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概論_ブドウについて

概論
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ワインの原料、「ブドウ」について栽培に関すること、また主な各種ぶどう品種をリストアップします。

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ブドウの栽培条件

気温

  • 年平均気温が10~16℃の温暖な気候が理想的
  • 開花期は15~25℃、生育・成熟期は20~25℃が望ましい
  • 緯度:北緯/南緯 30~50
  • 一日の寒暖差が大きいほど、ブドウの品質が向上しやすい

日照

  • 光合成には 日照 と 温度 が必要である。
  • 生育期間中(北半球では4月下旬~9月ごろ)に1,300~1,500時間以上の十分な日照が必要
  • ブドウは日光を好み、日照量が多いほど糖度が上がり、成熟も進む

水分

  • 年間降水量は500~900mmが適している
  • 生育期には十分な水分が必要だが、開花後や収穫期には過度な雨量は避けるべきで、果実の成熟や品質に悪影響を及ぼす
  • 必要な水分、ミネラル等の栄養分を有していること
  • 適度な乾燥ストレスは、特に赤ワイン用品種の品質向上に寄与する

土壌

  • ヴェレゾン期(着色期)に水分供給が止まるような物理的特性のある土地が良いとされる
  • 保水性と排水性の両方あることが好ましい
  • 栽培には痩せた砂利、礫質土場が適しているといわれている
  • 過度な肥沃さは枝葉の成長を促しすぎて果実の品質低下につながるため、やや痩せた土地が好まれることもある

ブドウの種類

分類

ブドウ科の中で主に2つに分類される

★ヴィティス・ヴィニフェラ系:ヨーロッパ系品種。主にワイン用として使用。

★ヴィティス・ラブルスカ系:アメリカ系品種。大半は食用。

生育・栽培サイクルについて

ブドウの育成・栽培サイクルは以下の通り

各ステージの一部についてフランス語⇔日本語の出題もあります。

 

 

剪定:タイユ

結実:ヌエゾン

着色:ヴェレゾン

収穫:ヴァンダンジュ

仕立て方法

 

仕立て方法 仕立て名 説明
垣根仕立て
ギョーサンプル
長梢1本、2芽の短梢
垣根仕立て
ギョードゥーブル
長梢2本を左右にとる
その他:コルドン
主幹から左右に枝を分け、2芽の短梢を等間隔にとる
棒仕立て モーゼルなど 急斜面で作業性を考慮した仕立て方法
株仕立て 南仏、スペインなど 主幹上部に短梢を不規則にとる。
樹勢の弱い品種に適す。
柵仕立て 日本、イタリアなど 多降雨や日差しの強い地域で作用される。
作業性がよく生食用に適用されることが多い。

 

栽培技術

重要・よく出る

栽培技術 説明
接木

フィロキセラ耐性確保と品種特性維持のために行う。
方法はアメリカ系ブドウ(台木)にヨーロッパ系品種(穂木)を接合する。

クローン選抜 優れた特性の均一化するために、特定の母樹から挿し木でクローンを大量生産をおこなう。
成熟速度・収量・病害耐性の統一管理がかのうとなる
マサル・セレクション 遺伝的多様性の維持のために畑内の優良個体を複数選び挿し木を行う。
伝統的手法でテロワール表現力が高いという特徴を持ち合わす
キャノピーマネージメント 収量調整を行い、ブドウ品質の安定と向上を目的とする

具体的な手法は

除葉:果実周辺の葉を除去し日照確保
ツル間引き:密集防止で病害リスク低減
新梢誘引:成長方向を制御し光合成効率向上
などがある。

 

農法 説明
有機農法

①化学肥料、除草剤などの農薬を使用しない
②有機肥料は認定済みのものを使用する
③遺伝子組み換え、放射線処理は禁止
④病害虫には、ボルドー液、天敵となる昆虫を使用する
⑤作付前に2年間、最初の収穫までの3年間以上①~④を実施する。
⑥公的機関による認証を受ける。
⑦認証取得後も定期的に検査を受ける

バイオダイナミクス

自然のリズムに合わせた栽培方法で、月や天体の動きに合わせた栽培や
農薬等を使用せずにプレパラシオン(調合剤)を用いたりする。

認証団体「デメーター」により認証を受け、ラベルにロゴを記載し、
バイオダイナミクスワインとして販売できる。

 

病害

重要・よく出る

病名  原因 ・ 症状/対策 主な発生年
<カビによる病害>    
ベト病
(
ミルディユ)
カビ 湿度の高い地域で起こり、白いカビ状の胞子が形成され、落花、落葉、落果される
対策:ボルドー液散布
フランス
1878~1880年ごろ

灰色かび病
(プリチュール・グリーズ)

 カビ 湿度の高い環境下で果粒を灰褐色のカビが覆ってしまう。色素破壊、不快なにおいを残す。 対策:風通しを良くする  
うどん粉病
(オウディウム)
 果粒が白い粉上の胞子で覆われ、下流の表皮成長が妨げられ、皮が破れ腐敗の原因となる。
対策:硫黄を含んだ農薬を散布
フランス
1855~1856
晩腐病

(ライプロット)
カビ 収穫期の果実を犯し腐敗させる

対策:ベンレートを散布(休眠期)
 
<害虫による病害>    
フィロキセラ 害虫 植物の根や葉に寄生し、樹液を吸って栄養を吸収してしまい、枯死に至る。
対策:接木
フランス
1863~1900年ごろ
<ウィルスによる障害>    
リーフロール 葉が外側に巻き込む。糖度低下、着色不良を引き起こす。
対策:苗木の植え替え
 
コーキーバーク 樹木の亀裂が起き、節が拡大していく。
対策:苗木の植え替え
 
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主なブドウ品種

 

白ブドウ品種説明
No 白ブドウ 概略説明
1 シャルドネ

世界中で栽培される白ワイン用ブドウの代表格。ニュートラルな風味で、産地や醸造方法によって味わいが大きく変化します。果皮は薄く、淡い黄色のワインが多い。スパークリングワインにも使われ、汎用性の高さが特徴です。

2 ソーヴィニヨンブラン フランス・ロワール地方をはじめ、カリフォルニア、
ニュージーランドなどで栽培され、各産地ごとに特徴の
あるワインが生産させる。
フレッシュでアロマティックな香りが特徴。柑橘やハーブ、青草のような香りと、シャープな酸味が魅力。冷涼地ではミネラル感、温暖地ではトロピカルな果実味が現れます。世界中で広く栽培される国際品種です
3 リースリング ドイツやアルザスで有名なアロマティック品種。リンゴや柑橘、白い花の香りと、伸びやかな酸味が特徴。辛口から極甘口まで多彩なスタイルがあり、熟成で石油香が現れることも。テロワールをよく反映します。
4 ゲヴェルツトラミネール イタリア北部が起源とされる。バラやライチ、スパイスを思わせる華やかな香りが最大の特徴。果皮は薄いピンク色。厚みのあるボディとまろやかな甘味、控えめな酸味が調和し、辛口から甘口まで幅広いワインが造られます
5 ミュスカデ 主にフランス・ロワール地方で栽培される。マスカットや柑橘の香り、爽やかな酸味、軽快な口当たりが特徴。極辛口で、シュール・リー製法による旨味も魅力。魚介類との相性が抜群です。
6 セミヨン ボルドー原産で、甘口から辛口まで幅広いワインに使われます。貴腐菌がつきやすく、貴腐ワインの原料として有名。若いうちは控えめな香りですが、熟成で複雑な風味を持ちます。生産性が高く、果皮は薄い黄緑色。
7 シュナンブラン ロワール地方原産。豊かな酸味が最大の特徴で、辛口から極甘口、スパークリングまで多様なワインが造られます。樹勢が強く、遅摘みや貴腐ワインにも適応。熟成でハチミツやナッツの香りが現れます。
8 甲州 日本固有の白ブドウ品種で、山梨県を中心に栽培。淡い色調と繊細な香り、穏やかな酸味が特徴。和食との相性が良く、近年は国際的にも評価が高まっています。発泡性やオレンジワインにも使われます。

 

黒ブドウ
No 黒ブドウ 概略説明
1 カベルネソーヴィニヨン 小粒で厚い果皮が特徴。カシスやブラックベリーの濃厚な果実味に、ヒマラヤスギやタバコのニュアンスが加わる。強固なタンニンと長期熟成適性を持ち、温暖な気候を好むが冷涼地でも栽培可能。ボルドー・メドック地区の主力品種で、世界的に最も広く栽培される国際品種
2 カベルネフラン カベルネ・ソーヴィニヨンの親品種。早熟~中熟で粘土石灰質土壌を好む。赤系果実にハーブやピーマンの香りが特徴。ロワール地方のシノンが代表産地で、凍結防止機能を持つ堅い枝が寒冷地適応性を高める。
3 ピノノワール ブルゴーニュを代表する薄皮品種。チェリーやラズベリーの繊細な香りと柔らかなタンニンが特徴。栽培難易度が高く「気まぐれな貴婦人」と呼ばれる。冷涼な気候で石灰質土壌を好み、スパークリングワイン原料としても重要。
4 メルロ ボルドー右岸の主力品種。プラムやブラックチェリーの豊潤な果実味と滑らかな口当たりが特徴。早熟で糖度が上がりやすく、単独でもブレンドでも使用可能。病害耐性が強く栽培容易な点から新世界でも普及。
5 シラー フランス・ローヌ原産の小粒品種。濃厚な黒果実味にブラックペッパーやユーカリのスパイシーさを併せ持つ。オーストラリアでは「シラーズ」と呼称され、温暖気候下で力強いワインを生む。厚い果皮が豊富なタンニンを供給。
6 グルナッシュ スペイン発祥の耐乾性品種。薄い果皮から淡い色調のワインが造られ、ストロベリーやザクロの赤系果実香が特徴。高アルコールで甘口ワインにも適し、シャトーヌフ・デュ・パプの主要品種。
7 ムールヴェードル 晩熟で温暖乾燥を要する品種。野生味ある香りにブラックペッパーやジビエのニュアンスを包含。スペイン名「モナストレル」、長期熟成可能なタンニン構造を持ち、GSMブレンドの要。
8 マルベック アルゼンチンが最大産地。濃紫色果実から「黒ワイン」と呼ばれる深い色調を呈す。ダークチェリーやカカオの風味が特徴で、メンドーサの高地栽培で複雑味を獲得。花ぶるい被害を受けやすい弱点あり。
9 ガメイ ボジョレー・ヌーヴォーの原料。バナナやキャンディの香りを持つ軽快な赤ワインを生む。多産性で早期成熟するが霜害に弱く、炭酸マセラシオン製法との相性が良い。
10 ネッビオーロ イタリア・ピエモンテの貴公子。タールやローズの香りに高酸・高タンニンを併せ持つ。霧(ネッビア)の中で収穫される晩熟品種で、バローロやバルバレスコの原料。
11 サンジョヴェーゼ トスカーナの基幹品種。チェリーやスミレの香りに粘土質土壌由来のミネラル感を加える。ブルネッロやキアンティクラシコの主力で、酸化熟成でタンニンが円熟。
12 テンプラニーニョ スペインを代表する品種。ストロベリーやプラムの果実味に皮革やタバコの複雑さを融合。リオハやリベラ・デル・ドゥエロで樽熟成され、長期熟成適性を発揮。

シノニム

同じぶどう品種でも、産地により名称が異なる品種があります。過去の出題傾向だけで絞りきれないので、白ブドウ、黒ぶどうとも一通り覚えましょう。

白ぶどうシノニム
No 白ブドウ シノニム
1 シャルドネ ムロン・ダルボワ(ジュラ)
ボーノア(シャブリ)
2 ソーヴィニヨンブラン フュメ・ブラン(アメリカ)
3 リースリング ヴァイサー・リースリング(独)
ライン・リースリング(独)
ホワイト・リースリング(米)
ヨハニスベルク・リースリング(米)
4 ゲヴェルツトラミネール トラミネール
5 ミュスカデ ムロン・ド・ブルゴーニュ
6 サヴァニャン ナツーレ
7 シュナンブラン ピノー・ド・ラ・ロワール
スティーン
8 ピノグリ トカイ・ダルザス(仏)
グラウブルグンダー(独)
ルーレンダー(独)
ピノグリージョ(伊)
9 シャスラ グートエーデル(独)
ファンダン
10 アルテス ルーセット
11 ユニブラン サンテミリオン(コニャック)
トレッビアーノ(伊)
12 マカブー マカベオ(西)
ビウラ(西)
13 ヴェルメマンティーノ
(仏、伊)
ロール(仏)
14 ピノ・ブラン クレヴネル(仏/アルザス)
ヴァイスブルグンダー(独)
ピノ・ビアンコ(伊)
15 ミュラー・トゥルガウ(独) リヴァーナー(ルクセンブルグ、スロヴェニア)
16 アルボワ(仏) ムニュ・ピノー(仏/ロワール)
17 フルミント(ハンガリー) シポン(スロヴェニア)
18 フォル・ブランシュ(仏) グロ・プラン
(仏/ロワール、コニャック、アルマニャック)

 

黒ぶどうシノニム
No 黒ブドウ シノニム
1 カベルネフラン ブルトン(ロワール)
ブーシェ(サンテミリオン)
2 マルベック コー
オーセロワ(仏/カオール)
3 ピノノワール グロノワリアン(仏/ジュラ)
シュペートブルグンダー(独)
ピノネーロ
ブラウブルグンダー
4 シラー セリーヌ(仏/ローヌ)
シラーズ(オーストラリア)
5 グルナッシュ ガルナッチャ
6 ムールヴェードル モナストレル(西)
マタロ(豪、米)
7 カリニャン スマエロ(西/リオハ)
8 ネッビオーロ スパンナ(伊/ゲンメ)
キアヴァンナスカ(伊/ヴァルテッリーナ)
ピクトゥネール(伊/ヴァッレ・ダオスタ)
ピコテンドロ(伊/ヴァッレ・ダオスタ)
9 サンジョヴェーゼ ブルネット(モンタルチーノ)
ブルニョーロ・ジェンティーレ(モンテプルチアーノ)
ニエルキオ(コルス)
10 ピノタージュ ピノノワール×サンソーサンテミリオン(コニャック)
トレッビアーノ
11 ミッション(米) パイス(チリ)
12 サンソー(仏) エルミタージュ(南ア)
13 ピノ・ムニエ(仏) シュヴァルツリースリング(独)
ミュラーレーベ(独)
14 テンプラニーニョ(西) ウル・デ・リェブレ(西/カタルーニャ)
オホ・デ・リェブレ(西/カタルーニャ)
センシベル(西/ラ・マンチャ)
ティント・フィノ(西/カスティーリャ・レオン)
ティント・デル・パイス(西/カスティーリャ・レオン)
ティンタ・デ・トロ(西/サモーラ)
ティント・デ・マドリード(西/マドリード)
ティンタ・ロリス(葡)
アラゴネス(葡)
15 ジンファンデル(米) プリミティーボ(伊)

交配品種

交配品種についても出題されているので、主な品種を覚える必要があります。
(あまりにマイナーな品種が出たとしても、大半の受験者が間違えるので問題なしと割り切ってもいいかもしれません。)

白ブドウ 交配品種
No 品種 交配品種
1 ヴィダル ユニブラン×セイベル4986
2 ミュラー・トゥルガウ(独) リースリング×グートエーデル
3 ケルナー トロリンガー×リースリング
4 バフース シルヴァーナー×リースリング×ミュラー・トゥルガウ
5 ショイレーベ シルヴァーナー×リースリング
6 ファーバーレーベ ヴァイスブルグンダー×ミュラー・トゥルガウ
7 レゲント シルヴァーナー×ミュラー・トゥルガウ×シャンブールサン
8 ドミナ ポルトギーザー×シュペートブルグンダー

 

黒ブドウ 交配品種
No 品種 交配品種
1 ドルンフェルダー ヘルフェンシュタイナー×ヘロルドレーベ
2 ピノタージュ ピノノワール×サンソー

最後に

かなりのボリュームとなっていまいましたが、なかなか一気には覚えられないと思いますので、少し覚えたら問題集、少し覚えたら問題集の繰り返しで覚えていけばいかがでしょうか?

概論を勉強しているといろいろ知識が増え、脱線していまうこともあると思いますが、脱線してどんどん知識を身につけていけばいいと思います。遠回りかもしれませんが、記憶に定着しやすくなるので、知識も増え記憶に残る、一石二鳥です。

気長に頑張っていきましょう!

 

※参考文献
【2019/2020 日本ソムリエ協会教本】(日本ソムリエ協会)

 
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