2020年に大きく改定された地域です。各AOCの位置と河川名を合わせて覚えておきたいところです。
貴腐ワインの有名な産地もあり、産地名、糖度規定をしっかり覚えるようにしましょう。
ワインの概要
特徴
フランス南西部の広大な産地。120もの土着品種がある。垢抜けないイメージは残るが、徐々に洗練されたワインに変化している。
歴史
サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路で巡礼者により、いくつかの品種が他地域へと広がっていった。
フィロキセラ被害以降安価な日常ワインの産地となってしまうが、1956年の大きな霜害以降、質への転換が始まり、AOCワインが増えていった。
文化・経済
「ヴェーゼル渓谷の先史的景観と装飾洞窟群」の名称で世界遺産に登録。ピレネ山脈の麓には、巡礼者や観光客が多数訪れる。
航空機産業、宇宙産業の重要拠点である。ランドの森に象徴されるように林業、製糸業、樹脂抽出業も盛んである。
地理的条件
地図
気候
穏やかな海洋性気候。エリアに寄り大陸性気候、地中海性気候の影響を受ける。
土壌
沖積土壌。北は石灰質台地、東は原生岩、変成岩で、南は複雑に入り組んだ土壌。
主要ブドウ品種
No | 白ブドウ | 黒ブドウ |
---|---|---|
1 | セミヨン | カベルネ・ソーヴィニョン |
2 | ソーヴィニヨンブラン | メルロ |
3 | ミュスカデル | タナ |
4 | モーザック | コー(オーセロワ) |
地元料理
地元料理 | 説 明 |
Confit de Canard | 鴨の脂肪煮 |
Foie Gras | フォワグラ |
Confit de Canard | 鴨のコンフィ |
Foie Gras Poêlé | フォアグラ |
Salmis de Palombe | 森鳩のサラミ |
Civie de Marcassin | 仔イノシシの煮込み |
Ossau-Iraty | AOP、羊乳、非加熱圧搾、ピレネー地区 |
Truffe | トリュフ |
Roquefort | ロックフォール・シュール・スルゾン村の 洞窟で熟成させる青カビチーズ |
Pruneau d’Agen | アジャン産の干し星プラム |
南西地方のワイン
ベルジュラック地区
Bergerac(ベルジュラック)
【気候】
ボルドーより内陸のため、気温はやや低め。デュラスは大西洋に近く、海洋性気候の影響を受ける。
【土壌】
粘土石灰質の土壌が大半。
Bergerac
Cote de Bergerac
【特徴】
エリアは同一であるが、コート・ド・ベルジュラックのほうが条件が厳しい。ベルジュラックの赤はなめらかで果実味が豊かで、コート・ド・ベルジュラックは力強く、熟成能力を持つ
【主要ブドウ品種】
<白ブドウ> : ソービニヨンブラン、セミヨン、ミュスカデル
<黒ブドウ> : メルロ、カベルフラン、カベルネソーヴィニヨン
【タイプ】
Bergerac:白、赤、ロゼ
Cote de Bergerac:甘口白、赤
Montravel
Cote de Montravel
Haut-Montravel
【特徴】
ボルドーのコート・ド・カスティヨンに隣接する。赤はメルロ主体、白はソーヴィニヨン・ブランにセミヨン、ミュスカデルをブレンドする。コート・ド・モンラベルとオー・モンラベルは過熟したぶどうから作られる甘口ワインである。
ベルジュラックと隣接する3つの村に与えられたAOC。力強く、長期熟成型の赤ワインが造られる。
【主要ブドウ品種】
<白ブドウ> : ソービニヨンブラン、セミヨン、ミュスカデル
<黒ブドウ> : メルロ、カベルフラン、カベルネソーヴィニヨン
【タイプ】
白、赤
Monbazillac
【特徴】
貴腐ワインが有名
ドルドーニュ川南岸。甘口白のAOC。朝霧の影響で貴腐ブドウが生じる。残糖45g/㍑以上の甘口のみ認められ、85g/㍑以上は「Selection de Grains Nobles」を名乗ることができる。
【気候】
【土壌】
【主要ブドウ品種】
<白ブドウ> : セミヨン、ソーヴィニヨン・ブラン、ソーヴィニヨン・グリ、ミュスカデル
【タイプ】
白(甘)
Saussignac
【特徴】
ドルドーニュ川南岸。甘口白のAOC。品種はモンバジャックと同様。残糖68g/㍑以上の甘口のみ認められる。
【主要ブドウ品種】
<白ブドウ> : セミヨン、ソーヴィニヨン・ブラン、ソーヴィニヨン・グリ、ミュスカデル
【タイプ】
白(甘)
Rosette
【特徴】
ベルジュラック市を中心とした6つの市町村に認められた甘口白のAOC。
セミヨン、ソーヴィニヨン・ブラン、ソーヴィニヨン・グリ、ミュスカデルの4品種のみ認められる。少なくとも2品種以上のブレンドが義務付けられている。残糖は25-45g/㍑。
【主要ブドウ品種】
<白ブドウ> : セミヨン、ソーヴィニヨン・ブラン、ソーヴィニヨン・グリ、ミュスカデル
【タイプ】
白(甘)
Garonne
Buzet
【特徴】
ガロンヌ川左岸。1973年にAOCへ昇格。
【土壌】
粘土と砂利の混合土壌/粘土石灰質/小石、砂、汁と土壌(ブルヌーベ)
【主要ブドウ品種】
<白ブドウ> : ソーヴィニヨン・ブラン、ソーヴィニヨン・グリ、セミヨン、ミュスカデル
<黒ブドウ> : メルロ、カベルネ・フラン、カベルネ・ソーヴィニヨン、マルベック
【タイプ】
白、赤、ロゼ
Brulhois
【特徴】
しっかりとした熟成能力のある赤と心地よいロゼが生産される。2011年にAOCへ昇格。
ロゼは最低2品種、赤は3品種以上のブレンドが決められている。
【土壌】
石灰岩台地/モラッセの丘/小石が多い土壌
【主要ブドウ品種】
<黒ブドウ> : カベルネ・フラン、メルロ、タナ
【タイプ】
赤、ロゼ
Fronton
【特徴】
ガロンヌ川とタルン川に挟まれた場所に広がる。
土着品種のネグレットを主要品種とし、シラー、カベルネとアッサンブラージュする。果実味が豊かですみれやカシス、ブラックベリー、甘草、胡椒など強い香りを持つワインが造られる。
土着品種のネグレットとカベルネやシラーとアッサンブラージュし、強い香りのワインが造られる。
【土壌】
ブルベーヌと呼ばれる丸石や砂利、ルジェと呼ばれるシルトと粘土の混合土壌、深い粘土の上に小石が覆う土壌。
【主要ブドウ品種】
<黒ブドウ> : ネグレット、カベルフラン、カベルネ・ソーヴィニヨン、サンソー
【タイプ】
赤、ロゼ
Saint-Sardos
【特徴】
タナとシラーが主要品種。これらをブレンドしたワインが造られる。シラーの比率が一番高い必要がある。ロゼも。
【気候】
大西洋、地中海両方の影響を受ける。
【土壌】
ブルベーヌと呼ばれる砂利、丸石、砂、シルトで構成された沖積土。砂利質、鉄分や石英を多く含む。
【主要ブドウ品種】
<黒ブドウ> : シラー、タナ、カベルネ・フラン、メルロ
【タイプ】
赤、ロゼ
Lot
Cahors
【特徴】
ロット川渓谷地帯位にぶどう畑が広がる。黒ワインと呼ばれるほど濃いワインを産出してきた。コット(マルベック)を主体に、メルロとタナを30%までアサンブラージュできる。石灰質土壌のカオールは熟成の力の優れたワインができる。
ブラックワインと呼ばれるコー、マルベック、オセロワが有名 30%までメルローとタナをアッサンブラージュできる
【土壌】
沖積土
【主要ブドウ品種】
<黒ブドウ> : コー(マルベック)
【タイプ】
赤
Coteaux du Quercy
【特徴】
カオールの南に位置する。赤は3品種以上のブレンド。ロゼは2品種以上をブレンドしカベルネ・フランを最大に用いる。
【土壌】
石灰粘土質
【主要ブドウ品種】
<黒ブドウ> : カベルネ・フラン
【タイプ】
赤、ロゼ
Entraygues-le Fel
【特徴】
赤、ロゼの主要品種は、フェール・セルヴァドゥ。
カベルネ・フランとカベルネ・ソーヴィニヨンが補助品種。少なくとも2種類以上のブレンドが必要。白はシュナン・ブランを主要品種とし、モーザックとサン・コムを補助品種として使用。
【土壌】
片岩、花崗岩
【主要ブドウ品種】
<白ブドウ> : シュナン・ブランを主要品種とし、モーザックとサン・コムを補助品種
<黒ブドウ> : カベルネ・フランとカベルネ・ソーヴィニヨンが補助品種
【タイプ】
赤、白、ロゼ
Marcillac
【特徴】
フェル・セルヴァドゥが主要品種。
スパイスの繊細なニュアンスと爽やかでタンニンも豊かである。1990年にAOCに昇格した。
【土壌】
粘土石灰質、石灰岩
【主要ブドウ品種】
<黒ブドウ> : フェル・セルヴァドゥ
【タイプ】
赤、ロゼ
Estaing
【特徴】
赤、ロゼはフェール・セルヴァドゥとガメイが主要品種。赤は3種類上のブレンドが必要。フェール・セルヴァドゥは30%以上。
白はシュナン・ブランが主要品種である。シュナン・ブランは50%以上使用する必要がある。
【気候】
大陸性気候。夏は熱く、冬の寒さも厳しい。
【土壌】
片岩、石灰岩
【主要ブドウ品種】
<白ブドウ> : シュナン・ブランが主要品種
<黒ブドウ> : フェール・セルヴァドゥとガメイが主要品種
【タイプ】
赤、ロゼ、白
Tarn
Gaillac〖ガイヤック〗
【特徴】
土着品種を中心としたワイン作り
【気候】
地中海性気候に海洋性気候の影響を受ける。
【土壌】
粘土石灰質土壌、他
【主要ブドウ品種】
<白ブドウ> : ラン・ド・レル、モーザック、モーザックローズ、ミュスカデル
<黒ブドウ> : デュラス、フェル・セルヴァドゥ、シラー
【タイプ】
白、赤、ロゼ
Gaillac Premiéres Cotes
【特徴】
Gaillacに対して、収穫時の果汁糖度が178g/ℓ(+8)、最大収量45g/ℓ(-15)となっている。
【主要ブドウ品種】
<白ブドウ> : ラン・ド・レル、モーザック、モーザックローズ、ミュスカデル
【タイプ】
辛口白
Côtés de Millau
【特徴】
アヴェイロン県東西80km。
赤はガメイ、シラーをそれぞれ30%以上、カベルネソーヴィニヨンを10-30%ブレンド。
ロゼはガメイを50%以上使用。白はシュナンブランを50%以上、モーザックを10%以上ブレンド。
【主要ブドウ品種】
<白ブドウ> : シュナン・ブラン、モーザック
<黒ブドウ> : ガメイ、シラー、カベルネソーヴィニヨン
【タイプ】
赤、白、ロゼ
Gascogne / Pays Basque
Madiran・Pacherenc du Vic-Bilh
【特徴】
マディランとパシュラン・デュ・ヴィクビルは同一の生産地域。
タナからちょ熟成能力高いワンが造られる。カベルネ・フラン、フェル・セルヴァドゥをアッサンブラージュすることもある。白はプティマンサンなどから辛口と半甘口の白を造る。
【気候】
海洋性気候+山岳気候
【土壌】
粘土石灰質
【主要ブドウ品種】
<白ブドウ> : クルビュ、プティ・クルビュ、グロ・マンサン
<黒ブドウ> : タナ、カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン
【タイプ】
Madiran:赤
Pacherenc du Vic-Bilh:白(甘・辛)
Saint Mont
【特徴】
マディランの北に位置する。
赤はタナを50%以上使用、その他品種とブレンド。
白はグロ・マンサンを50%以上使用、その他品種とブレンド。ロゼはタナを最も多く使用し、補助品種のカベルネソーヴィニヨンなどをブレンドするが、ひとつの品種が70%を超えてはならない。白と混醸可能であるが、10%以下となっている。
【主要ブドウ品種】
<白ブドウ> : グロ・マンサン、アリュフィアック
<黒ブドウ> : タナ、カベルネソーヴィニヨン、フェール・セルヴァドゥ
【タイプ】
赤、ロゼ、白
Bearn
【特徴】
ジュラソン、マディランにベロック周辺を加えた生産地域。ベロックを含む周辺4つの村は「Bellocq」を地理的表示が可能である。
赤、ロゼはタナ、カベルネ・フラン、カベルネ・ソーヴィニヨンが主要品種、白はラフィア・ド・モンカード、グロ・マンサン、プティ・マンサンが主要品種である。
【主要ブドウ品種】
<白ブドウ> : ラフィア・ド・モンカード、グロ・マンサン、プティ・マンサン
<黒ブドウ> : タナ、カベルネ・フラン、カベルネ・ソーヴィニヨン
【タイプ】
赤、ロゼ、白
Jurançon
【特徴】
温かい秋、山からの南風によりパスリヤージュが可能で、プティマンサンとグロマンサンを主体に辛口と半甘口をつくる。ジュラソンはアンリ4世の洗礼式で使われた。
【土壌】
珪酸質を含む粘土質
【主要ブドウ品種】
<白ブドウ> : プチマンサン、グロマンサン
【タイプ】
白(甘・辛)
Irouléguy
【特徴】
急斜面の丘陵の段丘に畑が広がる。秋は暑く乾燥している。石の多い土壌で、力強いスタイルのワインが造られる。
【気候】
海洋性+山岳 気候
【土壌】
石灰岩など多様
【主要ブドウ品種】
<白ブドウ> : クルビュ、プティ・クルビュ、グロ・マンサン
<黒ブドウ> : カベルネ・フラン、タナ、カベルネ・ソーヴィニヨン
【タイプ】
赤、ロゼ、白
Floc de Gascogne
【特徴】
オー・ド・ヴィのアルマニャックと同じ生産エリアで造られるヴァン・ド・リキュール。糖度170g/㍑以上の果汁に最低アルコール度数52%のアルマニャックを加えて、アルコール度数16-18%に調整する。
他に白とロゼがある。白はコロンバール、グロ・マンサン、ユニ・ブラン。ロゼ用はカベルネ・フラン、カベルネ・ソーヴィニヨン、マルベック。ミュタージュ後、少なくとも収穫翌年の3月1日まで寝かせる。
【主要ブドウ品種】
<白ブドウ> : コロンバール、グロ・マンサン、ユニ・ブラン
<黒ブドウ> : カベルネ・フラン、カベルネ・ソーヴィニヨン、マルベック
【タイプ】
ヴァン・ド・リキュールの白とロゼ
Limousin
Corréze
【特徴】
カベルネ・フラン単一品種、CF50%以上にメルロ、カベルネ・ソーヴィニヨンをブレンド。
【主要ブドウ品種】
<黒ブドウ> : カベルネ・フラン、メルロ、カベルネ・ソーヴィニヨン
【タイプ】
赤
Correze Coteaux de la Vezere
【特徴】
アラサック、ドンズナック、ヴートザックの3つの村からなる。赤はカベルネ・フラン、白はシュナン・ブランの単一品種。
【主要ブドウ品種】
<白ブドウ> : シュナン・ブラン
<黒ブドウ> : カベルネ・フラン
【タイプ】
赤、白
Correze vin de paille
【特徴】
カベルネ・フラン、カベルネ・ソーヴィニヨン、シャルドネ、メルロ、ソーヴィニヨンを陰干ししたぶどうから甘口ワインが造られる。収穫時糖度189g/リットル、圧搾時糖度320g/㍑以上なければならない。
【主要ブドウ品種】
<白ブドウ> : シャルドネ、ソーヴィニヨン
<黒ブドウ> : カベルネ・フラン、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロ、ソーヴィニヨン
【タイプ】
白、ロゼ
(以上)
【2019/2020 日本ソムリエ協会教本】(日本ソムリエ協会)
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