本記事では、イタリア北部のうち「エミリアロマーナ」「リグーリア」について、まとめていています。
以前は北部全体でまとめていたため、見づらい部分もあったかと思うので、いくつかの州に分けてまとめることにしました。
この記事で「エミリアロマーナ」「リグーリア」両州の特徴、DOCG、DOCその他ポイントが分かるようになり、教本を読み返すことで理解、記憶が深まります。
イタリア北部各州のワイン
上記、「エミリアロマーナ」「リグーリア」について、以下説明を進めていきます。
Liguria
【特徴】
イタリア北西部に位置する。州都はジェノヴァでイタリア最大の港街である。地理的に工作できる面積は限られている。非常に多様な固有品種の存在が特徴の一つである。
ピガート、ヴェルメンティーノは香り高く、塩っぽさを持つフレッシュな白ワインが造られ、ボスコ、アルバローラからは複雑で個性的な白ワインが造られる。
赤ワインはロッセーゼ、オルメアスコ(ドルチェット)からバランス良いワインが生産される。
リグーリアのワインは、重すぎることなく爽やかなアロマとフレッシュな飲み口が特徴である。
ロッセーゼ・ディ・ドルチェアックアがもっとも有名
【歴史】
古代からイタリア、フランス間の重要な交通路として栄えた。コロンブスの出身地でもある。
【文化・経済】
イタリアで最も吝嗇(ケチ)と呼ばれている。しかし文化的レベルは高く、俳優、音楽家、政治家を多数輩出している。
農業、花卉が盛んである。港町ジェノバは鉄鋼業、石油化学産業、重工業が発展した。海沿いの町「チンクエテッレ」をはじめとした美しい山や海があり、官業も盛んである。世界遺産に登録されたチンクエテッレなどもある。
【気候】
海岸部:地中海性気候、内陸部:大陸性気候
【土壌】
西部:石灰土壌
東部:石灰土壌(砂、粘土も)
【主要ブドウ品種】
<白ブドウ>
Vermentino
→応答のアロマを持ち、後味にかすかに苦みがある。
Pigato
→ヴェルメンティーノの一種。応答のアロマ、かすかに塩味がある。
Bosco
→リグーリアの固有品種。甘口ワインに適している。
Bianchetta Genovese
→フレッシュで早飲みタイプ。
Albarola
→DOCチンクエテッレで使用される。
<黒ブドウ>
Rossese
→ミネラル分が多い、フレッシュなワイン。
Ormeasco
→ドルチェットと同じ。
【地元料理】
分類 | 料 理 |
前菜 | Pansoti con la Salsa di Noci(ラヴィオーリに クルミのソースをかけた料理) |
魚介料理 | Buridda(干し鱈などを使ったスープ) Ciuppin(魚を裏ごししたスープ) Cappon Magro(固いビスケットを敷き詰めた 大皿の上に10種類近い魚介や野菜を盛り付ける という豪華な料理) |
肉料理 | Cima alla Genovese(仔牛のミンチ、胸腺肉、 野菜、ゆで卵、松の実を大きなロールにして 火を通し、冷静して食べる) |
その他 | Riviera Ligure(オリーブオイル。香りも味わいも 非常にエレガント) |
西部(インベリア/サボーナ県)
【気候】
地中海性気候
【土壌】
石灰土壌。ドルチェアックアは砂質土壌
【主要ブドウ品種】
<白ブドウ>Vermentino、Pigato
<黒ブドウ>Rossese、Ormeasco
【主要DOC】
【Ormeasco di Pornassio】
オルメアスコ(ドルチェット)で造られるワイン
【Riviera Ligure di Ponente】
ピガート、ヴェルメンティーノのから良質のみずみずしい味わいで心地よいミネラル感のあるワインである。
【Rossese di Dolceaqua】
最も重要な赤ワイン。果実味があり、かすかにスパイシー。早のみタイプから長期タイプまで幅広い。
東部(ジェノヴァ/ラ・スペツィア県)
【気候】
地中海性気候
【土壌】
砂、粘土混じりの石灰土壌
【主要ブドウ品種】
<白ブドウ>Pigato、Vermentino、Albarola、Bosco
<黒ブドウ>Sangivese
【主要DOC】
【Chinque Terre】
5つの村の総称。世界遺産にも登録されている。ボスコ、アルバローラ、ヴェルメンティーノで作られる。
白ワインは果皮とともに発酵するのでオレンジがかった色となり、酸化のトーンがある。非常に複雑で塩味も感じられる味わいである。
Emilia Romagna
DOCG名 | タイプ | ブドウ品種・特徴他 |
---|---|---|
Albana di Romagna | 【白(辛~甘)】 | アルバーナ、パッシートあり |
Colli Bolognesi Classico Pignoletto | 【白】 | ピニョレット、パッシートあり |
イタリア北東部に位置する。エミリアとロマーニャは歴史的にも文化的に大きく異なる。
ワインも同様である。エミリアは微発泡の赤ワイン、ランブルスコで有名である。
ロマーニャはサンジョヴェーゼ、トレッビアーノなどの単一品種のワインが造られている。
【歴史】
古代ローマ時代から交通の要所として栄えた街である。
【文化・経済】
赤いベルトと呼ばれる左翼勢力が強い。文化レベルが非常に高い。モデナはフェラーリやマセラッティがある。エミリアは宮廷文化、ロマーニャは農民文化である。
イタリアで最も裕福な州の一つである。パルマの生ハム、パルミジャーノチーズなどの高級食材も重要な産業となっている。
【気候】
地中海性気候、大陸性気候
【土壌】
エミリア:沖積土壌、丘陵地帯:石灰土壌
ロマーニャ:沖積土壌、丘陵地帯:石灰土壌
【主要ブドウ品種】
<白ブドウ>
Albana
→土着品種。甘口ワインに適している。
Pignoletto
→フラワリーなアロマを持ち、フレッシュで軽めな白ワインとなる。
Trebbiano Romagnalo
→軽やかでフレッシュ、シンプルな白ワインとなる。
<黒ブドウ>
Sangiovese
→色は濃く無いルビー色。スミレ、チェリーの香り。酸とタンニンがしっかりしている。
Lambrusco
→エミリア地方、ロンバルディア州で栽培されている。
【地元料理】
分類 | 料 理 |
前菜 | Prosicutto e Melone(パルマ産生ハムのメロン添え) |
パスタ・スープ | Tortelli (生ハムや肉を詰めた小ぶりのボローニャのパスタ) Tagliatelle alla Bolognese(伝統的なミートソースをかけた平打ちパスタ) Lasagna al Forno(パスタ生地、ミートソース、ベジャメルソースを何層にもしてオーブンで焼き上げる料理) |
肉料理 | Cotoletta alla Bolognese(生ハムとチーズをのせてオーブンで焼いた仔牛のカツレツ) Bolito Misto(牛肉の様々部位、鶏肉、コテキーノ、ザンポーネなどを一緒に茹でた料理) |
チーズ | Parmiggiano Reggiano(DOPチーズ、牛乳、加熱圧搾) Formaggio di Fossa di Sogliano(DOPチーズ、羊乳/牛乳、半加熱圧搾) |
エミリア地方
【気候】
夏は非常に暑い。昼夜の温度さが少ない。
【土壌】
ポー川に近いところは沖積土壌。エミリア街道と平行に走る丘陵地帯は石灰土壌。
【主要ブドウ品種】
<白ブドウ>Pignoletto,Malvasia
<黒ブドウ>Lambrusco
【主要DOCG】
【Colli Bolognesi Classico Pignoletto】
フレッシュでかすかにリースリングを想起される白ワイン。
【主要DOC】
【Lambrusco di Sorbara】
ポー川に広がる平野で造られる。土壌は沖積土壌で、粘土、砂、小石が混ざる。色が薄い、ミネラルに富んだランブルスコ。
【Lambrusco Grasparossa di Castelvetro】
エミリア街道の南の石灰砂質土上の丘陵地帯。色が濃く、フルボディなランブルスコ
【Colli Piacentini】
マルヴァジアのアロマティックな白ワイン。甘口にも良いものがある。
【Colli di Parma】
砂質土上からできるアロマティックなマルヴァジア。
【Colli di Scandiano e di Canossa】
ソーヴィニヨン・ブランの良いワインができる。
【Colli Blognesi】
泥灰土から力強いワインができる。
ロマーニャ地方
【気候】
平野部は温暖。丘陵地帯はところにより冷涼。
【土壌】
平野部は沖積土壌。丘陵地帯は石灰土壌。
【主要ブドウ品種】
<白ブドウ>Albana,Trebbiano Romagnolo
<黒ブドウ>Sangiovese
【主要DOCG】
【Romagna Albana】
土壌は泥灰土、粘土砂質で夏は熱く乾燥している。もも、アプリコットのアロマを持つ、優しい味わいの白ワイン。
【主要DOC】
【Romagna Trebbiano】
平野部で造られるトレッビアーノはシンプル、爽やかなワインである。ブランデーの原料となったり、ヴェルモットのベースに使用されている。
【Romagna Sangiovese】
トスカーナのサンジョヴェーゼとは異なる個性を持つ。熟成すると素晴らしい深みとバランスを持ったワインになる。収量を抑えたものは、より力強いものになる。
(以上)
【2019/2020 日本ソムリエ協会教本】(日本ソムリエ協会)
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