ジョージアのエクセレント対策として、本記事では、2020年度版の反映、地図は原語表記、各AOPの詳細説明を追加しました。
学習のポイント
- 主要ワイン生産地の位置の把握
- ワインの製法について
ジョージアの概要
特徴
ワイン造りは紀元前6000年万、ジョージアのコーカサス山脈から国会にかけての地域で始まったとされている。
クヴェヴリという壺でワインを醸造するワイン造りが今も続いている。
果汁とともに果皮、果梗、種と共に漬け込み、黄金食の色調と豊富なフェノール。 酸化のニュアンスと独特なアロマを有するワインが出来上がる。
ワインの醸造や生産が国家の免許制度なので管理されていない個人栽培。 購入したぶどう 個人で栽培したブドウや購入したブドウから自宅でワインを醸造することができ、自家消費したり販売することも許可されている。
土着品種が多く、 品種毎の正確な管理はできていない。
歴史
- ワイン作りは8000年の歴史を持つ
- 10~13世紀がワイン作りの黄金時代
- 1991年に独立、 グルジアからジョージアという国名に変更
- 2006年、ロシアのワイン禁輸措置により大打撃を受ける
- 2013年禁輸解禁
文化・経済
おもてなし文化/ジョージアの伝統的な饗宴、スプラ
客人をもてなす宴会Spuraが伝統的に受け継がれている。たくさんの料理にワインを供する。
Tamadaと呼ばれる乾杯役を年長者や家長が行う。「Gaumarjos」の掛け声でヤギの角でできたカンツィで乾杯を繰り返す。乾杯後スピーチを行い、客人はそのお題に答える形で返杯しスピーチを行う。
地理的条件
地図
気候
- 東部は大陸性気候
- 西部の黒海側は亜熱帯性気候
土壌
沖積土壌、砂岩、石灰岩、砂利など
主要ブドウ品種
No | 白ブドウ | 黒ブドウ |
---|---|---|
1 | ルカツィテリ | サペラヴィ |
2 | ツォリコリ | オツハヌリ・サペレ |
3 | ツィツカ | ゼルシャヴィ |
4 | ムネヴァネ・カフリ | アラダストゥリ |
5 | ヒフヴィ | タヴクヴェリ |
地元料理
カヘティとイメレティと大きく食文化が異なる。
カヘティは肉、シチュー、「ムツヴァディ」と呼ばれるブドウ樹で焼いた牛や豚のグリルがメインである。
イメレティは川魚もよく食べられる。全体的に軽めでハーブ、野菜、鶏肉、クルミ、チーズを詰めて焼いたハチャブリが好まれる。
レチュフミでは、豆料理やとうもろこし製のパンがよく食べられる。カルトリでは、鳥、野菜、川魚にクルミのソースがよく添えられる。
黒海沿岸はアブハジアは辛い料理を好みスパイシーなソーセージが知られている。
ジョージアのワイン法
- ワイン法:PDO(Protected Designation of Origin)
- 10の栽培地域に20のPDOが登録されている
ワインの製法
3つの醸造方法
ヨーロッパ式
近代的なワイン醸造法
モダン式
タンクにて果皮、種ごと発酵する手法
クヴェブリ醸造
クヴェブリ(KvevriまたはQvevr)で発酵を行う手法
Maraniと呼ばれるセラーでSatsnakheliと呼ばれる木製の槽を使ってブドウを踏み潰す。Chachaと呼ばれる果汁、果皮、茎、種と一緒にクヴェブリへ入れて発酵させる。
20-40日で発酵が終わり、果房が沈むと、石かガラス製の蓋をして熟成する。翌年の春にChachaを分離し、別のクヴェブリへ移すか、そのまま瓶詰めする。
白ワインはある程度のタンニンと心地よいブーケや味わいを含み、黄金から琥珀の色調をおびたものに仕上がる。これがオレンジワインであるが、ジョージアでは琥珀のワイン、ハンバーワインと称する。
赤ワインもクヴェブリでのマセラシオン期間が1か月ほどとなっている。果汁と果皮、種などを一緒に漬け込むクヴェブリで造ったワインのスタイルをdedaze、ジュースのみをクヴェブリで発酵するワインのスタイルをudedoと呼ぶ。
主要ワイン産地
カヘティ地区
【特徴】
ジョージア最大のPDO。アラザニ川の上流とイオリ川に沿って伸びる。インナー・カヘティとアウター・カヘティに分かれている。
【気候】
気候は亜熱帯・温帯・中度温帯に分けられる。
【主要ブドウ品種】
<白ブドウ> : ルカツィテリ、ムツヴァネ・カフリ
<黒ブドウ> : サペラヴィ
【Kotehki】
【特徴】
アラザニ川右岸の中流に沿って伸びる。標高250-700m。茶色の沖積土壌。
【主要品種】
ルカツィテリ、サペラヴィ
【PDOワイン】
白ワインはルカツィテリ、赤ワインはサペラヴィから。白ワインはベイリーフの香りでアロマティック。赤ワインは強いアロマとしなやかなテクスチャー。
【Kardenakhi】
【特徴】
アラザニ川の右岸。湿度が比較的高く、夏は熱く、冬は穏やか。大コーカサス山脈からの冷気の影響は大。粘度と岩の多い土壌。
【主要品種】
ルカツィテリ、ヒフヴィ、サペラヴィ、ムツヴァネ・カフリ
【PDOワイン】
ルカツィテリ、ヒフヴィ、サペラヴィ、ムツヴァネ・カフリから作る酒精強化ワイン。琥珀色で蜂蜜の香りがある。古い歴史があり1926年から生産されている。
【Tivaani】
【特徴】
インナー・カヘティに位置する。比較的湿度の高い亜熱帯性気候で夏は熱く、冬は穏やか。粘土主体の土壌
【主要品種】
ルカツィテリ、ムツヴァネ・カフリ、サペラヴィ
【PDOワイン】
ルカツィテリを使用し、ヨーロッパ方式、伝統製法で生産される。伝統的製法で仕込むワインは琥珀色でナッツや干しぶどうのアロマ。
【Tsinandali】
【特徴】
アラザニ川の右岸、Telavi市に位置する。湿度が比較的高く、夏は熱く、冬は穏やか。カルシウムが豊富で、砂、粘土、岩の多い土壌
【主要品種】
ルカツィテリ、ムツヴァネ・カフリ、サペラヴィ
【PDOワイン】
ルカツィテリ、ムツヴァネ・カフリのブレンドで造られる。ムツヴァネ・カフリは最大15%まで認められている。キレの良さとフローラルなアロマが特徴
【Teliani】
【特徴】
アラザニ川中流に沿って伸びる。湿度が比較的高く、夏は熱く、冬は穏やか。茶色の沖積土壌で砂、粘土、砂利が交じる。
【主要品種】
カベルネ・ソーヴィニヨン
【PDOワイン】
ジョージアで唯一国際品種から造られる。暗紫色でラズベリー、スパイスのアロマを持つ。1893年から造られている。
【Manavi】
【特徴】
アウター・カヘティに位置する。亜熱帯性気候だが、ばらつきがあり、乾燥した地区と湿潤な地区がある。比較的穏やかな冬と、長くて温暖な夏。茶色の沖積土壌。
【主要品種】
ルカツィテリ、ムツヴァネ・カフリ
【PDOワイン】
ムツヴァネ・カフリが主体で、ルカツィテリのブレンドが15%まで認められている。麦藁色で白桃、タラゴンのアロマと抑制されたミネラルのニュアンスがある。
【Gurjaani】
【特徴】
アラザニ川中流の右岸に位置する。湿度が高めで、夏は熱く、冬は穏やか。茶色の沖積土壌。
【主要品種】
ルカツィテリ、ムツヴァネ・カフリ、サペラヴィ
【PDOワイン】
ルカツィテリ、ムツヴァネ・カフリから造られ、ムツヴァネ・カフリは15%までのブレンドが認められている。麦藁色で熟したカジノ香りがあるフルボディ。
【Vazisubani】
【特徴】
アラザニ川の中流に位置する。粘土混じりの沖積土壌。
【主要品種】
ルカツィテリ、ムツヴァネ・カフリ
【PDOワイン】
ワインルカツィテリ、ムツヴァネ・カフリのブレンド。フルーティー、フローラル。
【Mukuzani】
【特徴】
インナー・カヘティに位置する。粘土、沖積、砂利土壌。
【主要品種】
サペラヴィ
【PDOワイン】
サペラヴィを樽熟成する。ザクロやベイリーフの香りがする力強いワイン。
【Akhasheni】
【特徴】
インナー・カヘティに位置する。粘土、沖積土壌。
【主要品種】
サペラヴィ
【PDOワイン】
サペラヴィから造るセミスィートワイン。
【Napareuli】
【特徴】
アラザニ川中流左岸に位置する。石の多い粘土と砂土壌。
【主要品種】
ルカツィテリ、ムツヴァネ・カフリ、サペラヴィ
【PDOワイン】
白ワインはルカツィテリで、麦わら色のフラワリーなワイン。赤ワインはサペラヴィで適度なアルコールとさんがあり、レッドベリーの香り。
【Kindzmarauli】
【特徴】
インナー・カヘティに位置する。沖積土壌主体だが、頁岩も混じる。
【主要品種】
サペラヴィ
【PDOワイン】
サペラヴィのセミスィートワイン。ザクロの香り、なめらかな口当たりでほのかな甘味がある。
【Kvareli】
【特徴】
インナー・カヘティに位置する。ブルサ川からの沖積土壌が主体。
【主要品種】
サペラヴィ
【PDOワイン】
サペラヴィの辛口赤ワイン
【Saperabi Khashmi】
【特徴】
アウター・カヘティに位置する。粘土、沖積、砂利質土壌
【主要品種】
サペラヴィ
【PDOワイン】
辛口ワイン。ボディがありなめらかな質感、シャープなアロマを持つ。2018年にアペラシオンが認められた。
イメレティ地区
【特徴】
ジョージア西部の代表的産地。クヴェブリを使う伝統方式があるが、ここでは、クヴェブリはChuri(チュリ)と呼ばれ、地上に設置して使用さる。果皮や果梗を一緒に醸造することはまれである。
【Sviri】
【特徴】
酸が高く、簡潔毛果実や黄色家果実のアロマが豊かなスタイル。
【主要品種】
ツォリコウリ、ツィツカ、クラフナ、オツハヌリ・サペレ
カルトリ地区
【特徴】
カヘティと同じくヨーロッパ式と伝統式の両方で醸造が行われている。スパークリングワインやブランデーも生産されている。
【Ateni】
【特徴】
チヌリ、ゴルリ・ムツヴァネから造られるバルクワインを二次発酵させたスパークリングワイン。
【主要品種】
チヌリ、ゴルリ・ムツヴァネ
【Bolnisi】
【特徴】
アロマティックな辛口の白ワインとアンバーワイン
【主要品種】
ルカツィテリ、チヌリ、ゴルリ・ムツヴァネ、サペラヴィ、タブクヴェ、シャブカピト、アスレトゥリ・ジャヴィ
ラチャとレチュフミ地区
【特徴】
- ジョージア北部に位置する
- ジョージア西部。コーカサス山脈斜面に広がる。
- 冷涼なエリア
【Khvanchkara】
【特徴】
アレクサンドルリ、ムジュレトゥリをブレンドした赤のセミスイートワイン
【主要品種】
アレクサンドルリ、ムジュレトゥリ、ラチュリ・テトラ、ゼルジャヴィ、ツゥコウリ、サペラヴィ
【Tvishi】
【特徴】
セミスイートワインが造られる。黄金色、桃やメロンのアロマ。
【主要品種】
ツゥコウリ
黒海沿岸
【特徴】
湿度が高い亜熱帯性気候。セミスイートや辛口ワインが造られている。サメグレロとグリアは長い歴史を持つ。
(以上)
【2019/2020 日本ソムリエ協会教本】(日本ソムリエ協会)
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