンソー、グルナッシュ、レドネール・ブリュ
Roussillon
Collioure
【特徴】
バニュルスで酒精強化されない白、赤、ロゼに1971年にAOCが認められた。VDN前のスティルワイン。力強い赤ワインが造られる。
【主要ブドウ品種】
<白ブドウ> : グルナッシュブラン、グッルナッシュグリ、マカブー
<黒ブドウ> : カリニャン、グルナッシュ、ムールヴェードル
Banyuls
【特徴】
1936年AOCに認定。天然甘口ワインの産地である。
【各種規定】
Ambre:
果皮と果汁を発酵前に引き離し、最低3年の熟成の義務化。
品種:グルナッシュ・ブラン、グルナッシュ・グリ、マカブー、トゥルバ。補助品種はマルサンヌ、ミュスカ・ア・プティ・グラン、ミュスカ・ダレクサントリー、ルーサンヌ、ヴェルメンティーノ、カリニャン・ブラン
Blanc:
果皮と果汁を発酵前に引き離し、少なくとも収穫翌年の5月1日まで還元熟成
品種:グルナッシュ・ブラン、グルナッシュ・グリ、マカブー、トゥルバ。補助品種はマルサンヌ、ミュスカ・ア・プティ・グラン、ミュスカ・ダレクサントリー、ルーサンヌ、ヴェルメンティーノ、カリニャン・ブラン
Rimage:
果皮と果汁を発酵前に引き離す前に酒精強化し、少なくとも収穫翌年の5月1日まで還元熟成
品種:グルナッシュ、補助品種はカリニャン、サンソー、クノワーズ、グルナッシュ・グリ、ムールヴェードル、シラー
Traditionnel:
発酵中マストと果皮を絶えず醸し、最低3年の参加熟成を行う。
品種:グルナッシュ・グリ、グルナッシュ。補助品種はカリニャン、サンソー、クノワーズ、ムールヴェードル、シラー
Rose:
果皮と果汁を発酵前に引き離して造る
グルナッシュ・ブラン、グルナッシュ・グリ、、グルナッシュ、マカブー、トゥルバ。補助品種はマルサンヌ、ミュスカ・ア・プティ・グラン、ミュスカ・ダレクサントリー、
5年以上熟成させたアンブレやトラディショネルには「Hors d’age」の表記が認められる。
Banyuls Grand Cru
【特徴】
バニュルスの上位AOCとして、1962年にAOCに認定。オーク樽で30ヶ月以上の熟成が必要である。赤の天然甘口ワインに飲み認められる。
【主要ブドウ品種】
<黒ブドウ> :
主要品種:グルナッシュ・ブラン、グルナッシュ・グリ、マカブー、ミュスカ・ア・プティ・グラン、ミュスカ・ダレクサントリー、
補助品種:カリニャン、サンソー、クノワーズ、グルナッシュ・グリ、ムールヴェードル、シラー
Grand Roussillon
【特徴】
リヴザルトと同一エリアに置いて造られる天然甘口ワイン(赤、ロゼ、白)のAOCで、熟成期間が3年のもの(収穫から3年目の9月1日まで熟成)。熟成によりランシオ香が生まれたものは「Rancio」が表記できる。
【主要ブドウ品種】
<白ブドウ> : グルナッシュ・ブラン、グルナッシュ・グリ、マカブー
<黒ブドウ> : グルナッシュ、マカブー、トゥルバ
酒精強化ワイン
No | 白ブドウ | 黒ブドウ |
---|---|---|
1 | グルナッシュブラン | グルナッシュ |
2 | グルナッシュ・グリ | |
3 | ミュスカブラン | |
4 | マカベオ | |
5 | マルヴォワジー |
VDN(Vin Doux Naturels)
発酵途中にアルコールを添加し、発酵を止めてしまいます。糖が残った状態で発酵が止まるので、甘口に仕上がります。(高アルコール状態の中では、アルコール発酵酵母が死滅していきます。)
アルコール最低含有量:15%
主な産地
・フロンティニャン
・バニュルス
・モーリー
・リヴザルト
・ミュスカ・ド・ボーム・ド・ヴニーズ
・ラスト―
・ミュスカ・デュ・カップ・コルス
VdL(Vin de Liqueur)
発酵前の果汁にアルコールを添加します。ぶどうジュース+アルコールなので、甘口に仕上がります。
アルコール含有量:15~22%
主な産地
・フロンティニャン
・ピノ・デ・シャラント
・フロック・デ・ガスコーニュ
(以上)
【2019/2020 日本ソムリエ協会教本】(日本ソムリエ協会)
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