本記事では、イタリア中部のうち「マルケ」「モリーゼ」「アブルッツォ」について、まとめていています。
以前は中部全体でまとめていたため、見づらい部分もあったかと思うので、いくつかの週に分けてまとめることにしました。
この記事で「マルケ」「アブルッツォ」「モリーゼ」3州の特徴、DOCG、DOCその他ポイントが分かるようになり、教本を読み返すことで理解、記憶が深まります。
イタリア中部各州のワイン
Marche
DOCG名 | タイプ | ぶどう品種・特徴他 |
---|---|---|
Vernaccia di Serrapetrona | 【赤(発)】 | ヴェルナッチャ・ネーラ。 辛口と甘口あり |
Conero | 【赤】 | モンテプルチアーノ |
Verdicchio dei Castelli di Jesi Riserva e Classico Riserva |
【白】 | ヴェルディッキオ85%以上、 クラシコあり |
Verdicchio di Matelica Riserva | 【白】 | ヴェルディッキオ |
Offida | 【赤】 【白】 |
赤:モンテプルチアーノ 白:ペコリーノ、パッセリーナ |
【特徴】
イタリア中部、アドリア海に面する。丘陵地帯でブドウが栽培されている。
【歴史】
アンコーナはギリシャ人の港であった。16世紀に教皇領となり、最終的にイタリア王国となった。
【文化・経済】
観光資源が豊富である。毎年夏にロッシーニ・オペラ・フェスティバルが開催される。
高度に専門化した中小企業が多い。服飾、靴、皮製品、家具など。漁業も重要な産業である。観光業も急速に成長している。
【気候】
亜大陸性気候+地中海性気候
【土壌】
北部:砂、粘土、泥土、石灰土壌、沖積土壌
中部:石灰土壌、砂、粘土
南部:石灰土壌、砂、粘土
【主要ブドウ品種】
<白ブドウ>
Verdicchio
→フレッシュなデイリーワインからフルボディの長期熟成ワインまで幅広く使われる。
Pecorino
→酸がしっかりしたワインとなる。
Passerina
→トロピカルフルーツを感じさせる華やかな香りとフレッシュな飲み口を持つ白ワインを生む。
Bianchello
→フレッシュで早飲みタイプのワインとなる。
<黒ブドウ>
Montepulciano
→濃厚でアルコール度数も高い力強い赤ワインを生む。
Sangiovese
→色は濃く無いルビー色。スミレ、チェリーの香り。酸とタンニンがしっかりしている。
Vernaccia Nera
→スパイシーでフレッシュな赤ワインとなる。
Lacrima
→赤い果実やバラのアロマを持つ。
【地元料理】
分類 | 料 理 |
前菜 | Olive Ascolane(大粒のグリーンオリーブにミンチ肉を 詰めてフライにしたもの) |
パスタ・スープ | Vincisgrassi(生ハム、パンチェッタ、鶏の内臓などの ソースを入れた濃厚なラザニア) |
魚介料理 |
Brodetto di Pesce all’ Anconetana |
肉料理 | Coniglio in Porchetta alla Marchigiana (詰め物をした兎のオーブン焼き) |
チーズ | Casciotta d’Urbino (DOPチーズ、羊乳主体+牛乳、非加熱圧搾) Formaggio di Fossa di Sogliano |
北部(ペサロ・エ・ウルビーノ県)
【気候】
亜大陸性気候+地中海性気候
【土壌】
砂、粘土、泥土、石灰土壌、沖積土壌
【主要ブドウ品種】
<白ブドウ>Bianchello,Verdicchio,Trebbiano Toscano
<黒ブドウ>Sangiovese,Montepulciano
【主要DOC】
【Bianchello del Metauro】
シトラス系の風味。フレッシュな白ワイン。
【Colli Pesaresi】
サンジョヴェーゼ中心。ロゼ、白も生産している。
中部(アンコーナ/マチェラータ)
【気候】
地中海性気候。アペニン山脈に近いところは冷涼
【土壌】
石灰土壌が中心
【主要ブドウ品種】
<白ブドウ>Verdicchio
<黒ブドウ>Montepulciano,Sangiovese,Vernaccia Nera,Lacrima
【主要DOCG】
【Vernaccia di Serrapetrona】
ヴェルナッチャネーラ主体のワイン。発泡性の赤ワインで辛口から甘口まで幅広いタイプがある。
【Conero】
モンテプルチアーノ85%以上に、サンジョヴェーゼがブレンドされる。
【Castelli di Jesi Verdicchio riserva】
長期熟成向きなヴェルディッキオで複雑な香りや味わいをもつ。
【Verdicchio di Matelica Riserva】
若いときは閉じているが、長期熟成により真価を発揮する。
【主要DOC】
【Verdicchio dei Castelli di Jesi】
白ワインは1950年代アンフォラ型のボトルで世界的に大成功する。1980年代からは通常のボトル。ヴェルディッキオはさんがしっかりした早飲みタイプ。フレッシュでシンプルなスタイルである。
【Verdicchio di Matelica】
マチリカ渓谷で日夜の寒暖差が大きく、酸が強く、ミネラル分あふれるワインができる。長期熟成が必要となる。
【Rosso Conero】
モンテプルチアーノ85%以上
南部(フェルモ/アスコリ・ピチェーノ県)
【気候】
地中海性気候。アペニン山脈に近いところは冷涼
【土壌】
石灰土壌が中心
【主要ブドウ品種】
<白ブドウ>Pecorino,Passerina
<黒ブドウ>Montepulciano,Sangiovese
【主要DOC】
【Rosso Piceno】
モンテプルチアーノ、サンジョヴェーゼがベース。ロッソコーネロより優しい味わい。
Abruzzo
DOCG名 | タイプ | ぶどう品種・特徴他 |
---|---|---|
Montepulciano d’Abruzzo Colline Teramane | 【赤】 | モンテプルチアーノ主体 |
【特徴】
イタリア半島中部に位置し、アドリア海に面する。気候環境など恵まれているため、いいブドウがそれなりに収穫できる地である。近年品質も向上傾向である。最近は固有品種であるペコリーノやパッセリーナで造られて白ワインにも注目が集まっている。
【歴史】
ゲルマン大移動後はスポレート公国、ノルマンの支配を経て、ナポリ王国の両隣り、1860年イタリア王国に統一された。
【文化・経済】
南部の影響が強い。やや閉鎖的だが、親切な人が多い。農業、畜産、漁業が盛んである。近年、スキーや海水浴などの観光業も伸びてきている。
【気候】
地中海性気候。内陸部は標高も高くなり冷涼である。
【主要ブドウ品種】
<白ブドウ>
Trebbiano Abruzzese
→軽く、爽やかなワインとなる。
Pecorino
→マルケ、アブルッツォで栽培。酸が堅固な力強いワインになる。
Passerina
→柑橘類、トロピカルフルーツを感じる華やかな香りとフレッシュな飲み口を持つ白ワインとなる。
Tribbiano Toscano
→フレッシュな早飲みタイプのワインとなる。
<黒ブドウ>
Montepulciano
→濃厚でアルコール度数も高い力強い赤ワインを生む。
【主要DOCG】
【Montepulciano d’Abruzzo Colline Teramane
/モンテプルチアーノ・ダブルッツォ・コッリーネ・テラマーネ】
【Montepulciano d’Abruzzo Colline Teramane】
テラモ丘陵地帯で作られる力強いモンテプルチアーノ。2003年にDOCGへ昇格した。
【Terre Tollesi/Tullum】
【主要DOC】
【Montepulciano d’Abruzzo】
果実味豊かで、タンニンも豊富。早飲みから熟成タイプまで
【地元料理】
分類 | 料 理 |
前菜 | Mortadella di Campotosto(真ん中に四角柱形のラードが入っているサラミ) Ventricina(胡椒とオレンジの皮で味付けされた豚肉のサラミ) |
パスタ・スープ | Maccheroni alla Chitarra(鉄線を張ったギターのような機械でカットする角の立ったパスタを牛、豚、羊のミックスしたミートソースであえた料理) |
魚介料理 | Brodetto di pesce alla Pescarese(ペスカーラ風魚介のスープ) |
肉料理 | Porchetta(豚の丸焼き) Pecora alla Cottora(大きな銅鍋でスパイスとハーブをきかせて長時間煮込む羊肉料理) |
食材 | Zafferano(サフラン) |
Molise
【特徴】
イタリア半島中央部。アブルッツォから分離し、作られた州。ワインは主に地元で消費されている。固有品種に黒ブドウのティンティリアがあり、濃い紫いろをしたプラムのアロマを持つしっかりとした赤ワインを生む。
【歴史】
いろいろな国の支配を受けてきて、イタリア王国に統一された。
【文化・経済】
伝統を重んじる保守的な人たちが多い。
【気候】
亜大陸性気候
【土壌】
石灰粘土質が中心
【主要ブドウ品種】
<白ブドウ>
Tribbiano Toscano
→フレッシュで早飲みタイプのワインとなる。
Pecorino
→酸がしっかりしたワインを生む。
Passerina
→柑橘系、トロピカルフルーツのアロマ、フレッシュな飲み口を持つワインとなる。
Bombino Bianco
→生産量を押さえると堅固な白ワインを生む。
<黒ブドウ>
Tintilia
→果実味がしっかりしていて、タンニンもしっかりしてスパイシーな赤ワインを生む。
Montepulciano
→ 濃厚でアルコール度数も高い力強い赤ワインを生む。
Sangiovese
→色は濃く無いルビー色。スミレ、チェリーの香り。酸とタンニンがしっかりしている。
Aglianico
→色が濃く、タンニンも強い、フルボディのワインとなる。
【主要DOC】
【Tintila del Molise】
ティンティリア、荒々しいところのある個性ある品種。
【地元料理】
分類 | 料 理 |
パスタ・スープ | Tacconi(四角いパスタにミートソースをかけた料理) |
肉料理 | Mazzrell d’agnello(羊の内臓をスパイスで煮込んだ料理) |
(以上)
【2019/2020 日本ソムリエ協会教本】(日本ソムリエ協会)
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