本記事では、イタリア南部のうち「シチリア」「サルディーニャ」について、まとめていています。
以前は南部全体でまとめていたため、見づらい部分もあったかと思うので、いくつかの州に分けてまとめることにしました。
この記事では「シチリア」「サルディーニャ」両州の特徴、DOCG、DOCその他ポイントが分かるようになり、教本を読み返すことで理解、記憶が深まります。
島独特の栽培方法や特徴あるDOCがあるので、覚えるようにしましょう!
イタリア南部各州のワイン
上記、「シチリア」「サルディーニャ2つの州について説明を進めていきます。
Sicilia
DOCG名 | タイプ | ぶどう品種・特徴他 |
---|---|---|
Cerasuolo di Vittoria | 【赤】 | ネロダーヴォラ、フラッパート。 アブルッツォ州のチェラスオーロはロゼだが、 この地方では赤ワインを意味する。クラシコあり |
【特徴】
イタリア最大の州である。地理的に各種文明が入ってきた。
ヴィニフェラ系のブドウはシチリアを経由し、本土に広がっていった。
固有品種の宝庫で白ブドウはインツォリア、カッチカンテ、グリッロ、グレカニコ、カタラット、ミネッラなど黒ブドウはネーロ・ダーヴォラ、ネレッロ・マスカレーゼ、ネレッロ・カップッチョ、フラッパート、ペリコーネなど。
1990年代後半から高品質ワインを目指すワイナリーが増えてきてシチリアワインがおこった。島内は多様なテロワールにより、様々ワインが造られている。
【歴史】
ギリシャ人、フェニキア人、カルタゴ人が頻繁に往来していた。カルタゴの支配の後、ローマ帝国の一部となる。
当時穀物栽培が盛んで「ローマの穀物倉庫」と呼ばれていた。各国の支配を受け、最終的にイタリア王国の一部となった。
【文化・経済】
シチリア人は猜疑心が強く、外部への警戒心が強い。
農業は重要な産業で、特にパスタの硬質小麦が優れている。柑橘類、トマトなど非常に優れいている。マグロ業や漁業も盛んである。
【気候】
地中海性気候
【土壌】
真っ白な石灰土壌、鉄分を含む赤い土壌、火山性土壌など
東部:エトナ火山性土壌、ヴィットリア赤い粘土、砂、凝灰岩
西部:石灰土壌、粘土、砂
【主要ブドウ品種】
<白ブドウ>
Catarratto
→アルコール度数が高く、フレッシュなワインを生む。
Annsonica(Inzolia)
→フラワリーなアロマを持つ優美な白ワインを生む。
Grecanico
→アロマティックだが、デリケートな味わいの白ワインとなる。
Zibibbo
→アロマティック品種。パッシートが有名
Carricante →エトナの固有品種。酸が非常に強く、長期熟成に適している。
<黒ブドウ>
Nero d’Avola
→赤い果実亜プラムのアロマを持つ、力強い赤ワインを生む
Nerello Mascarese
→色は薄めで、酸とタンニンがしっかりしている。
Frappato
→フラワリーなアロマを持つ、軽めの赤ワインとなる。
【地元料理】
分類 | 料 理 |
前菜 | Arancino di Riso(大きなお米のコロッケ) Insalata di Arance(オレンジにオリーブオイル、 塩、胡椒をかけたサラダ) Caponata(トマト、ナスなどの野菜の 煮込み料理) |
パスタ・スープ | Pasta con Sarde(鱈、干しブドウ、松の実、 フェンネルであえたパスタ) Pasta alla Norma(茄子とトマトのソースに 熟成させたリコッタサラータをかけたパスタ) |
魚介料理 | Cous Cous di Pesce(トラパに周辺で食べられる 魚介のソースをかけたクスクス) |
肉料理 | Farsumagru(仔牛肉にサルシッチャ、モルタデッラ、 ゆで卵、パンチェッタ、カチョカヴァッロ、 ペコリーノ、グリーンピースなどを詰めて巻き、 トマトソースで煮込んだ料理) |
その他 | Caanoli(筒状の揚げた生地にリコッタと 柑橘類の皮の砂糖漬けを添えたお菓子) Cassata Siciliana(スポンジケーキにリコッタ、 アーモンドペースト、ドライフルーツを 重ねた非常に甘いケーキ) |
チーズ | Pecorino Siciliano(DOPチーズ、羊乳、非加熱圧搾) Ragusano(DOPチーズ、牛乳、パスタフィラータ、四角柱形) |
東部
【気候】
地中海性気候。標高が高いところはアルプス的気候
【土壌】
エトナは火山性土壌。
【主要ブドウ品種】
<白ブドウ>Carricante,Catarratto,Inzolia,Grillo
<黒ブドウ>Nerello Mascalese,Nerello Cappuccio,Nero d’Avola,Frappato
【主要DOCG】
【Cerasuolo di Vittoria】
力強いネーロダーボラ50-70%にフラワリーなフラッパーとがブレンドされる。
【主要DOC】
【Etona】
火山性土壌。フレッシュでミネラル豊富なエレガントなワイン。
白のガリカンテは非常に酸が強い。長期熟成するとリースリングのようになる。
ネレッロマスカレー、ネレッロカップッチェはタンニンがしっかりあり、色は濃くない。赤はみずみずしく繊細で長期熟成能力を持つワインである。
【Faro】
ネレッロ・マスカレーゼ、ネレッロカップッチェベース。エトナより優しい味わい。
【Eloro】
ネロダーボラの産地。シロッコが吹き荒れる乾燥したパキーノ周辺。凝縮した果実、フレッシュな酸、ほのかに塩味のある偉大なワイン。
【Moscato di Noto】
興味深い甘口ブドウ
西部
【気候】
地中海性気候
【土壌】
石灰土壌に粘土、砂が混じる
【主要ブドウ品種】
<白ブドウ>Catarratto,Grillo,Inzolia,Grecanico
<黒ブドウ>Nero d’Avola,Perricone
【主要DOC】
【Malvasia delle Lipari】
リパリ島。素晴らしい甘口ワイン。アプリコット、柑橘系、ハーブのアロマを持つ複雑なワイン。
【Alcamo】
カタラットの白ワインが有名。フレッシュでかすかな苦味と塩っぽさがあり、爽やかなワインで魚介類との相性が最高に良い。
【Marsala】
酒精強化ワイン。別途解説。
【Moscato di Pantelleria】
パンテッレリア島。火山性の真っ黒な島。高級バカンス地。
ジビッポの甘口ワイン。干したナツメヤシ、イチジク、柑橘系の香り。
Sardegna
DOCG名 | タイプ | ぶどう品種・特徴他 |
---|---|---|
Vermentino di Gallura | 【白】 | ヴェルメンティーノ。スペリオーレあり。 魚介類に適す。 |
【特徴】
シチリアに次ぐ2番目に大きな島。サルデーニャ人の性格は閉鎖的で「誇り高き孤立」を選んだ。
ワイン作りにも影響しており、近代化には比較的無関心であった。独自のワイン文化が継続されている。
【歴史】
ユニークな石造り建築ヌゲーラ遺跡を残した民族がすんでいた。いろんな国の支配を受けてきた。
1720年以降はサヴォイア家の所有となり、ピエモンテとともにサルディーニャ王国を形成し、イタリア共和国の自治州となった。
【文化・経済】
海岸部は開けているが、内陸部は閉鎖的な文化である。イタリア語のほか北部はコルシカ語、北西部はカタローニア語が話されている。
第二次大戦後、イタリア半島の生活レベルに近づいてきた。
今は農業、観光業が重要な産業である。コスタ・スメラルダは高級リゾート地として有名である。またコルクの産地としても知られている。
【気候】
海岸部:地中海性気候、内陸部:大陸性気候
【土壌】
オルピアーテンヒン県:花崗岩土壌、石灰土壌
オリスターノ:石灰土壌
カリアリ:石灰土壌
【主要ブドウ品種】
<白ブドウ>
Vermentino
→繊細で黄桃のアロマを持ち、後味に苦みを感じる。
Vernaccia di Oristano
→オリスターノで栽培されるヴェルナッチャ
Nasco
→麝香を感じさせるアロマを持つ。甘口ワインになることが多い。
<黒ブドウ>
Cannonau
→果実味や豊かで、かすかにスパイシーな赤ワインを生む。
Carignano
→カリニャンと同じ。
Giro
→フルーティーでタンニンのしっかりした赤ワインとなる。
Monica
→サッサリ県で栽培されている。
【地元料理】
分類 | 料 理 |
パスタ・スープ | Malloreddus(トマト、サルシッチャ、ペコリーノの 濃厚なソースであえたセモリナ粉のニョッキ) Su Farru(小麦とチーズのスープ) |
魚介料理 | Arragosta Arrosta(伊勢海老のロースト) Arragosta alla Griglia(伊勢海老の炭火焼) |
肉料理 | Porceddu(子豚の丸焼き) |
その他 | Pane Carasau/Carta da Musica (楽譜と呼ばれる非常に薄い紙のようなパン) |
チーズ | Fiore Sardo(DOPチーズ、羊乳、非加熱圧搾) Pecorino Sardo(DOPチーズ、羊乳、半加熱圧搾) Pecorino Romano(DOPチーズ、羊乳、加熱圧搾、 現在生産の中心はサルデーニャ島) |
オルビアーテンピオ/サッサリ県
【気候】
地中海性気候/暑い
【土壌】
ガッルーラ地方は花崗岩土壌/その他石灰土壌
【主要ブドウ品種】
<白ブドウ>Vermentino
<黒ブドウ>Cannnonau
【主要DOCG】
【Vermentino di Gallura】
島の北東部、ガッルーラ地方。花崗岩土壌によりしっかりとしたアルコール度数、深みのある味わい、塩っぽさがあるワインが作られる。
【主要DOC】
【Moscato di Sorso-Sennori】
サッカリ周辺。香り高く濃厚な甘口ワイン
オリスターノ県
【気候】
地中海性気候/暑い
【土壌】
石灰土壌
【主要ブドウ品種】
<白ブドウ>Vermentino,Malvasia,Vernaccia di Oristano
<黒ブドウ>Cannnonau
【主要DOP/DOCG】
<Malvasia di Bosa>
瞑想ワイン。極上のシェリーのような優美さを持つ。酸化、熟成したワインでヘーゼルナッツ、グリーンオリーブ、ハーブのアロマを持つ。映画「モンドヴィーノ」で取り上げられ、有名になる。
<Vernaccia di Oristano>
シェリーに似て、フロールを発生させ、緩やかに酸化熟成するワイン。
【主要DOC】
【Malvasia di Bosa】
カリアリ県
【気候】
地中海性気候/暑い
【土壌】
石灰土壌
【主要ブドウ品種】
<白ブドウ>Vermentino
<黒ブドウ>Carignano,Cannnonau
【主要DOC】
【Carignano del Sulcis】
堅固かつみずみすしい赤ワインが作られている。
(以上)
【2019/2020 日本ソムリエ協会教本】(日本ソムリエ協会)
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