ポルトガルのワイン

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ポルトガルは、ポート、マデイラといった酒精強化ワインのイメージが強い一方で、近年はスティルワインの評価も世界的に高まっている産地です。

J.S.A.ソムリエ/ワインエキスパート試験では、酒精強化ワインに加えて主要産地名や代表的土着品種の理解が問われるため、「地図と品種」「スタイルのイメージ」を結び付けて整理することが得点の近道になります。

この記事では、一般呼称レベルで押さえておきたいポルトガルワインの全体像を、概要→地理・気候→ワイン法→品種→主要産地→酒精強化ワインという流れで体系的に整理していきます。

目次
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学習のポイント

第1ステップ:全体像と「何の国か」をつかむ

  • 「小さな国だが多様な産地」「酒精強化ワイン大国」という2つのイメージをセットで覚える。ポート(ドウロ)、マデイラ(マデイラ島)、モスカテル・デ・セトゥーバル(セトゥーバル半島)というキーワードを地図と結びつけて確認する。
  • スティルワインでは、ヴィーニョ・ヴェルデ(軽快な白、微発泡)、ドウロ(力強い赤)、ダン(エレガントな赤)、アレンテージョ(濃厚で果実味豊かな赤)など、産地名とスタイルのイメージをペアで覚える。

第2ステップ:土着品種と酒精強化ワインを重点暗記

  • 黒ブドウはトウリガ・ナシオナル、ティンタ・ロリス(テンプラニーリョ)、トウリガ・フランカなど、酒精強化・スティル両方で重要な品種を優先して押さえる。
  • 白ブドウはアルバリーニョ、ロウレイロ、アリンタ、アンタォン・ヴァスなど主要品種を「どの産地で見かけるか」とセットで覚える。
  • ポートとマデイラは、タイプ(ルビー/トウニー/コルヘイタ、マデイラの熟成スタイルなど)よりも、「どのブドウ・どの島/谷で造られるか」といった産地寄りの情報に重点を置くと全体像を整理しやすくなります。

第3ステップ:地理・気候とワイン法をざっくり整理

  • 「大西洋沿いの海洋性」「内陸の大陸性」「南部の温暖な地中海的」という3つの気候イメージをざっくり持ち、ヴィーニョ・ヴェルデ(北西の涼しい沿岸)とドウロ(内陸の渓谷)、アレンテージョ(南部の暑い平原)を位置関係で覚える。
  • ワイン法は詳細な条文までは不要で、EU共通枠組み(DOP/IGP)と旧呼称DOCの関係を理解し、「主要産地=DOP(またはDOC)」程度を押さえれば一般試験には十分です。

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ポルトガルワイン概要

概要

ポルトガルはイベリア半島西端、大西洋に面した小さな国で、北・東はスペインと国境を接しています。
農業、とりわけオリーブ、小麦、ワイン、コルク生産が重要産業で、世界のコルクの約半分を生産する国としても知られています。

ワイン生産では、赤・白のスティルワインに加え、世界的に有名な酒精強化ワイン(ポート、マデイラ、モスカテルなど)を擁し、スタイルの幅が非常に広いことが特徴です。

歴史背景

ポルトガルのワイン造りは紀元前から続いており、ローマ時代以降ヨーロッパ市場向けの輸出産地として発展しました。

18世紀にはイギリスとの貿易を背景にポートワインが国際的に確立し、その後マデイラも航海用ワインとして高い評価を得て、酒精強化ワイン大国としての地位を築きました。

20世紀前半のサラザール政権下では農業保護政策の影響で多くの土着品種が保持・発展し、現在認定される品種だけでも約250種に及ぶ「固有品種の宝庫」となっています。

都市・町としての特徴

首都リスボンは、大西洋岸に位置する港湾都市で、テージョ川流域のワイン産地(テージョ、ペニンシュラ・デ・セトゥーバル)と密接に結びついています。

北部のポルトはポートワインの積出港として発展し、対岸のヴィラ・ノヴァ・デ・ガイアには多くのポートワインのロッジが集まっています。

大西洋に浮かぶマデイラ島は急峻な地形と温暖な気候を持ち、独自の酒精強化ワイン「マデイラ」で世界的に知られるワイン・観光の拠点です。

気候風土

ポルトガルは西側を大西洋、東側をスペインに挟まれ、北部は山脈が南北に走り、南部は比較的平坦な地形が広がります。

一般に沿岸部は穏やかな海洋性気候で降水量が多く、内陸に入るほど乾燥し暑い大陸性の傾向が強まり、南部アレンテージョでは夏の高温が濃厚で熟したスタイルの赤ワインを生み出します。

土壌も花崗岩、片岩、石灰岩、砂地など多様で、例えばヴィーニョ・ヴェルデの冷涼で多雨な環境は高い酸を持つ軽快な白ワインを、ドウロ渓谷の片岩質の急斜面は凝縮感と力強さを持つ赤ワインを生み出しています。

地元料理とワインの関係

ポルトガルでは、海産物を使った素朴な料理から肉料理、塩漬け鱈(バカリャウ)料理まで幅広く、ワインとのペアリングも産地ごとに特徴があります。

  • Bacalhau(バカリャウ):干し鱈を塩抜きして、グリルやコロッケなど様々な料理に使う国民的食材で、北西部のヴィーニョ・ヴェルデの爽やかな白と合わせると塩味を洗い流しつつ旨味を引き立てます。
  • Caldeirada:魚介を煮込んだ鍋料理で、リスボン周辺や沿岸部でよく食べられ、軽快な白やロゼ、場合によっては柔らかな赤(テージョやセトゥーバルのワイン)と合わせられます。
  • Leitão assado:子豚のローストで、バイラーダ地方の名物料理として知られ、しっかりしたタンニンと酸を持つバガ主体の赤ワインが脂の多い肉を引き締める相性です。
  • Queijo Serra da Estrela:中部山岳地帯の羊乳チーズで、クリーミーでリッチな味わいに、ダンやドウロのエレガントな赤ワイン、あるいはやや熟成したポートが好相性です。
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地理・気候条件

地理(地図)

  • 北西:ヴィーニョ・ヴェルデ(海沿いの冷涼地域、ポルトの北側)。
  • 北内陸:ドウロ渓谷(ポートと重厚な赤の産地)。
  • 中部内陸:ダン、バイラーダ(やや標高があり、エレガントなスタイル)。
  • リスボン周辺:テージョ、リスボア、ペニンシュラ・デ・セトゥーバル(量産地から高品質まで幅広い産地)。
  • 南部:アレンテージョ(広大で暑い平原、果実味豊かな赤の産地)。
  • 島嶼部:マデイラ島、アソーレス諸島(主に酒精強化および独自スタイルのワイン)。

気候条件

沿岸部のヴィーニョ・ヴェルデやリスボアは大西洋の影響で冷涼〜温暖な海洋性気候となり、多雨かつ湿度が高く、軽快で高酸な白ワインや微発泡ワインが中心です。

ドウロ内陸部は夏の暑さが厳しく、片岩質の急斜面が熱を蓄えるため、糖度・フェノール成熟ともに高く、濃厚で力強い赤ワインやポートに適したブドウが生育します。

中部のダンやバイラーダは標高や海風の影響でやや涼しく、バガやエンクルザードなどの品種から、酸とエレガンスを兼ね備えた長熟型のワインが生まれます。

南部アレンテージョは夏の高温・少雨でブドウが完熟しやすく、濃厚で果実味豊かな赤ワインが多い一方、近年は標高差や品種選択、醸造技術を活かしてバランスの取れたスタイルも増えています。

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主要ブドウ品種

一般呼称レベルでは、すべての土着品種を覚える必要はなく、「試験に出やすい代表品種」に絞って整理するのがおすすめです。

白ブドウ(主要品種のイメージ)

品種名主な産地・役割スタイルのイメージ
アルバリーニョ (Alvarinho)ヴィーニョ・ヴェルデ、特に北部モンサォン周辺。高い酸とミネラル、柑橘・核果の香りを持つ、凝縮感のある辛口白。ヴィーニョ・ヴェルデの高品質キュヴェに用いられる。
ロウレイロ (Loureiro)ヴィーニョ・ヴェルデ全域。芳香が豊かで、花や柑橘系の香りを持つ軽快な白。爽やかな微発泡スタイルにも用いられる。
トラジャン (Trajadura)ヴィーニョ・ヴェルデ南部など。果実味とボディを補うブレンド用品種で、柔らかな酸と豊かな果実味が特徴。
アリンタ (Arinto)アレンテージョ、ヴィーニョ・ヴェルデなど全国各地。高い酸とレモン系の香りを持ち、スティル白やスパークリングの骨格を支える品種。
アンタォン・ヴァス (Antão Vaz)主にアレンテージョ。熟した柑橘やトロピカルフルーツの香りを持ち、暑い産地でも酸を保ちやすい白。豊かなボディを持つ。
エンクルザード (Encruzado)ダン地方。優れた白ワイン用品種として評価され、樽熟成にも耐える複雑で長熟型の白を生み出す。

黒ブドウ(主要品種のイメージ)

品種名主な産地・役割スタイルのイメージ
トウリガ・ナシオナル (Touriga Nacional)ドウロ、ダン、バイラーダなど北部。ポルトガルを代表する黒ブドウ。濃い色調と豊富なタンニン、ブラックベリーとスミレのアロマを持つ凝縮したワインを生み、ポートとスティル赤双方の中核品種。
ティンタ・ロリス (Tinta Roriz) / アラゴネス (Aragonez)ドウロ、ダン、ポルトガル南部全域。スペインのテンプラニーリョと同じ品種で、滑らかな果実味としなやかなタンニンを持ち、ブレンドにエレガンスと気品を与える。
トウリガ・フランカ (Touriga Franca)ドウロなど北部。フローラルで果実味豊かな香りとやわらかなタンニンを持ち、ポートおよびスティル赤のブレンドで重要な補助品種。
バガ (Baga)バイラーダ、ダン。厚い果皮から高いタンニンと酸を持つ濃色のワインを生み、長期熟成でブルゴーニュ的な繊細さを備えると言われる。
カステラォン (Castelão)ペニンシュラ・デ・セトゥーバル、ポルトガル南部。赤・ロゼに用いられ、柔らかなタンニンとデリケートな香りを持つ、親しみやすいスタイルのワインを生み出す。

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ワイン法(試験で押さえるべき枠組み)

ポルトガルのワイン法はEUの枠組みと連動しており、原産地呼称はDOP(Denominação de Origem Protegida)と表記され、旧来のDOC(Denominação de Origem Controlada)とほぼ同義で用いられています。

その下位区分として、広域のIGP(Indicação Geográfica Protegida)があり、フランスのIGPやイタリアのIGTに相当するカテゴリーとして、比較的柔軟な品種・スタイルでワインを生産できます。

一般呼称試験では、個々の条文を詳しく覚える必要はなく、主要産地名がDOPに属すること、デイリーワインやブレンドにIGPが使われることを押さえておけば十分です。

ポルトガルの品質分類は現在、EUワイン法に沿って大きく3階層に整理されています。

最上位がDOP(Denominação de Origem Protegida/保護原産地呼称、従来のDOCと同義)、中位がIGP(Indicação Geográfica Protegida=Vinho Regional)、下位がVinho(地理的表示なしワイン)という構成です。

  • DOP/DOC:産地境界、認可品種、最大収量、スタイルなどを細かく規定し、官能審査を経て認証される最上位カテゴリーで、ポート、ドウロ、マデイラ、ヴィーニョ・ヴェルデなど重要産地はここに属します。
  • IGP(Vinho Regional):14地域に分かれ、DOCより規定が緩やかで、DOCでは認められない品種やブレンド比率でも生産可能な柔軟な枠組みです。
  • Vinho:テーブルワインに相当し、品質や産地に関する法的規定は最も緩く、ラベルには単に「Vinho」と表示されます。

試験で頻出の年号として、1754年ドウロがワイン産地として制定、1756年ポルトで世界初の原産地呼称管理法が導入、1986年EU加盟に伴うワイン法整備、2008年DOP/IGPへの再編、といったタイミングがあります(ただし一般では年号暗記は優先度中)。

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主要産地(DOC名つきで覚えたいエリア)

一般呼称では、「DOC名+位置+スタイルの一言」のセットで覚えると得点しやすくなります。

最重要DOCリスト(教本でも太字になりやすいもの)

教本系サイトでは、ポルトガルで重要なDOCとして、以下が挙げられています。

  • ヴィーニョ・ヴェルデ (Vinho Verde):北西ミーニョ地方、花崗岩土壌。白主体で、若々しく軽快な酸と低アルコール、微発泡のイメージが重要です。
  • ポート (Porto):ドゥリエンセ地方の酒精強化ワインDOCで、ドウロ渓谷のブドウを原料にヴィラ・ノヴァ・デ・ガイアなどで熟成・出荷される甘口酒精強化ワインです。
  • ドウロ (Douro):同じドゥリエンセ地方のスティルワインDOCで、片岩質の急斜面から凝縮した力強い赤(ドウロ・ボーイズなどで有名)を生みます。
  • ダン (Dão):テラス・ド・ダン地方。トウリガ・ナシオナルなどからエレガントで長熟型の赤が中心で、白のエンクルザードも高評価です。
  • バイラーダ (Bairrada):中部バイラーダ・アトランティコ地方。バガ主体のタンニン・酸の強い赤、スパークリングが重要で、1989年にスパークリング産地として認定されたDOCとしても押さえられます。
  • テージョ (Tejo):リスボン内陸部のテージョ川流域で、伝統的には量産地のイメージでしたが、近年は高品質な赤・白も増えています。
  • ペニンシュラ・デ・セトゥーバル (Península de Setúbal):リスボン南の半島部で、海風の影響で柔らかくも充実した赤・白に加え、モスカテル種から酒精強化ワインも生産されます。
  • アレンテージョ (Alentejo):南部の広大で暑い産地で、フルボディで果実味豊かな赤ワインがポルトガルワインの「トレンド」を牽引しています。
  • コラーレス (Colares):リスボン地方。砂地土壌で接ぎ木をしていないフィロキセラ・フリーのブドウが残る特異なDOCとして試験に出やすいトピックです。
  • セトゥーバル/パルメラ (Setúbal/Palmela):ペニンシュラ・デ・セトゥーバルで同一地域に位置するDOCで、モスカテル種を果皮ごと醸し酒精強化する甘口ワインが有名です(セトゥーバル)。
  • マデイラ (Madeira):テラス・マデイレンセス諸島の酒精強化DOCで、加熱熟成による高酸・酸化熟成が特徴の世界三大酒精強化ワインの一つです。
  • ピコ (Pico):アソーレス諸島ピコ島のDOCで、溶岩石の石垣「Currais」で潮風からブドウ樹を守る独特の景観と、ラジドという酒精強化ワインが試験ポイントです。

「どの地方に属するか」も選択肢に出やすいため、ヴィーニョ・ヴェルデ=ミーニョ、ポート/ドウロ=ドゥリエンセ、ダン/バイラーダ=中部、リスボン/コラーレス=リスボン、アレンテージョ=南部、マデイラ/アソーレス=諸島、というくらいは地図と一緒に確認すると安心です。

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酒精強化ワイン

ポルトガルの試験で最重要トピックのひとつが酒精強化ワインであり、特にポートとマデイラは、原産地・ブドウ品種・スタイルの大枠を押さえておく必要があります。

ポートワインの要点

ポートワインはドウロ渓谷で栽培されたブドウを原料とし、発酵途中でブランデーを添加してアルコール度数を高め、糖分を残した酒精強化ワインです。

アルコール度数は通常19〜22度に仕上げられ、赤タイプではルビー(若飲み果実重視)とトウニー(長期酸化熟成)というスタイル区分が試験でよく問われます。

主要ブドウにはトウリガ・ナシオナル、トウリガ・フランカ、ティンタ・ロリス(テンプラニーリョ)、ティンタ・バロッカなどが用いられ、複数品種のブレンドで複雑さとバランスを追求します。

スタイルとしては、若々しい果実味重視のルビータイプ、酸化熟成由来のナッツ香を持つトウニータイプ、単一収穫年のコルヘイタなどがありますが、一般呼称では「甘口酒精強化」「ドウロ渓谷産」「主要黒ブドウ品種」程度を押さえておけば十分です。

覚えておきたいポイント:

  • 主産地:ドウロ渓谷(Baixo Corgo、Cima Corgo、Douro Superior の3区分があり、最も品質が高いのはCima Corgoとされる)。
  • 品種:トウリガ・ナシオナル、トウリガ・フランカ、ティンタ・ロリス(テンプラニーリョ)、ティンタ・バロッカなど約80品種以上が認可されるブレンドワイン。
  • 畑格付け:土壌・気候・品種・密植度・仕立て・樹齢など12項目でA〜Fまで6段階評価する「カダストロ(Cadastro)」という畑格付け制度がある。
  • 熟成場所:1926年以降はヴィラ・ノヴァ・デ・ガイアのロッジで熟成する決まりでしたが、1986年以降は生産地での熟成・出荷も認められている、という変遷が教本に記載されています。
タイプ特徴
 ルビー平均3年間樽熟成後に瓶詰
ヴィンテージポート
➡特に作柄の良かったブドウから作られた長期熟成ポート
LBV(Late Bottled Vintage Port)
➡ヴィンテージポートより若干品質が下のクラス
 トウニー小さい樽で熟成させ、酸化が促進し、黄褐色(トゥニー)となる。
エイジドトゥニー➡10,20,30,40年物がある
コリヘイタ➡ヴィンテージポートで樽塾7年以上
 ホワイト白ぶどうを低温で長期間発酵してからグレープスピリッツを添加した、辛口タイプ

一般呼称では、細かな熟成年数やスペシャルタイプの分類よりも、「アルコール添加のタイミング」「産地」「主要品種」「ルビー/トウニーのイメージ」を優先して押さえると効率的です。

マデイラの要点

マデイラは、マデイラ島で造られる酒精強化ワインで、発酵途中にアルコール度数96度のグレープ・スピリッツを添加した後、加熱熟成を行う点が最大の特徴です。

加熱方法には、自然な温度勾配を利用するカンテイロ(Canteiro)と、人工的な加熱槽を使うエストゥファ(Estufa)の2方式があり、どちらの名称も試験で頻出です。

<カンテイロ>

<エストゥファ>

覚えておきたいポイント:

  • 主な白品種:セルシアル(最も辛口、冷涼地)、ヴェルデーリョ(辛口〜中辛口)、ボアル(中辛口)、マルヴァジア(最も甘口)、テランテス(希少品種)。
  • 黒品種:ティンタ・ネグラ・モーレが収穫量の約80%を占め、辛口〜甘口まで幅広いスタイルに用いられる。
  • 品種表示:品種名をラベル表示する場合、当該品種を最低85%以上使用する必要がある(EUの一般的な品種表示ルールと同様)。
  • 熟成表示:最低3年樽熟成が義務付けられ、熟成年数によってResera/Special Reserve/Extra Reserveなどの表記が認められるほか、20年以上熟成したフラスケイラやガラフェイラといった特別表示もあります(一般では名称だけ見覚えがあれば十分)。
タイプ説明
セルシアルセルシアルはマデイラ島の標高600〜700mの冷涼な地域で栽培される白ブドウ品種で、マデイラワインの中でも最も辛口タイプに仕上がることで知られています。酸味と収斂味が非常に強く、ポルトガルでは「犬泣かせ」とも呼ばれるほどです。

発酵終了直前に酒精強化が行われるため、ライトで芳香に富み、キレの良い酸味が特徴的です。色調はトパーズのようなゴールドで、ナッツやドライフルーツ、シトラスの香りが感じられ、食前酒や魚介類の前菜、ドライフルーツやスパイシーなチーズとの相性も抜群です。
ヴェルディーリョヴェルディーリョは標高400〜600mの比較的涼しい北部地域で栽培される白ブドウ品種です。

ほどよい酸味と、しっかりとしたスモーキーなニュアンスが特徴で、味わいは中辛口に分類されます。発酵後半に酒精強化が行われるため、微かな蜂蜜風味とともに、豊かな味わいが楽しめます。

19〜20世紀にはマデイラ島の主要品種であり、かつてはブドウ畑の2/3を占めていた歴史もあります。
ボアルボアルは主に島南部の標高300〜400mの温暖な地域で栽培される白ブドウ品種です。

発酵中、ブドウの糖度が半分程度残っている段階で酒精強化されるため、芳醇でバランスの良い中甘口のマデイラワインが造られます。

酸味と甘味のバランスが良く、豊かな味わいが特徴です。大粒で食用にも向く品種ですが、栽培量が少なく希少性があります。
マルヴァジアマルヴァジアはマデイラ島で最初に植えられたとされる白ブドウ品種で、ギリシャのクレタ島原産です。

主に海岸沿いの暑い地域で栽培され、発酵の初期に酒精強化が行われることで、濃褐色でリッチかつ濃縮感のある甘口ワインが生まれます。

マデイラワインの中でも最もリッチで濃度の高いワインとなり、「マルムジー」とも呼ばれています。長期熟成にも耐え、豊かな香りと深い甘味が特徴です。
ティンタネグラモーレティンタ・ネグラ・モーレは、マデイラ島で最も多く栽培されている黒ブドウ品種で、総生産量の80〜85%を占めます。18世紀に導入され、標高の高低を問わず島のほぼ全域で栽培されています。

酸度や糖度の違いにより、辛口から甘口まで幅広いスタイルのマデイラワインが造られるマルチな品種です。主に3年熟成タイプやブレンド用に使われますが、単一品種の上質なワインも生産されます。

果皮が薄く、小粒で、豊かな果実味と複雑な風味が特徴です。
テランテステランテスは生産量が非常に少ない希少な白ブドウ品種で、かつてはマデイラ島で広く栽培されていましたが、現在は絶滅危惧種とされています。

中辛口から中甘口の繊細なタイプのワインが造られ、その美味しさは「食べるためでも人に与えるためでもなく、ワインを造るために神はテランテスを造られた」というポルトガルのことわざがあるほどです。

熟成したテランテスのワインは高級品として珍重され、繊細で複雑な味わいが魅力です。

ポートとマデイラの違いは、「産地」「加熱の有無」「代表品種」「甘辛のレンジ」で整理すると混同を防げます。

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まとめ

ポルトガルは、酒精強化ワイン(ポート、マデイラ)だけでなく、ヴィーニョ・ヴェルデからアレンテージョまで、多様なスティルワインを生む「小さな国の大きな個性」を持つ産地です。

一般呼称試験では、すべての土着品種を網羅するよりも、トウリガ・ナシオナル、ティンタ・ロリス/アラゴネス、アルバリーニョ、ロウレイロ、バガなど「代表品種+主な産地+スタイル」をセットで覚えることがポイントになります。

地図ではヴィーニョ・ヴェルデ、ドウロ、ダン/バイラーダ、セトゥーバル半島、アレンテージョ、マデイラの位置関係を確認し、「沿岸は軽快、内陸・南は濃厚」というざっくりした気候イメージを持つと、産地ごとの特徴がつながって記憶しやすくなります。

特にポートでは「ドウロ渓谷+グレープ・スピリッツによる途中酒精強化+ルビー/トウニー」、マデイラでは「マデイラ島+加熱熟成+セルシアル〜マルヴァジアの品種と甘辛の対応」という2軸で整理すると、選択問題でも記述でも対応しやすくなります。

復習の際は、「ポルトガル=酒精強化+土着品種の宝庫」と一文で言えるようにしたうえで、ポート/マデイラの原産地とブドウ品種、ヴィーニョ・ヴェルデ/ドウロ/アレンテージョのスタイルを即答できるかをチェックすると、試験本番でも安定して得点につながるでしょう。

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この記事を書いた人

HN:c-fran
2020年/ワインエキスパート・エクセレンス取得
独学で必死に勉強し、エキスパート合格しました。エクセレンスも取得することができたので、今後は本サイトを充実させ、ソムリエ、エキスパートを受験する方に役立つ情報を届けていきます。またエクセレンス向けの記事も同様に更新続けていきます!

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