ボルドー地方のエクセレント対策として、本記事では、地図は原語表記、DOCGに加えDOCの説明も追加しました。
2020年度は教本が一部改訂されていますので、確認が必要かと思います。
Bordeauxの概要
特徴
フランス南西部、大西洋側。フランス1,2位を争う銘醸地。ボルドーではアッサンブラージュしたワインが特徴で、品種特性を保管し合い、バランスが取られる。また貴腐ワインの産地としても有名である。
歴史
文化・経済
「月の港ボルドー」として、2007年に世界遺産登録。ボルドーにはワインのシンクタンクというべきボルドー大学醸造学部があり、世界中のワイナリーの子弟が学びに来ている。2016年には「La cité du vin」がオープンした。
地理的条件
地図
上段の地図の通り、大きく6地区に分けられます。
- メドック
- グラーブ
- ソーテルヌ
- サンテミリオン
- コート
- アントゥルドメール
気候
- 北緯45度、北に位置するがガルフ湾流の影響で暖かい海洋性気候
- 土壌は、ドルドーニュ川右岸は粘土質、ガロンヌ、ジロンド川左岸は水はけのよい砂利質(ちなみにグラーブは砂利という意味があります。)
土壌
ジロンド左岸:砂礫質土壌で水はけがよくカベルネ・ソーヴィニヨンに適している。
ジロンド右岸:粘土質土壌で保水性が高く、メルロの栽培に適している。
主要ブドウ品種
No | 白ブドウ | 黒ブドウ |
---|---|---|
1 | セミヨン | カベルネ・ソーヴィニョン |
2 | ソーヴィニヨンブラン | カベルネフラン |
3 | ソーヴィニヨングリ | メルロ |
4 | ミュスカデル | マルベック |
ボルドーでは、単一品種でのワインは少なく、数種類をアッサンブラージュします。
メッドクエリアではカベルネ・ソーヴィニョン主体、サンテミリオンではメルローやカベルネフランが主体となっています。
地元料理
地元料理 | 説 明 |
Lamproie a la Bordelaise | ヤツメウナギの赤ワイン煮 |
Agneau de Pauillac | 母羊の母乳で育てられた生後80日までの子羊 |
Boeuf de Bazas | バザス産牛肉 |
Cepe de Bordeaux | セップ茸。イタリアのポルチーニと同種 |
Asperges du Blayais | ブライ産白アスパラガス。砂質土上のブライで 生産される。 |
Caviar d’Aquitaine | アキテーヌ産キャビア |
Canelé | ワイン清澄時に余る卵黄を利用したお菓子 |
Macarons de Saint-Emilion | アーモンド風味の素朴な焼菓子 |
主要AOC
Médoc
【特徴】
ジロンド川左岸に広がる。川沿いは砂利質土壌で離れるに従い粘土質土壌となる。
6つの村名AOCがあり、また格付けシャトーもあり、カベルネ・ソーヴィニヨンを主体に高級ワインが造られている。
【気候】
【土壌】
砂礫質土壌、粘土質土壌
【主要ブドウ品種】
<白ブドウ> :
<黒ブドウ> : カベルネソーヴィニヨン、メルロ、カベルネフラン、カルメネール
Saint-Estéphe
【特徴】
もっとも下流に位置し、粘土質と石灰質の土壌から、豊かでストラクチャのしっかりしたワインとなる。
【気候】
【土壌】
砂礫質土壌
【主要ブドウ品種】
<白ブドウ> :
<黒ブドウ> : カベルネソーヴィニヨン、メルロ、カベルネフラン、カルメネール
【タイプ】
赤
Pauillac
【特徴】
小粒の砂利の小山にいただきに畑が広がっている。タンニンがしっかりしていて濃密で長期熟成力を持ったワインである。
【気候】
【土壌】
砂礫質土壌
【主要ブドウ品種】
<白ブドウ> :
<黒ブドウ> : カベルネソーヴィニヨン、メルロ、カベルネフラン、カルメネール
【タイプ】
赤
Saint-Julien
【特徴】
大きな石が混じった粘土質や石灰質層を砂利層が覆っている。滑らかなタンニンが特徴的、また長期熟成能力あるワインである。
【気候】
【土壌】
粘土質や石灰質層を砂利層が覆っている
【主要ブドウ品種】
<白ブドウ> :
<黒ブドウ> : カベルネソーヴィニヨン、メルロ、カベルネフラン、カルメネール
【タイプ】
赤
Margaux
【特徴】
最上流に位置し、最大のコミューンである。石灰質や粘土層の上に、泥土が広がり、繊細でふくよかなエレガントなワインが作られる。
【気候】
【土壌】
石灰質や粘土層の上に、泥土
【主要ブドウ品種】
<白ブドウ> :
<黒ブドウ> : カベルネソーヴィニヨン、メルロ、カベルネフラン、カルメネール
【タイプ】
赤
Grave
ボルド地方最南部、ガロンヌ川の輻射熱などによりボルドーより生育が早い。グラーブ地区では白ワインのAOCも認められている。また貴腐ワインの産地であるソーテルヌ、バルザック地区を有する。
Grave/Pessac-Léognan
【特徴】
グラーブの赤ワインは砂や粘土質の土壌が多いことからメルロの比率が高く、やわらかみのあるワインで、ペサック・レオニャンはカベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フランの比率が高く長期熟成向きのワインが多く造られる。
【主要ブドウ品種】
<白ブドウ> : ソーヴィニヨンブラン、セミヨン、ソーヴィニヨン・グリ、ミュスカデル
<黒ブドウ> : メルロ、カベルネソーヴィニヨン、マルベック、プティヴェルド
【タイプ】
赤・白
Grave Spêrieures
【特徴】
貴腐または木上乾燥した過熟したブドウを使用。残糖34g/ℓ以上
【主要ブドウ品種】
<白ブドウ> : ソーヴィニヨンブラン、セミヨン、ミュスカデル
<黒ブドウ> :
【タイプ】
白(半甘)
Sauternes & Barsac
シロン川がガロン無川に合流する際、秋頃水温差により霧が発生し、ボトリティス・シネレア菌が畑に広がり、貴腐ブドウが得られる。
Sauternes & Barsac
【特徴】
長期熟成可能な世界最高峰の貴腐ワインに与えられるAOC。セミヨンが主体で残糖45g/ℓ以上。
【主要ブドウ品種】
<白ブドウ> : セミヨン、ソーヴィニヨンブラン、ミュスカデル
<黒ブドウ> :
【タイプ】
白(甘)
Cérons
【特徴】
セロンス、イラ、ポデンサックの3つの村に認められたAOC。残糖45g/ℓ以上
【主要ブドウ品種】
<白ブドウ> : セミヨン、ソーヴィニヨンブラン、ミュスカデル、ソーヴィニョン・グリ
<黒ブドウ> :
【タイプ】
白(甘)
Entre-Deux-Mers
Entre-Deux-Mers
【特徴】
辛口白ワインの一大生産地
【主要ブドウ品種】
<白ブドウ> : ソーヴィニヨンブラン、セミヨン、ミュスカデル
【タイプ】
白(辛口)
Haut-Benauge
【特徴】
辛口はAOCアントゥル・ド・メール・オー・ブノージュ、甘口はAOCボルドー・オー・ブノージュとなる。
【主要ブドウ品種】
<白ブドウ> : ソーヴィニヨンブラン、セミヨン、ミュスカデル
【タイプ】
白(辛、甘)
Saninte-Croix-du-Mont/Lupiac/Cadillac
【特徴】
甘口白ワインのAOC。
サンクロワデュモン、ルーピアックは残糖45g/㍑、カディヤックは51g/㍑以上となっている。
【主要ブドウ品種】
<白ブドウ> : ソーヴィニヨンブラン、ソーヴィニヨン・グリ、セミヨン、ミュスカデル
【タイプ】
白(甘)
Côtes
ガロンヌ、ジロンド、ドルドーニュの川沿いに点在するAOC。丘陵地帯にブドウ畑は広がる。2007年に「コート・ド・ボルドー連合」を組織した。テロワールを明確にしたい場合、コート・ド・ボルドーに旧産地名を付記することができる。
Côtes de Bordeaux
【特徴】
5つの旧産地どこでも名乗れる。赤のみが認められている。
【主要ブドウ品種】
<黒ブドウ> : カベルネソーヴィニヨン、メルロ、カベルネフラン、マルベック
【タイプ】
赤
Cadillac Côtes de Bordeaux
【特徴】
ガロンヌ川右岸。白はAOCプルミエール・コート・ド・ボルドーと名乗る。
【主要ブドウ品種】
<白ブドウ> :
<黒ブドウ> : カベルネソーヴィニヨン、メルロ、カベルネフラン、マルベック
【タイプ】
赤
Blaye Côtes de Bordeaux
【特徴】
メルロ主体の親しみやすいタイプが多い。
【主要ブドウ品種】
<白ブドウ> : ソーヴィニヨン・ブラン、ソーヴィニヨン・グリ、セミヨン、ミュスカデル
<黒ブドウ> : カベルネソーヴィニヨン、メルロ、カベルネフラン、マルベック
【タイプ】
赤、白
Sainte-Foy Côtes de Bordeaux
【特徴】
新たに追加。
【主要ブドウ品種】
<白ブドウ> : ソーヴィニヨン・ブラン、ソーヴィニヨン・グリ、セミヨン、ミュスカデル
<黒ブドウ> : メルロ、カベルネフラン、カベルネソーヴィニヨン、マルベック
【タイプ】
赤、白(半甘、甘口)
Blaye
【特徴】
ブライ・コート・ド・ボルドーと同エリア。規定がより厳しい。
【主要ブドウ品種】
<黒ブドウ> : メルロ、カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、カルムネール、マルベック
【タイプ】
赤
Côtes de Blaye
【特徴】
ブライ・コート・ド・ボルドーと同エリア。
【主要ブドウ品種】
<白ブドウ> : コロンバール、ユニ・ブラン、ソーヴィニヨン・ブラン、ソーヴィニヨン・グリ
【タイプ】
白
Fronsadais
ドルドーニュ川右岸のワイン産地。「モラス・デュ・フロンサデ」と呼ばれる軟質砂岩が特徴、粘土石灰質の土壌にこれが混じっている。フロンサックとカノン・フロンサックの2つのAOCがある。
Fronsac/Canon Fronsac
【特徴】
フロンサックはフロンサックと近隣6つの村からなる。カノン・フロンサックはフロンサック南部の2つの村、フロンサックとサン・ミシェル・ド・フロンサックのみに認められたAOC。
【主要ブドウ品種】
<黒ブドウ> : メルロ、カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、カルムネール、マルベック
【タイプ】
赤
Saint-Émilion & Saint-Émilion Satelite
【特徴】
ドルドーニュ川右岸。バルバンヌ川の南側がサンテミリオン、北側4つのAOCがあり、サンテミリオン衛生地区と呼ぶ。
赤のみが認められていて、白やロゼはAOCボルドーに格下げされる。
【土壌】
石灰岩を母岩に粘土石灰質の土壌
【主要ブドウ品種】
<黒ブドウ> : メルロ、カベルネ・フラン、カベルネ・ソーヴィニヨン
【タイプ】
赤
Saint-Émilion
【特徴】
サンテミリオンの街を中心とする9市町村に認められる。
【気候】
【土壌】
石灰岩を母岩に粘土石灰質の土壌
南のドルドーニュ川近くは砂がちの土壌
【主要ブドウ品種】
<黒ブドウ> :メルロ、カベルネフラン 、カベルネ・ソーヴィニヨン、マルベック
【タイプ】
赤
Saint-Émilion Grand Gru
【特徴】
格付けとは無関係でAOCサンテミリオンより規定を厳しくしたもの。
分析、官能検査を2回受ける(2回目は12か月後)
【主要ブドウ品種】
<黒ブドウ> :メルロ、カベルネフラン
【タイプ】
赤
Saint-Émilion Satelite
【特徴】
AOCはSaint-Grorges/Montagne/Lussac/Puisseguin_Saint-Émilion
【主要ブドウ品種】
<白ブドウ> :
<黒ブドウ> : メルロ、カベルネフラン
【タイプ】
赤
Pomerol & Lalande-de-Pomerol
【特徴】
サンテミリオンの北西。バルバンヌ川の南北に位置する。小規模生産者が多く、生産量が限られているため高価なワインが多い。
【土壌】
低土は粘土で小石が覆わる。純粋な粘土質土壌はペトリュスのみである。
【主要ブドウ品種】
<白ブドウ> :
<黒ブドウ> : メルロ、カベルネフラン
【タイプ】
赤
Pomerol & Lalande-de-Pomerol
【特徴】
「クラスドフェール」という鉄分を含んだ独特の土壌の影響で、個性的なワインが生産される。
【土壌】
「クラスドフェール」という鉄分を含んだ独特の土壌
【主要ブドウ品種】
<白ブドウ> :
<黒ブドウ> :メルロ、カベルネフラン
【タイプ】
赤
(以上)
【2019/2020 日本ソムリエ協会教本】(日本ソムリエ協会)
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