本記事では、イタリア中部のうち「ラッツィオ」「ウンブリア」について、まとめていています。
以前は北部全体でまとめていたため、見づらい部分もあったかと思うので、いくつかの州に分けてまとめることにしました。
この記事で「ラッツィオ」「ウンブリア」両州の特徴、DOCG、DOCその他ポイントが分かるようになり、教本を読み返すことで理解、記憶が深まります。
イタリア中部各州のワイン
Lazio
DOCG名 | タイプ | ぶどう品種・特徴他 |
---|---|---|
Cesanese del Piglio | 【赤】 | チェザネーゼ。修道院発祥の地 |
Cannellino di Frascati | 【白】 | マルヴァージア。濃縮果汁添加 |
Frascati Superiore | 【白(甘)】 | マルヴァージア。 |
【特徴】
イタリア半島中部、地中海に面する。州都はローマである。丘陵地帯で多くブドウが栽培されている。
白のDOCワイン「Est!Est!!Est!!! di Montefiascone」が有名。 昔、ワイン好きのドイツの司教がローマの旅に出たときの話です。この司教は従者を先に旅先に行かせて、美味しいワインがあれば「Est」と書くように指示。 この村のワインを飲んだ従者があまりの美味しさにEstを3回書いたことからこの名前が付きました。
【歴史】
古代ローマ時代に反映し、現在も政治、ジャーナリズム、芸能、テレビの中心地である。
【文化・経済】
世界の芸術、文化遺産の30%がローマにあるといわれる。遺跡、美術館などが多く観光客が押し寄せる。イタリアの国内総生産第2位である。第3次産業がほとんどである。
【気候】
地中海性気候。アペニン山脈付近は大陸性の涼しい気候
【土壌】
土壌:北部/中南部:石灰土壌、火山性土壌
【主要ブドウ品種】
<白ブドウ>
Malvasia Bianco di Candia
→トレッビアーノなどの品種とブレンドされることが多い。
Malvasia del Lazio
→病害に弱く栽培されなくなっていたが、品質は高く、改め評されつつある。
Trebbiano Toscano
→フレッシュで早飲みタイプのワインとなる。
Trebbiano Romagnolo
→フレッシュでシンプルな白ワインを生む。
Trebbiano Giallo
→熟すると黄色(Giallo)になる。
<黒ブドウ>
Cesanese
→ラッツィオ原産。
Sangiovese
→色は濃く無いルビー色。スミレ、チェリーの香り。酸とタンニンがしっかりしている。
Montepulciano
→濃厚でアルコール度数も高い力強い赤ワインを生む。
【地元料理】
分類 | 料 理 |
前菜 | Suppli di Riso(生ハムやモッツアレラを入れた 小さめのお米のコロッケ) Carciofi alla Giudia(アーティチョフを オイルで揚げた料理) |
パスタ・スープ | Spaghetti Cacio e Pepe(ペコリーノロマーノと胡椒で スパゲッティを和えたシンプルな羊飼いの料理) Spagjetto alla Carbonara(パンチェッタと卵、 ペコリーノロマーノと胡椒のソースのスパゲッティ) Bucatini all’Amatriciana(グアンチャーレ(豚の感想ホホ肉)、 トマト、トウガラシ、ペコリーノロマーノのソースで あえたパスタ料理) |
肉料理 | Abbacchio allo Scottadito (乳のみ仔羊のあばら肉を焼いた料理) Coda alla Vaccinara (白ワインとトマトで煮込んだ牛テール) Pollo alla Romana (ピーマンとトマトで煮込んだ鶏肉料理) |
その他 | Torta di Ricotta(リコッタチーズのタルト) |
チーズ | Pecorino Romano(DOPチーズ、羊乳、加熱圧搾、 ローマ建国の王ロムルスが造ったいう逸話がある) |
北部(ヴィテルボ県)
【気候】
地中海性気候
【土壌】
石灰土壌、火山性土壌
【主要ブドウ品種】
<白ブドウ>Grechetto,Procanico
<黒ブドウ>Aleatico,Sangiovese
【主要DOC】
【Est! Est! Est! di MOntefiascone 】
酸味の少ない、果実味のあるシンプルな白ワイン。
【Aleatico di Gradoli】
アロマティックな甘口赤ワイン
中南部(ローマ/フロジノーネ県)
【気候】
地中海性気候
【土壌】
石灰土壌、火山性土壌
【主要ブドウ品種】
<白ブドウ>Malvasia Bianca di Candia,Malvasia Bianca del Lazio,Trebbiano Giallo
<黒ブドウ>Cesanese
【主要DOCG】
【Cesanese del Piglio】
優美で個性的なワイン。2008年にDOCGへ昇格。
【Cannellino di Frascati】
遅摘みまたは陰干しブドウによる甘口フラスカーティー。
【Frascati Superiore】
フラスカーティーより厳しい規定で作られる。
【主要DOC】
【Frascati】
玄武岩、凝灰岩土壌で造られるワイン。白ワインはまろやかな味わい。ローマでは肉料理にも白ワインが普通に飲まれる。
【Cesanese di Affile】
チェザネーゼの赤ワインの呼称。良質な果実味、かすかにスパイシーさを持つ
Umbria
DOCG名 | タイプ | ぶどう品種・特徴他 |
---|---|---|
Montefalco Sagrantino | 【赤(甘)】 | サグランティーノ、パッシートあり |
Torgiano Rosso Riserva | 【赤】 | サンジョヴェーゼ70%以上 |
【特徴】
イタリア中部、海に面していない州。ペルージャ、アッシジなど観光名所が多数ある。白ワインのオルヴィエートが有名である。中世から甘口ワインとして讃えられ教皇庁御用達でもあった。
【歴史】
エトルリアの時代から栄えていた。ロー教皇庁領となったあと、1860年にイタリア王国に統一された。
【文化・経済】
多くの修道院がある。アッシジの聖フランチェスコ教会には有名なフレスコ画がある。ペルージャには外国人大学があり、多くの留学生が学んでいる。
【気候】
亜地中海性気候、亜大陸性気候
【土壌】
ペルージャ:石灰土壌、沖積土壌
テルニ :粘土、砂、凝灰岩、沖積土壌
【主要ブドウ品種】
<白ブドウ>
Grechetto
→ギリシャ起源の白ブドウ。フルーティーな白ワインとなる。
Procanico
→トレッビアーノの一種。
<黒ブドウ>
Sangiovese
→色は濃く無いルビー色。スミレ、チェリーの香り。酸とタンニンがしっかりしている。
Sagrantino
→土着品種。ポリフェノール含有量が異常に多い品種。長期熟成向き。
【地元料理】
分類 | 料 理 |
パスタ・スープ | Spaghetti con il Tartufo Nero (黒トリュフを和えたスパゲッティ) Minestra di Farro (スペルト小麦のスープ) |
肉料理 | Porchetta alla Perugina (ハーブを詰めて丸焼きにした子豚) |
チーズ | Pecorino di Norcia (チーズ、羊乳、非加熱圧搾、ノルチア産) |
ペルージャ県
【気候】
大陸性気候
【土壌】
石灰土壌、沖積土壌が混じる
【主要ブドウ品種】
<白ブドウ>Grechetto,Trebbiano
<黒ブドウ>Sangiovese,Sagrantino,Merlot
【主要DOCG】
【Montefalco Sagrantino】
サグランティーノはポリフェノール含有量が非常に多いため、色素やタンニンが豊かな濃厚なワインが作られる。
【Torgiano Rosso Riserva】
サンジョヴェーゼ主体で深みのある、複雑かつ優美なワインである。
【主要DOC】
【Montefalco】
白はクレレット、トレッビアーノで赤はサンジョヴェーゼ、サグランティーノ。サンジョヴェーゼに10-15%のサグランティーノ。独自のスパイシーさと力強さを持つワインである。
【Torgiano】
様々な品種が対象
テルニ県
【気候】
地中海性気候
【土壌】
粘土、砂、凝灰岩、沖積土壌
【主要ブドウ品種】
<白ブドウ>Procanico,Grechetto
<黒ブドウ>Sangiovse,Merlot
【主要DOC】
【Orvieto】
昔は貴腐ワインを作り、強行御用達であったが、現在はブレカニコ・グレケットで造られ、優しい味わいを持つワインである。
(以上)
【2019/2020 日本ソムリエ協会教本】(日本ソムリエ協会)
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