飲食店で勤めている方は、各種蒸留酒、リキュールを目にする機会、飲む機会は少なからずあると思いますが、エキスパートを目指す方たちはあまり接する機会がないのではないかと思います。
この分野も試験に出てきますし、二次試験でもワイン以外の飲料として出題されるので、今後のことも考えれば、しっかり勉強しておく必要があります。
飲みに行く機会などを利用して、いろんな蒸留酒やリキュールを試して、味の確認をしてはいかがでしょうか?
学習のポイント
- 蒸留酒の製法の確認
- コニャック、アルマニャックの特徴、地名など確認
- リキュールはタイプ別に特徴を覚える
蒸留酒
ウィスキー
<モルトウィスキー>
<グレーンウィスキー>
ウィスキーは以下のタイプに分類されます。
【スコッチ】
特徴:ピート煙からのスモーキーな香り ピート香(燻した草)。バーボンよりスッキリした感じ
【アイリッシュ】
特徴:スモーキーな香りがなく、まろやかな風味
【バーボン】
特徴:トウモロコシと少量のライ麦。内面を強く焦がした新樽で熟成。力強い樽の香りが特徴 樽の焦げた感じを強く感じる。
甘い香りとまろやかな口当たり。
【カナディアン】
特徴:軽く穏やかでバランスがよい
【ジャパニーズ】
特徴:華やかな香り、香味が穏やか、風味のバランスがよく、コクがある
ブランデー
フランスのコニャック、アルマニャックが代表的な産地です。
<ブランデーの作り方>
ワインを作り蒸留し、熟成後瓶詰される。ブドウは蒸留し濃縮されるため、ワインのような高い糖分は必要とされない。
有害微生物の生育抑制や繊細な香味を得るために酸度が要求される。
【コニャック】
ブドウ品種:ユニブラン、フォルブランシュ、コロンバールなど
【6つの地区】
①グランド・シャンパーニュ : 最高品質で、繊細で力強く、ボリューム感もある
②プティット・シャンパーニュ : 香りは①ほどではないが非常に繊細。
③ボルドリー : 丸みがある。スミレの風味。
④ファン・ボワ : 柔和で熟成が早い。
⑤ボン・ボワ : 軽く、粗い。
⑥ボワ・オルデネール : 並みの品質
【製造方法等】
蒸留器 : 単式蒸留器
蒸留 : 2回蒸留。アルコールは72度以内。収穫翌年の3月31日までに蒸留が義務化。
貯蔵 : オーク樽(300リットルバリック)で貯蔵。収穫翌年4月1日から2年間は販売できない。
販売 : アルコール度40度以上での販売が義務
【AOC】
- グランド・シャンパーニュ
- プティット・シャンパーニュ
- ファイン・シャンパーニュ(50%以上のグランド・シャンパーニュと残りプティット・シャンパーニュ)
- ボルドリー
- ファン・ボワ
- ボン・ボワ
- ボワ・オルデネール
- エスプリ・ド・コニャック(ヴァン・ムスーの調整のみに使用する)
【熟成表示】
コント 2 |
3ètoiles,Sèlection,VS,De Luxe,Very Special,Millèsime |
コント 3 |
Supèrieur,Cuvee Supèrieure,Qualitè Supèrieure |
コント 4 |
V.S.O.P.,Rèserve,Vieux,Rare,Royal,Very Superior Old Pale |
コント 5 |
Vieille Rèserve,Rèserve Rare,Rèserve Royale |
コント 6 |
Napolèon,Très Vieille Rèserve,Très Vieux,Hèritage, |
コント 10 |
XO,Hors d’âge,Extre,Ancêstral,Ancetre,Or, |
コント2:V.S.(Very Special) など
コント4:V.S.O.P.(Very Superior Old Pale) など
コント6:Napoleon,XOなど
【アルマニャック】
【製造方法等】
蒸留器 : 単式蒸留器
蒸留 : 2回蒸留。アルコールは72度以内。収穫翌年の3月31日までに蒸留が義務化。
貯蔵 : オーク樽で貯蔵。収穫翌年4月1日から2年間は販売できない。
販売 : アルコール度40度以上での販売が義務
ブドウ品種:バコブラン、ブランダム、ユニブラン、フォルブランシュ、コロンバールなど
<3つの地区>
①バ・ザルマニャック : 最高品質で、フィネス、芳香性に富み、干しスモモの香味がある。
②アルマニャック・テレナーズ : 豊かでボディーがしっかりしている。干しスモモ、スミレの風味がある。
③オー・ダルマニャック : 優しさと柔らかさを兼ね備えている。
【AOC】
- アルマニャック
- バ・ザルマニャック
- アルマニャック・テレナーズ
- オー・ダルマニャック
- ブランシェ・アルマニャック
【熟成表示】
熟成年数の表示(使用されている最も若いオードヴィーの熟成年数を表示)
Compte 1 |
3ètoiles,VS |
Compte 4 |
V.S.O.P. |
Compte 10 |
XO,Hors d’Âge |
Vintage Almagnac :その年に収穫されたブドウのみで作られ、10年以上熟成される。
【カルヴァドス】
原料:48種の林檎及び数種類の梨
蒸留器 : 単式蒸留器
蒸留 : 2回蒸留。アルコール度は72度以下。ポワレは15%以内で混合可。蒸留は10/1から翌年9/30まで。
貯蔵 : オーク樽(古樽)で貯蔵。
販売 : アルコール度最低40度での販売が義務
<フランスのオー・ド・ヴィー Eaux-de-vie reglementees>
ブドウ、リンゴ以外のフルーツを原料としたブランデーをいう。
アルコール度は高く、ほとんど無色透明で、冷やして食後に飲まれることが多い。
【オードヴィードポワールウイリアム】(洋ナシ)
【オードヴィードプリュヌ】(スモモ)
【オードヴィードキルシュ】(サクランボ)
【オードヴィードミラベル】(黄色のプラム)
【Eaux-de-vie de Marc】
マールとは➡ブドウの圧搾後の搾りかすのこといい、これらを発酵・蒸留して得られたオー・ド・ヴィーはマールと呼ぶ。
蒸留器 : 単式蒸留器。特に制限はない。
蒸留 : 絞りかすは、一定期間密閉容器で過ごさせ蒸留する。
貯蔵 : 木樽熟成し、まろやかにする。
販売 : アルコール度40度以上。マール・ダルダス・ゲヴェルツトラミネスは45度以上と規定されている。
リキュール
1.香草・薬草系
アブサン | ニガヨモギを香味の主原料とするリキュール。 ニガヨモギに含まれるツヨンが健康を損ねるので アブサンの場合10PPM以下の許容範囲内で 生産されている。 |
アニゼ | アニスにの種子の香味を主体にした リキュールの総称 |
シャトルリューズヴェール | フランスのヴェロンで生産。味はスパイシー。 アルコール度数55度 |
シャトルリューズジョーヌ | フランスのヴェロンで生産。味はまろやかな蜂蜜風味。 アルコール度数40度 |
ベネディクティン | 27種の薬草、スパイス類が使われたまろやかな風味の リキュール。 ラベルのDOMはDeo Optimo Maximo(至善至高の紙に捧ぐ) |
スーズ | リンドウ科ジェンシアンの根を主原料としたリキュール。 食前酒として飲まれている。アルコール度数15度。 |
カンパリ | イタリア産。 ビターオレンジ果皮が主原料でほろ苦さと 甘みのバランスが良いリキュール。アルコール度数25度 |
ガリアーノ | イタリア産。 ヴァニラ香とアニス香の調和した香味を持つリキュール。 アルコール度数42.3度 |
アマーロ | イタリア産。 イタリア語で苦いを意味する。 数十種類の薬草をスピリッツに浸漬して作る薬草。 |
サンブーカ | イタリア産。 アニスシード、エルダーベリー、リコリスなどを スピリッツに浸漬してエキスを抽出。 無色透明で甘味が強い。アルコール度数40度 |
チナール | イタリア産。 アーティチョークを主原料に13種類のハーブや植物が 使われている。アルコール度数16度。 |
ウゾ | ギリシャ産。アニスを蒸留酒に浸漬し、 再度蒸留して作られる。アルコール度数40度 |
イエーガーマイスター | ドイツ産。 56種類のハーブやスパイスが主原料。 アルコール度数35度前後 |
ドランブイ | スコットランド産。 スコッチウィスキーに蜂蜜やハーブを配合。 |
グリーンティー | 緑茶のリキュール。アルコール度数25度前後 |
2・果実系
キュラソー | オレンジ果皮で香味形成した製品。 フランスのコアントローが有名。 |
マラスキーノ | イタリアのマラスカ種チェリーを発酵した 蒸留した無色透明のチェリーリキュール |
クレーム・ド・カシス | カシスの実をグレープスピリッツやワインに浸漬し、 糖を加え熟成させたもの |
クレーム・ド・フランボワーズ | キイチゴのリキュール |
サザンカンフォート | アメリカ産。 スピリッツにピーチ他数十種類のフルーツと ハーブを配合。アルコール度数21度 |
3.ナッツ・ビーン・カーネル系
アマレット | イタリアのアーモンドフレーヴァーリキュール。 Alc28度。 |
フランジェリコ | イタリアのヘーゼルナッツ風味のリキュール。 Alc20度。 |
4.特殊系
ベイリーズ・オリジナル・ アイリッシュ・クリーム |
アイルランドの脂肪とタンパクに富む牛乳クリームを アイリッシュウィスキーと混ぜたもの。Alc17度。 |
アドヴォカート | エッグリキュール。卵黄を1リットルあたり140g以上、 糖分を1リットルあたり150g含むこととなっている。 |
最後に
ワインの資格試験ですが、ワイン以外にもこんなにたくさんのことを覚えなくてはならず、エキスパート受験者には、かなり酷なパートです。
しかも一次試験に合格し、二次試験に向けては、ここで覚えた知識と味わいを覚えなくてはならず、本当に大変です。私自身、時間もお金もかなり使いました。精神的にもきついものがあったことを覚えています。
ここを乗り越えて、合格に向けて頑張りましょう!
【2019/2020 日本ソムリエ協会教本】(日本ソムリエ協会)
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