ギリシャワインですが、あまり日本では、お目かかることがなく飲んだことがある人も少ないのではないかと思います。
私は試飲会で飲む機会がありましたが、非常においしかった印象が残っています。輸入量の関係かもしれませんが、少し高めの価格設定でした。
ワイン通以外なかなか選ばれにくい状況なのかもしれません。
そんなギリシャワインがどのようなブドウを使い、どんなワインを作っているのかポイントをまとめてみたいと思います。
聞いたことのない産地、ブドウ品種が数多く出てきますが、重要なトピックに集中して勉強を進めていけば攻略できるはずです。
学習のポイント
- 主要ワイン生産地の位置の把握
- 品質分類の整理(熟成期間等)
- 松脂のフレーバードワイン「レッチーナ」(品種:サヴァティアーノ)
ギリシャのワインの歴史
- 紀元前4000年代後半にブドウ栽培、ワイン作りが行われていた
- 古代ギリシャ人は「symposia」という社交場でワインを飲みながら議論➡その際、ワインのサービスをしていた人たちを「eonochooi(エノホイ)」と呼び、ソムリエの原型となった
- ヨーロッパのブドウ栽培、醸造技術の起源
- ワイン生産者と消費者も保護する法律が記載された大理石のプレートや役人名の刻まれたアンフォラが残る
地理・気候条件
- 地中海性気候
- 標高の高いところに畑があり、常に強風が吹き、暑さを和らげている
地理(地図)
気候条件
- 地中海性気候
- 日照時間は3000時間を超える
- 冬は暖かく、夏は乾燥した亜熱帯性気候
ギリシャのワイン法
2008年と2009年のEUのワイン法改正により、以下4つに分類された。
カテゴリー | 規 定 |
Table wines | 以下の3つのクラスに当てはまらないワイン |
Varietal wines | テーブルワインの中で同一品種を75%以上使用し、 一定の基準をクリアしたワイン |
PGI | テーブルワインの中で原産地を表示できる。 規定範囲内のブドウを85%以上使用しなければならない。 |
PDO | PGIより厳しい品質基準をクリアしたもの 官能評価、ブドウ使用量、醸造方法などの規定がある。 |
【伝統的ワインの種類】
種 類 | 説 明 |
Retsina(レッツィーナ) | 松脂のフレーヴァードワイン サヴァティアノを使用 アッテカが主要生産地 |
Verdea(ヴェルデア) | イオニア海のザキントス島の伝統的ワイン 酸が強く、シェリーのような酸化したフレーバーを持つ。 |
Vin liastos(ヴィン・リアストス) | 遅づみブドウを1-2週間天日干しし、ワインを作る 非常に糖度が高いため発酵に3か月くらいかかることもある |
主要ブドウ品種
No | 白ブドウ | 黒ブドウ |
---|---|---|
1 | サヴァティアノ | アギオルギディコ |
2 | ロディティス | リアティコ |
3 | アシルティコ | マスカット・ハンブルク |
4 | ミュスカ・ブラン・ア・ プティ・グラン |
クシノマヴロ |
5 | モスコフィレロ | カベルネソーヴィニヨン |
主要ワイン産地
No | 産地名 | 栽培面積(ha) | ブドウ生産量(t) |
---|---|---|---|
1 | ペロポネソス半島 | 8,746 | 76,825 |
2 | 中央ギリシャ | 5,849 | 67,909 |
3 | クレタ島 | 6,717 | 60,932 |
4 | 西ギリシャ | 5,455 | 60,211 |
5 | テッサリア | 4,333 | 40,203 |
ワイン教本の上記の表と産地別の説明のブドウ生産量が相違している部分があります。
これは、集計時の括り付けが異なるためです。
産地別説明に西ギリシャという項はないので、中央ギリシャの項に含まれるのではないかと思います。
トラキア地方
白ぶどう:ズミアティコ、マスカットオブアレキサンドリア、ロディティス
黒ぶどう:マヴルーディー、パミディ、リムニオ、カベルネソーヴィニヨン
タイプ :白、赤
特 徴 :最も東に位置し、温暖で湿度が高く、雨量の多い地域も多いので、ブドウ栽培に適した場所は限られている。
マケドニア地方
【ナウサ】
白ぶどう:ー
黒ぶどう:クシノマヴロ
タイプ :赤
特 徴 :クシノマヴロ単一。長期熟成能力を持つワインの産出される。
イピロス
【ジツァ】
白ぶどう:デビナ(アルコール度数は高くて11.5%)、トラミネール、、シャルドネ、リースリング
黒ぶどう:カベルネ・ソーヴィニヨン、ベカリ、ヴラヒコ
タイプ :白、赤
特 徴 :アルバニア国境に近い。イピロス唯一のPDO。軽快なスパーリングで知られる。
テッサリア
白ぶどう:アシルティコ、ロディティス、サヴァティアノ、バティキ
黒ぶどう:リムニオ、リムニオナ、カベルネソーヴィニヨン、シラー
タイプ :白、赤
特 徴 :木樽熟成赤ワインが有名
中央・西ギリシャ
【中央ギリシャ】
白ぶどう:ロディティス、サヴァティアーノ
黒ぶどう:アギオルティコ、カベルネソーヴィニヨン
タイプ :白、赤
特 徴 :レッチーナの中心生産地
イオニア諸島
ザキントス島はヴェルデアの産地
【ロボラ・オブ・ケファロニア】
白ぶどう:ロボラ、モスカテラ、ミュスカ他
黒ぶどう:マヴロダフネ
タイプ :白、赤
特 徴 :この地域で唯一の辛口ワイン
ペロポネソス半島
【ネメア】
白ぶどう:モスホフィレロ、トディティス、アシルティコ
黒ぶどう:アギオルギデコ、カベルネソーヴィニヨン、シラー
タイプ :白、赤
特 徴 :アギオルギデコの「ヘラクレスの血」と呼ばれ有名である。
クレタ島
白ぶどう:ヴィラナ、マルヴァジア、マスカット
黒ぶどう:コチファリ、マンデラリア、リアティコ
タイプ :白(辛、甘)、赤
特 徴 :ミノア文明時の紀元前のアンフォラ、足踏みプレス機が見つかる。ギリシャ全体の20%を生産
エーゲ海
【サントリーニ島】
白ぶどう:アシルティコ、アシリ、アイダニ
黒ぶどう:ー
タイプ :白
特 徴 :強風からぶどうを守るためにクールーラ仕立てで栽培される。
Vinsanto:天日干し甘口ワインはVinsantoと呼ばれる。糖度は370g/ℓ以上、24か月以上の樽熟成が義務付けられている。
Nykteri:ギリシャ語で「夜」を意味する。良く熟したブドウを涼しい夜間に収穫し、八明前までに搾汁し造ったワインは切れのある酸を持った味わいとなる。アルコール度数は高く13.5%以上、3か月以上樽熟成される。
最後に
実際に飲んだり、聞いたことのないブドウばかりで覚えにくいのではないかと思います。
また、産地名もなじみがなく覚えにくいと思います。
ひとまず、この記事で概要をつかんでください。教本読込とポイントチェックを繰り返せば覚えられます。
【2019/2020 日本ソムリエ協会教本】(日本ソムリエ協会)
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