チリのワイン

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チリは、日本の売り場でもっともよく見かけるニューワールドの一つで、「安くておいしいワイン=チリ」というイメージがすっかり定着しています。 一方で、試験範囲としては歴史・地理・ワイン法・主要産地と、覚えるべき情報は決して少なくありません。

この記事では、J.S.A.ソムリエ/ワインエキスパート一般呼称試験を想定し、「まずどこから覚えるか」「どこまで踏み込むか」を明確にしながら、チリのワインを体系的に整理していきます。

赤のカベルネ・ソーヴィニヨンとカルメネール、冷涼産地の白・ピノ・ノワール、そしてD.O.名とブロックごとの地理を軸にすれば、暗記に頼りすぎずに得点源にできるはずです。

目次
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学習のポイント(一般呼称向け)

第1ステップ:チリ全体像と「なぜ安くて高品質か」

  • 南北に細長い国土、東のアンデス山脈・西の太平洋(フンボルト海流)、乾燥した地中海性気候という「ブドウ栽培に理想的な条件」をまず一枚のイメージにまとめます。
  • 次に、「フィロキセラの被害を受けなかった」「土地・人件費が比較的低い」「大規模生産が可能」といった理由から、チリワインが世界的にコストパフォーマンスに優れる産地になった流れを押さえます。

第2ステップ:歴史・ワイン法・主要品種をざっくり固める

  • 歴史は「16世紀スペイン人の布教(パイス)→19世紀のフランス品種導入→20世紀後半〜輸出拡大・プレミアム化」という3段階で把握すると整理しやすくなります。
  • ワイン法では「ヴィティス・ヴィニフェラ100%」「補糖禁止」「表示75%ルール(EU向けは85%基準)」というキーワードを優先的に覚えましょう。
  • 品種は「赤:カベルネ・ソーヴィニヨン+カルメネール」「白:ソーヴィニヨン・ブラン+シャルドネ」「伝統品種:パイス」を中心に、役割とイメージを押さえます。

第3ステップ:地理区分と主要D.O.を「縦×横」で覚える

  • 北から「アタカマ→コキンボ→アコンカグア→セントラル→サウス→アウストラル」と大きなブロックをまず順番で覚えます。
  • そのうえで、各ブロックの代表D.O.(リマリ/カサブランカ/マイポなど)を、「冷涼な白・ピノ向き」「力強い赤中心」といったスタイルとセットで覚えると、産地名の羅列暗記から抜け出せます。
  • 試験的には、「D.O.◯◯に属するサブリージョンはどれか」といった問題が頻出なので、教本の表を使ってリージョン→サブリージョン→ヴァレーの階層だけは整理しておきましょう。
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チリの概要

概要

チリは、南米大陸西岸に南北約4,300kmにわたって細長く伸びる国で、東をアンデス山脈、西を太平洋に挟まれた独特の地形を持ちます。 北部は砂漠から始まり、中央部は地中海性気候、さらに南に進むと冷涼で降水量の多い気候へと変化し、多様なワイン産地が形成されています。

首都サンティアゴ周辺のチリ中央峡谷(セントラル・ヴァレー)は、ブドウ栽培とワイン生産の中心地で、マイポ、ラペル、クリコ、マウレなどの主要ヴァレーが集まっています。 チリワインは、こうした恵まれた自然条件と効率的な生産体制により、「高品質・低価格」の代名詞として世界市場で大きな存在感を示しています。

歴史背景

チリのブドウ栽培は16世紀、スペイン人征服者とカトリックの宣教師がパイス(リスタン・プリエト)などを持ち込み、聖餐用ワインを造ったことから始まりました。

19世紀になると、ヨーロッパのフィロキセラ禍を逃れたフランス品種が導入され、鉱山で富を得たエリート層がワイン造りに投資したことで、今日につながる高品質ワインの基盤が整います。

20世紀には、棚仕立てや灌漑技術の導入によって大量生産が進み、国内消費向けのシンプルなワインが主流となりましたが、1980年代以降は輸出志向が強まり、プレミアムレンジのワイン造りへと急速にシフトしました。

その結果、現在ではフランスやイタリアと肩を並べる「ワイン大国」として認知され、日本でも輸入量上位の定番産地になっています。

都市・町としての特徴

チリのワイン産地の中心都市は首都サンティアゴで、その周辺のマイポ・ヴァレーには歴史あるワイナリーが集中し、「カベルネ・ソーヴィニヨンの名産地」として知られています。

サンティアゴから太平洋側へ向かうと、冷涼なカサブランカ・ヴァレーやサン・アントニオ・ヴァレーが広がり、近年は観光とワインツーリズムの拠点としても発展しています。

北部のコキンボ地方(エルキ、リマリ、チョアパ)には、かつて食用ブドウや蒸留酒ピスコ用ブドウの産地だった地域が多く、冷涼産地ブームを背景にワイン用ブドウの高品質産地として注目されています。

南部のサウス地方やアウストラルでは小規模生産者が多く、伝統品種パイスの復権など、チリワインの多様性を支える地域として存在感を高めています。

気候風土

チリのブドウ産地の大半は地中海性気候で、夏は乾燥して晴天が続き、冬にまとまった降雨があるのが特徴です。

太平洋からは冷たいフンボルト海流が流れ込み、海岸沿いには冷涼な海風や霧(カマンチャカ)が発生し、同じ緯度のヨーロッパ地中海沿岸よりも全体に涼しい条件となります。

東側のアンデス山脈は、雪解け水をもたらしつつ、夜には冷たい山風が吹き降ろすことで日較差を大きくし、ブドウの酸を保ちながら糖度を高めるのに寄与します。

この「太平洋からの冷気 × アンデスからの冷気 × 強い日照 × 低降雨」の組み合わせが、病害の少ない健全なブドウと、濃縮感のあるワインを生み出すチリの最大の強みです。

地元料理とワインの関係

以下では、試験のイメージ作りに役立つ代表的なチリ料理と、合わせるワインのスタイルを整理します。

  • Ceviche(セビーチェ)
    白身魚やエビなどの魚介をライムやレモン、香草、玉ねぎとともにマリネした爽やかな料理で、酸味とハーブ感が特徴です。 冷涼産地カサブランカやサン・アントニオのソーヴィニヨン・ブランやシャルドネは、柑橘の香りとキレのある酸がマリネの風味ときれいに同調します。
  • Pastel de Choclo(パステル・デ・チョクロ)
    ひき肉やオリーブ、ゆで卵などの具材を敷き詰め、その上から甘いトウモロコシのピュレをかけて焼き上げる、グラタン風の家庭料理です。 軽め〜ミディアムボディのカベルネ・ソーヴィニヨンやメルロ、あるいは果実味の豊かなカルメネールが、甘味のあるコーンと肉の旨味にバランスよく寄り添います。
  • Asado(アサード)
    牛肉や羊肉などを豪快にグリルする南米スタイルのバーベキューで、シンプルな塩胡椒や香草で味付けするのが一般的です。 力強いカベルネ・ソーヴィニヨン(マイポ、アコンカグア)やシラー、濃厚なブレンドワインは、グリルの香ばしさと脂のボリュームに負けない骨格を持ち、ペアリングの「定番」としてよく挙げられます。
  • Empanada(エンパナーダ)
    ひき肉やオリーブ、玉ねぎなどを詰めたパイ包み焼きで、食堂から家庭まで幅広く食べられています。 果実味主体の若いメルロやパイスの軽快な赤は、香ばしい生地とジューシーな具に寄り添い、日常的な食卓の組み合わせとして親しまれています。

こうした料理とワインの組み合わせをイメージしておくと、「チリ=濃い赤」だけでなく、冷涼産地の白やピノ・ノワールの存在も自然に頭に入ってきます。

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チリのワインの歴史(試験向け骨格)

  • 16世紀:スペイン人とカトリック宣教師がパイスを持ち込み、聖餐用ワインの生産が始まる。これがチリのワイン造りの起点。
  • 19世紀前半〜中頃:独立後、硝石など鉱山資源による経済成長で富裕層がワイン産業に投資し、キンタ・ノルマルの実験畑などを通じてカベルネ・ソーヴィニヨンやソーヴィニヨン・ブランなどのフランス品種が本格導入される。
  • 19世紀後半:ヨーロッパのフィロキセラ禍を逃れたチリは、フランスの醸造家や栽培家を受け入れ、フランス風のシャトー文化とともに品質向上と輸出の基盤を整える。
  • 20世紀:イタリア系移民の技術による棚仕立てや灌漑設備の整備で大量生産体制が確立し、シンプルなテーブルワインが主流となる。
  • 1980年代以降:政府支援と海外資本・最新醸造技術の導入により、輸出向けプレミアムワインの生産が拡大し、世界市場でチリワインの評価が急上昇する。

一般呼称レベルでは、この「16世紀パイス→19世紀フランス品種→フィロキセラ非汚染→20世紀大量生産→1980年代以降プレミアム&輸出」の流れが理解できていれば十分対応できます。

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地理・気候条件

地理(地図)

  • チリのワイン産地分布図(北:アタカマ〜コキンボ〜アコンカグア〜セントラル〜サウス〜アウストラル)
  • 各リージョン内の主要ヴァレー(エルキ、リマリ、カサブランカ、マイポ、ラペル、クリコ、マウレ、イタタ、ビオビオなど)

気候条件

チリのブドウ栽培地域は、北部・中央部・南部の3つの大きなゾーンに分けられ、それぞれ砂漠気候、地中海性気候、温暖湿潤〜冷涼な気候へと変化します。

北部アタカマやコキンボでは、非常に乾燥した砂漠性〜半砂漠性気候ながら、海からの冷涼な風や霧のおかげで高品質な白ワインやピノ・ノワールが生まれています。

中央部のセントラル・ヴァレーは典型的な地中海性気候で、年間降水量は比較的少なく、晴天率が高く、濃厚で熟したスタイルの赤ワインが造られます。

南部のサウス〜アウストラルにかけては気温が下がり、降水量も増えるため、冷涼品種や繊細なスタイルのワインが期待される新興エリアとして注目されています。

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冷涼気候を求めた産地

近年のチリでは、温暖な内陸部だけでなく「より冷涼な気候」を求めて、海に近いエリアや標高の高いアンデス寄りにブドウ畑を開拓する動きが顕著です。

代表的なのが、太平洋に近いカサブランカ・ヴァレーやサン・アントニオ・ヴァレー、またコキンボ地方のエルキ、リマリ、チョアパなどの冷涼産地で、ここではソーヴィニヨン・ブラン、シャルドネ、ピノ・ノワール、シラーといった品種が高評価を得ています。

これらの産地は、冷たいフンボルト海流の影響による霧や海風で朝晩が冷え込む一方、日中は強い日差しがあるため、酸を保ちつつ熟度の高いブドウが得られます。

試験では「冷涼産地=白・ピノ」「セントラル=カベルネ中心」という対比で覚えておくと、産地名とスタイルの紐づけが楽になります。

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新たらしい産地の区分

2011年に産地の特徴を海側、山側、その中間という分類が加わりました。

分類規定・説明
コスタ海岸線に位置するワイナリー
海流の影響で冷涼なエリアである
エントレ・コルディジェラス海側富山側の中間に位置するワイナリー
肥沃な土地のおかげでブドウをはじめ多くの農産物が生産される
アンデスアンデス山脈に位置するワイナリー
アンデス山脈の気候条件を取り入れ、ブドウが栽培される
アンデスから毎朝「ラコ」と呼ばれる冷たい風が吹き込まれる

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チリのワイン法

  • チリのワイン法では、ワインはヴィティス・ヴィニフェラ種のブドウ果汁を発酵させたものに限られ、ワイン製造過程でアルコールや砂糖、人工甘味料を加えることは禁止されています。
  • アルコール度数は11.5%以上と定義され、ラベルにはワインの種類、製造者名・所在地、容量、アルコール度数、原産国表示(PRODUCT OF CHILEなど)、原産地呼称(D.O.)を表示する義務があります。
  • 産地名・品種名・収穫年を表示する場合は、それぞれ当該要素を75%以上使用する必要があり、EU向け輸出用は85%以上に合わせて運用されている点も試験で狙われやすいポイントです。

【ラベル表記規定】

項目規定
産地75%以上
品種75%以上
ブレンド多い順に3種まで表示可能
収穫年75%以上
その他白・赤タイプ/製造者情報/ワイン容量

【DOワインに表示可能な品質表示】

分類規定
Superior香味に独自性が認められる場合
Reservaアルコール度数が規定値より0.5度以上高く、
香味に独自性が認められる場合
Reserva Especialアルコール度数が規定値より0.5度以上高く、
香味に独自性が認められ、樽熟成したワイン
Reserva Privadaアルコール度数が規定値より1度以上高く、
香味に独自性が認められたワイン
Gran Rreservaアルコール度数が規定値より1度以上高く、
香味に独自性が認められ、樽熟成したワイン

一般呼称レベルでは、「ヴィニフェラ100%/補糖禁止」「75%ルール(ラベル表示)」「EU向け85%」の3つを押さえておけば、ほとんどの設問に対応できます。

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主要ブドウ品種


カベルネ・ソーヴィニヨン:チリの栽培面積で最大の品種で、全体の約3割を占め、ボルドー系品種全体では6割強にも達します。 主にマイポやアコンカグアなど温暖な地域で、力強い赤ワインを生みます。

カルメネール:もともとボルドー系品種で、19世紀にチリへ持ち込まれた後、長くメルロと誤認されてきましたが、1994年に別品種と判明しました。 現在では「チリを象徴する赤品種」として扱われ、スパイシーさとハーブのニュアンスを持つワインを生みます。

メルロ/シラー/ピノ・ノワール:メルロとシラーは温暖〜やや冷涼地域で幅広く栽培され、ブレンド用・単一品種ワインともに重要です。 ピノ・ノワールは主にカサブランカやサン・アントニオ、コキンボの一部など冷涼産地で高品質なワインが造られています。

ソーヴィニヨン・ブラン/シャルドネ:白の主力品種で、冷涼な海沿い産地を中心に、爽やかな酸と柑橘〜トロピカルな香りを持つワインを生み、近年のチリ白ワインの評価を押し上げています。

パイス:16世紀から栽培される伝統品種で、長らくボリュームゾーンのテーブルワイン用として扱われてきましたが、近年は南部の古木を活かしたスパークリングや軽快な赤として再評価が進んでいます。

白ブドウ

まずは「白の第1位はシャルドネではなくソーヴィニヨン・ブラン」という教本での注意点をしっかり押さえましょう。

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品種名主な産地・エリアスタイル・試験用キーワード
ソーヴィニヨン・ブランコキンボ(エルキ/リマリ)、アコンカグア(カサブランカ、サン・アントニオ)冷涼産地が鍵。柑橘・ハーブ香、キリッとした酸。白の栽培面積第1位。
シャルドネカサブランカ、サン・アントニオ、リマリ、セントラル各地樽熟〜フレッシュまで幅広い。冷涼産地ではシャープ、内陸ではリッチ。
モスカテル系(主にモスカテル・デ・アレハンドリア)アタカマ(コピアポ/ウアスコ)、コキンボ蒸留酒ピスコ用が重要。アロマティックで糖度が高い。教本で「ピスコ=モスカテル」とセット。
セミヨンマイポ、マウレなど古い畑が点在かつての主要白。近年は古木セミヨンとして一部で復権。

一般呼称では、「ソーヴィニヨン・ブラン第1位」「モスカテル=ピスコ用」「冷涼地白はカサブランカ・サンアントニオ・コキンボ」という3点を優先して覚えてください。

黒ブドウ

栽培面積のトップはカベルネ・ソーヴィニヨンで、チリの赤ワインイメージの中心です。

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品種名主な産地・エリアスタイル・試験用キーワード
カベルネ・ソーヴィニヨンマイポ、アコンカグア・ヴァレー、コルチャグアなど全体の約30%。ボルドー系主体で6割超。チリ赤ワインの柱。
メルロセントラル・ヴァレー各地柔らかい赤。かつてカルメネールと混同も。ブレンドにも多用。
カルメネールマイポ、コルチャグアなどやや温暖な産地元ボルドー品種。1994年にカルメネールと判明。チリの「アイコン品種」。
シラーカサブランカ、エルキ、内陸の温暖地など冷涼地ではスパイシー、温暖地ではパワフル。近年評価上昇。
ピノ・ノワールカサブランカ、サン・アントニオ、リマリなど冷涼産地繊細な赤。冷涼産地の象徴的品種。スパークリング用にも使用。
パイスサウス地方(イタタ、ビオビオなど)16世紀から続く伝統品種。軽快な赤やロゼ、スパークリングで再評価中。

選択肢問題では「カルメネールのストーリー」「パイスの歴史性」「カベルネの面積シェア」を問うパターンが定番なので、この3つは一文で説明できるようにしておくと安心です。

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主要産地

ここでは、見出しに挙がっている各リージョンとヴァレーを「位置とスタイル」のセットで整理します。

アタカマ

  • チリ最北部のリージョンで、アタカマ砂漠に位置する非常に乾燥した地域です。
  • D.O.アタカマには、コピアポ・ヴァレーとウアスコ・ヴァレーがあり、特にモスカテル種を中心としたピスコ用ブドウの産地として知られます。
  • ワイン試験では「ピスコ=アタカマ(+コキンボ)」「モスカテル」あたりの関連を押さえておけば十分です。

コキンボ地方

アタカマの南に位置し、冷涼産地として近年注目されるリージョンです。

エルキ・ヴァレー

  • 緯度は低く日照は強いものの、アンデスが海側に迫り、東西の幅が狭いことで冷たい海風が入り込み、比較的冷涼な条件となります。
  • 以前は主に食用ブドウやピスコ用ブドウの産地でしたが、現在はソーヴィニヨン・ブランやシラー、ピノ・ノワールなど冷涼産地向け品種で高品質なワインが造られています。

リマリ/チョアパ・ヴァレー

  • リマリ、チョアパともに海に近く、フンボルト海流の影響を強く受けるため、チリでも屈指の冷涼産地です。
  • 石灰質土壌を含む場所もあり、シャルドネやソーヴィニヨン・ブランなど白ワインが高く評価されています。

教本レベルでは、「コキンボ=エルキ/リマリ/チョアパ」「冷涼産地・白とピノ・ノワール」というセットで覚えると、選択問題に対応しやすくなります。

アコンカグア地方

アコンカグアは「北側からアコンカグア・ヴァレー/カサブランカ・ヴァレー/サン・アントニオ・ヴァレー」という並びが試験でよく問われます。

アコンカグア・ヴァレー

  • アンデス山脈から太平洋へ向かって延びるヴァレーで、年間を通じて晴天の日が非常に多い温暖な産地です。
  • カベルネ・ソーヴィニヨン、カルメネール、シラーなど、しっかりと熟した赤ワインが中心で、「力強いチリ赤」のイメージに近いスタイルが造られます。

カサブランカ・ヴァレー

  • 太平洋に近い冷涼産地で、周囲を低い丘陵に囲まれた斜面に畑が広がり、霧の発生により生育期の気温が抑えられます。
  • ソーヴィニヨン・ブランやシャルドネ、ピノ・ノワールが主力で、チリ冷涼系白・ピノの代表産地として頻出です。

サン・アントニオ・ヴァレー

  • カサブランカよりさらに南寄りの太平洋沿いに位置し、同様に冷涼で風の強い産地です。
  • ソーヴィニヨン・ブランやピノ・ノワールを中心とした引き締まったスタイルのワインが造られ、海の影響を強く受けるテロワールとして注目されています。

「アコンカグア=アコンカグア・ヴァレー/カサブランカ/サン・アントニオ」の3つはセットで丸暗記推奨です。

セントラル・ヴァレー

チリでもっとも重要なリージョンで、「マイポ/ラペル/クリコ/マウレ」という並びが頻出です。

マイポ・ヴァレー

  • 首都サンティアゴ周辺、マイポ川流域に広がる、チリで最も歴史のあるブドウ産地の一つです。
  • 温暖で安定した地中海性気候のもと、カベルネ・ソーヴィニヨンが栽培面積の約半分を占め、「カベルネの聖地」とも呼ばれます。

ラペル・ヴァレー

  • マイポの南に位置し、さらにカチャポアル・ヴァレーとコルチャグア・ヴァレーに分かれます(一般呼称ではラペル全体のイメージで十分)。
  • カベルネ・ソーヴィニヨンやカルメネール、シラーなど、温暖な気候を活かした赤ワインの産地として知られます。

クリコ・ヴァレー

  • ラペルの南に広がる広大な産地で、歴史的に大量生産の中心地でしたが、近年はプレミアムワイン生産も増加しています。
  • 赤・白ともに多様な品種が栽培されていますが、一般呼称では「セントラルの一部」「マウレとの並び」を覚える程度で十分です。

マウレ・ヴァレー

  • セントラル・ヴァレー南部に位置し、ブドウ栽培面積が非常に大きい産地です。
  • かつては量産中心でしたが、近年は古木のカリニャンやパイスを活かした個性あるワインが注目されています。

セントラル・ヴァレーは、「Myリラックマ(マイポ、ラペル、クリコ、マウレ)」といった語呂でも覚えられるとされ、試験ではこの4つの並びと位置がよく問われます。

サウス地方

セントラルより南に位置し、より冷涼で降水量の多い地域です。

イタタ・ヴァレー

  • サウス地方の主要産地の一つで、古くからパイスなど伝統品種が栽培されてきました。
  • 現在は、古木パイスやモスカテルを活かした軽快な赤・ロゼ・オレンジワインなどが、自然派ワインの文脈でも注目されています。

ビオビオ・ヴァレー

  • イタタの南に位置し、冷涼で風の強い産地で、酸の高いブドウが得られます。
  • ピノ・ノワールやシャルドネ、パイスなどが栽培され、繊細なスタイルのワインが期待される地域です。

一般呼称では、「サウス=イタタ/ビオビオ」「パイスや冷涼系品種」といったざっくりしたイメージが持てていれば十分です。

アウストラル

  • アウストラルは、サウスよりさらに南に位置するリージョンで、2010年代にD.O.として認定された比較的新しい産地です。
  • 冷涼で降水量が多い気候のもと、ピノ・ノワールやリースリングなど冷涼地向き品種の可能性が探られており、「チリ最南端のワイン産地」として教本でもトピックとして扱われます。

教本の正誤表では、チロエ島の畑に関する記述が修正されているため、「どこが最南端か」という細部には踏み込みすぎず、「アウストラル=南端の新しいD.O.」程度の理解に留めるのが安全です。

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まとめ

・・・ヴァレーばかりなので、覚えにくいですが、出題される産地は多くないので過去問や練習問題で出題傾向を把握して、さらっとクリアしてしまいましょう。

また二次試験対策でも紹介したいと思っていますが、チリワインの「Cono Sur(コノスル)」は非常にコスパが良く、いろんな品種のキュヴェがあり、テイスティングの練習にはもってこいです。
普段飲みと練習を兼ねて、このシリーズをいろいろ試すことをお勧めします。

以下ポイントをまとめておきます。

  • チリは「南北に長い × 太平洋とアンデスに挟まれた」国で、冷たいフンボルト海流と大きな日較差に支えられた、ブドウ栽培に理想的なテロワールを持ちます。
  • 歴史は「16世紀のパイス → 19世紀フランス品種導入 → フィロキセラ非汚染 → 20世紀大量生産 → 近年のプレミアム化」という流れをおさえれば、記述問題にも対応できます。
  • ワイン法では「ヴィニフェラ100%」「補糖禁止」「75%ルール(EU向け85%)」が最重要で、細かい条文よりも、この3つを確実に暗記することが得点に直結します。
  • 品種は「赤:カベルネ・ソーヴィニヨンとカルメネール」「白:ソーヴィニヨン・ブランとシャルドネ」「伝統:パイス」、産地は「アコンカグア(三つのヴァレー)」「セントラル(マイポ〜マウレ)」を柱にして、冷涼産地の位置とスタイルをリンクさせましょう。
  • 最後に、教本の産地一覧表と地図を見ながら、「北から順にリージョン名→その中の有名ヴァレー」を声に出して確認する習慣をつければ、チリは短時間でも得点源になりやすいパートです。

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この記事を書いた人

HN:c-fran
2020年/ワインエキスパート・エクセレンス取得
独学で必死に勉強し、エキスパート合格しました。エクセレンスも取得することができたので、今後は本サイトを充実させ、ソムリエ、エキスパートを受験する方に役立つ情報を届けていきます。またエクセレンス向けの記事も同様に更新続けていきます!

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