エクセレンス向けに原語表記、各項目の詳細説明を追加しています。
2020年度版の教本の項目もフォローしています。
学習のポイント
- 各タイプ基本的な醸造工程を理解する
- 各種醸造技術は良く出題されるので、それぞれの効果・方法を理解しておく
- 以上理解した上で言語を覚える
醸造の基礎
亜硫酸
ワインには酸化を防止するために酸化防止剤が添加される。液中では4つの携帯で存在しているが、酸化を防ぐための還元的な働きをするのは遊離亜硫酸(①+②)である。
酵母
アルコール発酵を行う酵母は「Saccharomyces cerevisie」である。
発酵タンクから優秀なセレヴィシエを大量に培養し、その後凍結乾燥される。その状態で市販されている。
【乳酸菌】
ぶどうに含まれるリンゴ酸は乳酸菌により、乳酸と炭酸ガスに分解される。この発酵の代表的な菌は「Oenococcus oeni(エノコッカス・エニ)」である。
乳酸菌は空気中に浮遊しており、ワイン中で自然に増殖するが、酸の高い白ワインでは増殖しにくいので、乾燥乳酸菌を使用することがある。
白ワインの作り方
工程説明
(1) 収穫・Vengange
グレードの高いワインを作るために、より良い果粒を選定する。
(2) 選果・Triage des raisins
収穫したブドウを熟度や傷み具合別に選別する。
より厳選されたブドウで造られたワインの価格は高いものとなる。
(3) 圧搾・Pressurage
収穫後、圧死駆使果汁だけ威を抽出する。
フリーラン(jus de goutte)
プレスワイン(jus de presse)
(4) 発酵・Fermentation alcoolique
ブドウ果汁をタンクに入れ、酵母を加え発酵を行う。ブドウの成熟度合いが低い場合は補糖(シャプタリザシオン)を行う。発酵温度は15~20℃。
白ワインでも醸し工程を用いる場合もある。
(5) マロラティック発酵・Fermentation Malolactique Macération
ワイン中のリンゴ酸が乳酸菌の作用により乳酸に変化する。
→CH3-CHOH-COOH + CO2
(乳酸) + (二酸化炭素)
①酸味がやわらげられまろやかになる。
②複雑性が増し、豊潤な香味を形成する。
③微生物学的にも安定する。
(6) 樽熟成・Elevage in tonneau
発酵を終えたワインを樽で数か月~数十年熟成させる。これによりワインを落ち着かせ、バランスを程よい飲み口に変えていく。
熟成中、樽の目減り分を補充(Ouillage・ウィヤージュ)を行う。
「詳細は後述」
(7) 滓引き・Soutirage/Racking
沈殿した澱を取り除くために、ワインを別の容器に移し替える。
(8) 清澄濾過・Filtrage
さらに透明にするために清澄剤(卵白、タンニン、ゼラチン、ベントナイトなど)
瓶詰前にフィルタープレスなどでろ過を行う。
(9) 瓶詰・Mise en bouteille
上記までの工程後、瓶詰し出荷または熟成のため貯蔵される。
赤ワインの作り方
(1) 収穫・Vengange
(2) 選果・Triage des raisins
グレードの高いワインを作るために、より良い果粒を選定する。
(3)破砕・Foulage/除梗・Égrappage
黒ぶどうをつぶし、除梗する。酸化防止と殺菌のため二酸化硫黄を添加する。
(4) 発酵・Fermentation alcoolique、Macération【発酵(フェルマンタシンオン・アルコリック)、醸し(マセラシオン)】
ブドウ果汁をタンクに入れ、酵母を加え発酵を行う。ブドウの成熟度合いが低い場合は補糖(シャプタリザシオン)を行う。発酵温度は26~30℃。
発酵後3~4日で果皮から赤い色素のアントシアニン、種子からタンニンが抽出される醸しという工程が始まる。この醸しの期間の違いでワインのスタイルを調整する。
醸しの期間中果肉や果皮が浮上してきて果房を形成する。より効率的に醸しを行うためにルモンタージュ(撹拌。ポンプアップした果汁を果房にかける。)を行う。
ルモンタージュの効果
①酸素供給
②糖分、酵母、温度を平均化
③果皮からフェノール類その他成分の抽出
(5) 圧搾・Pressurage
発酵後、タンクから液体を抜き取り、残った果皮や種子を圧搾機にかけて液体を絞り出す。
フリーラン(jus de goutte)
プレスワイン(jus de presse)
(6) マロラティック発酵・Fermentation Malolactique Macération
ワイン中の林檎さんが乳酸菌の作用により乳酸に変化する。
→CH3-CHOH-COOH+CO2
(乳酸) +(二酸化炭素)
①酸味がやわらげられまろやかになる。
②複雑性が増し、豊潤な香味を形成する。
③微生物学的にも安定する。
(7)樽熟成(Elevage en tonneau)
発酵を終えたワインを樽で数か月~数十年熟成させる。これによりワインを落ち着かせ、バランスを程よい飲み口に変えていく。
熟成中、樽の目減り分を補充(ウィヤージュ)を行う。
「詳細は後述」
(8) 滓引き・Soutirage
沈殿した澱を取り除くために、ワインを別の容器に移し替える。
(9) 清澄濾過・Filtrage
さらに透明にするために清澄剤(卵白、タンニン、ゼラチン、ベントナイトなど)
瓶詰前にフィルタープレスなどでろ過を行う。
(10) 瓶詰・Mise en bouteille
上記までの工程後、瓶詰し出荷または熟成のため貯蔵される。
ロゼワインの作り方
ロゼワインの製法については、以下の3つがあります。
Saignée・セニエ法
赤ワインと同様の工程で、醸しの際、色づいたところで液体を分離し、そのあと低温発酵を行う。血抜き法とも呼ばれる。
Pressurage direct・直接圧搾法
黒ブドウを原料として、白ワインと同様の作り方で、圧搾の際、果皮から色が抽出される。
混醸法
白ブドウと黒ブドウが混ざった実醪を発酵させる。(ドイツのロートリング)
スパークリングワインの作り方
上記工程の詳細説明は、シャンパーニュの記事で説明しています。
製法には以下の3つの方法があります。
Méthode traditionnelle/champenoiseトラディショナル方式
スティルワインに糖分と酵母を加えて、密閉し瓶内で二次発酵させる。その際発生する炭酸ガスが封じ込められ、スパークリングワインとなる。
Méthode charmatシャルマ法式
大型密閉タンクで二次発酵を起こす。短期間に多量に生産できるメリットがあるが、瓶内二次発酵に比べて泡の持ちが悪い。
Méthode transfertトランスファー方式
瓶内二次発酵したワインを加圧化のタンクに開け、冷却、ろ過して新しいボトルに詰め替える方式。
樽熟成について
【樽の仕様説明】
ボルドーではBarriqueと呼ばれ容量は225リットルです。
ブルゴーニュではPièceと呼ばれ、容量は228リットルです。
発酵を終えたワインを樽で数か月~数十年熟成させる。これによりワインを落ち着かせ、バランスを程よい飲み口に変えていく。
熟成中、樽の目減り分を補充(Ouillage・ウィヤージュ)を行う。
樽熟成の主な効果
①空気との接触
②樽からの成分抽出
③清澄化の促進
④色調の安定
⑤成分重合による安定化と風味の複雑化
【樽のローストにより抽出される香り】
・軽いヴァニラ香
・スパイス、ココア、チョコレート
・煙、コーヒー、カラメル
樽発酵(Fermentation en tounneau)
樽の中に果汁を入れ、樽内でアルコール発酵させます。通常白ワインの発酵で行われるものもあります。
樽材
オーク材が多く用いられます。ヨーロッパでワイン用に使用されるオーク材はセシルオーク、ペドンキュラータオークの2種が自生しています。
フランスで有名な産地は Tronçais/Allier/Limousin/Nevers/Vosges/Bourgogneが有名
アメリカンオークはゴム状の化合物のtyloses(チロース)が多く含まれ、これが木目の隙間をふさぐため、板目取りで製材して樽を作っても漏れない。そのため利用できる部分が多いことから、フレンチオーク材より安価となります。フレンチオークは中心から放射状に柾目取りを行う。
樽材の自然乾燥(仏Sèchage、英Seasoning)
樽側板の形状に切り出された樽材は水分、タンニン、樹液を含むために2~3年間自然乾燥を行う。
その間前述の成分が溶出し、乾燥していき、一部成分が変化し、ヴァニラ香やココナッツ香が出てくる。
樽のトースト
樽をトーストしたときの熱で樽に含まれるリグニンが分解され、ヴァニラ香を持つヴァニリンが生成されます。
トーストの程度(焼き加減)は以下のような分類となっています。
Light toast/Medium toast/Heaby toast
トーストが浅い場合➡ワインは樽材にしみこみやすく、樽材からのタンニン抽出が多くなります。
トーストの度合いが強い場合➡ワインは浸み込みにくく、スモーク、コーヒー、カラメルなどのロースト香が強くなります。
EUでは、2006年からオークチップを使用することが許可されました。
Closure
コルク栓(Bouchon)
コルク栓は以下の種類がある。
天然コルク
コルク樫からから造られる。上質なものは10年以上かけてコルク層が成長するのを待つ必要がある。
コルクに含まれる2,4,6ーtrichroloanisole(TCA)によってワインが劣化することがある。前駆物質の2,4,6ーtrichrolophenole(TCP)は匂いは弱いが、カビが持つ酵素でTCAに変換されることでコルク臭(bouchoonè)が発生する。
圧搾コルク
天然コルクを打ち抜いたあとの残った部分を粒子状にし、成形したもの。コルク臭を除去する工程を散り入れているものもある。
合成コルク
プラスティック、弾力を持つ発泡性プラスティックのものがある。
スクリューキャップ
金属製のネジ式のキャップ。液面との接触部分にライナーを付け、密閉している。還元臭が出るリスクを下げるためにワインの溶存酸素をコントロールする必要がある。
各種醸造技術
Macérqtion Carbonique(マセラシオンカルボニック)
収穫したブドウを破砕せず、そのまま密閉したステンレスタンクへ入れ、二酸化炭素の気流中に数日置く方法。
ボジョレーのような非常にフルーティーになり、色がよく出ている割にタンニンの少ないフレッシュな味の赤ワインができる。
Sur lie(シュールリー)
ロワール地方で行われている作業で、発酵後ワインを滓引きせずに数か月放置する方法。若々しく爽やかでフルーティーなワインとなる。
Skin contact/Macération Pelliculaire(スキンコンタクト)
白ワインを赤ワインのように醸しを行う方法。
ブドウの品種特性がより濃厚になることを目的とする。
Macération à chaud(マセラシオンアショー)
果醪に熱を加えるタイプの赤ワインの醸造方法。
Macérqtion préfermentaire à chaud/MPC
早飲みタイプの赤ワインを作る時に採用される方法で、ブドウを破砕後80℃まで加熱して色素やタンニンを抽出した後、圧搾効率を高めるためにペクチン分解酵素を添加して圧搾したあと20℃以下に冷却して発酵する方法。
Macération finale à chaud/MFC
アルコール発酵後、マロラクティック発酵までの間に30-45℃に上げ、一定期間保持する操作。果醪中に十分なアルコールがあるため、MFCによりタンニンの抽出を強めることができる。
Macération préfermentaire à froid/MPF(Cold maceration)
発酵前に亜硫酸や酵素を添加し低温5~15℃に保ち、数日循環させて果皮成分を抽出させる方法。ぶどうの持つ酵素の働きにより果実味のあるワインになる。
Cryo-extraction(クリオエキストラクシオン)
氷果仕込みといわれ、収穫したブドウを-7℃以下で冷凍貯蔵し、凍結果汁を圧搾し、糖度の高い果汁を発酵させる白ワインの製法。
Osmose inverse(逆浸透膜濃縮)
逆浸透膜により果汁を濃縮する方法。熱を加えることがないので成分が変性することはない。
Concentration sous vide à basse Temperature(常温減圧濃縮)
真空度の高い容器で濃縮する方法。
ECワイン法により、濃縮にあたっては果醪容量の20%未満の濃縮、またはアルコール分2%未満の糖分の濃縮を条件に許可されている。
Micro-oxygénqtion/Micro-bullage(ミクロ・オキッジジェナシオン)
発酵中、貯蔵中に赤ワインに酸素の微泡を吹き込み、ポリフェノールの参加重縮合を促進する方法。フランスのマディラン地域でタナの強烈な渋みを和らげるために開発された方法。
口当たりがよくる。ただし長期熟成には不適当である。
Non collage(ノン・コラージュ)
滓下げ操作を行わないワイン。
Non filtration(ノン・フィルトラシオン)
濾過を行わないワイン。
(以上)
【2019/2020 日本ソムリエ協会教本】(日本ソムリエ協会)
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