今回は、あまり接する機会の少ない東欧シリーズの「クロアチア」です。
東欧の問題もよく主題されるようになってきているので、少しでもライバルに差をつけるべく、まずは基本的な事項だけでも押さえて、余裕に応じてプラスアルファしていけばよいかと思います。
学習のポイント
- 主要ワイン生産地の位置の把握
- 品質分類の整理(熟成期間等)
- トピック
クロアチアのワインの歴史
- 紀元前2500年 : ブドウ栽培始まる
- 18世紀 : ハプスブルク帝国の支配下によりドイツやオーストリアの品種が主流となる
- 1990年代: 紛争により、ワイナリー、ブドウ畑が失われる
- 1995年 : Vinistra(生産者協会)設立
- 2010年 : ワイナリー協会設立
地理・気候条件
地理(地図)
クロアチアでは、全国的にワインが生産されています。
気候条件
- 地中海沿岸は地中海性気候
- 北部は寒暖差の激しい大陸性気候
クロアチアのワイン法
分類
【テーブルワイン】
認定された地域内で生産したぶどうを60%以上使用したワイン。
分 類 | 規 定 |
Stolno Vino (ストルノ・ヴィーノ) |
原産地表示なしテーブルワイン 政府委員会の総合評価が60点以上 ブドウは複数産地のものをブレンド |
Stlno vino s Kontrolirano Podrijetle (ストルノ・ヴィーノ・サ・ コントゥロリラノ・ポデゥリエトゥロ) |
原産地表示付きテーブルワイン 政府委員会の総合評価が65点以上 ブドウは3つのリージョンのものをブレンド |
【上級ワイン】
分 類 | 規 定 |
Kvalitetno vino s Kontrolirano Podrijetle (クワリテテゥノ・ヴィーノ・サ・ コントゥロリラノ・ポデゥリエトゥロ) |
統制保証原産地産上級ワイン 政府委員会の総合評価が72点以上 ブドウは12のサブリージョンのいずれかのみ使用 |
Vrhunsko vino s Kontrolirano Podrijetle (ウルフヌスコ・ヴィーノ・サ・ コントゥロリラノ・ポデゥリエトゥロ) |
統制保証原産地産最上級ワイン 政府委員会の総合評価が82点以上 ブドウはVinogorfa66地区のうち、ひとつで生産 補糖、補酸、減酸は不可 |
【遅摘み、貴腐ブドウによるワインの分類】
分 類 | 規 定 |
Kasna berba (カスナ・ベルバ) |
シュペトレーゼ エスクレ度:94以上 |
Izvorna berba (イズボルナ・ベルバ) |
アウスレーゼ エスクレ度:105以上 |
Izvorna berba bobica (イズボルナ・ベルバ・ボビツァ) |
過熟ブドウ、貴腐ブドウ エスクレ度:127以上 |
Izvorna berba prosus (イズボルナ・ベルバ・プロスス) |
乾燥ブドウ エスクレ度:154以上 |
Ledeno vino (レデノ・ヴィノ) |
-7℃以下で収穫 エスクレ度:127以上 |
主要ブドウ品種
No | 白ブドウ | 黒ブドウ |
---|---|---|
1 | グラシェヴィナ | プラヴァッツ・マリ |
2 | マルヴァジア | メルロ |
3 | シャルドネ | カベルネソーヴィニヨン |
4 | ラインスキ・リスリング | プラヴィナ |
主要ワイン産地
大陸東部
【フルヴァツコ・ポドゥナウリイェ】
特 徴:グラシュヴィナとトラミナッツのワインを生産
【スラヴォニア】
特 徴:クロアチア最大規模の生産地
大陸西部
【モスラヴィーナ】
特 徴:小規模生産者が多い/主要品種はシュクルレットとグラシェビナ
【プリゴリエ・ピロゴラ】
特 徴:主要品種はクラリェヴィーナ/ザグレブ農業経済大学も主要生産者の一つ
【ザゴリエ・メジュムリエ】
特 徴:プシペルが有名(品種はモスラヴァッツ)
【プレシヴィツァ】
特 徴:甘口ワイン「ベルメット」が造られる/スパークリングワインの生産地として有名
【ポクプリエ】
特 徴:-
沿岸部
【フルヴァツカ・イストラ】
特 徴:クロアチア最大産地の一つ/イストラ品質と呼ばれるほど高品質/マルヴァジアとテランが有名
【フルヴァツカ・プリモリエ】
特 徴:土着品種のズラフティナが有名/海底30mで熟成されるスパークリングワインがある
【シエヴェルナ・ダルマチア】
特 徴:海岸部から内陸部にかけて多様な気候条件を持つ
【ダルマティンスカ・ザゴラ】
特 徴:歴史的背景、地理的に隔離されていることから土着品種中心
【セントラルナ・イ・ユジュナ・ダルマチア】
特 徴:クロアチアのワインのルーツ/主要品種はプラヴァッツ・マリ/海岸部と内陸部で特徴が大きく異なる
最後に
クロアチアワインの勉強はポイントがつかみにくいですが、主要産地名、位置、ワイン法概要を勉強しておけばよいと思います。
後日、過去問や練習問題などからポイントを改めて精査していきます。
【2019/2020 日本ソムリエ協会教本】(日本ソムリエ協会)
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