オーストリアはドイツに近いワイン文化で、ドイツ同様に糖度による品質規定があります。
ワイン法、産地の特徴などを明確に整理しておきたいと思います。
エクセレンスの試験では、東欧各国の出題もしっかりあるので、ここで基本事項整理して、今後もう少し詳しい情報を調べていこうと思っています。
学習のポイント
- 主要ワイン生産地の位置の把握
- ワイン法、品質分類の整理
- DACを覚える(過去、出題されているため)
オーストリアのワインの歴史
- 紀元前700年 :ブドウ栽培始まる
- バイエルン公ハインリッヒ2世が居城をウィーンに定め、ブドウ栽培が活発になる
- 15~16世紀 : 現在の3倍のブドウ栽培面積
- 1526年 : ブルゲンラントで最初のデザートワイン生産
- 1789年 : ホイリゲ開始(ワイン農家がワインと食事を提供できる許可が与えられる)
地理・気候条件
地理(地図)
ハンガリー、スロヴァキアに接する東部にワイン産地が広がっています。
気候条件
- 大陸性気候
- ドイツより温暖。そのためワインはしっかりした辛口ワインが生産される
オーストリアのワイン法
KMW:オーストリアで使用される糖度の単位
分 類 | 説 明 |
地理的表示なしワイン | 国内で収穫されたブドウを使用 収量:6750ℓ/haまたは9000kg/ha以下 KMW:最低10.7° アルコール:最低8.5% 総酸量:4g/ℓ(酒石酸換算) ベルクワイン、ホイリゲ(ビンテージ必須)の 名称は使用可能 |
ggA 地理的表示ワイン |
国内の単一栽培地で収穫されたブドウを使用 収量:6750ℓ/haまたは9000kg/ha以下 KMW:最低14° アルコール:最低8.5% 総酸量:4g/ℓ(酒石酸換算) |
gU 原産地呼称保護ワイン |
クヴァリテーツヴァイン、カビネット、 DAC、プラディカーツヴァインの4つが属し、 合格したワインは国家検査番号が記載される |
【原産地呼称保護ワインの分類】
分 類 | 説 明 |
クヴァリテーツヴァイン | 国内の単一栽培地で収穫されたブドウを使用 ブドウは36の認可品種のみ 収量:6750ℓ/haまたは9000kg/ha以下 KMW:最低15° アルコール:最低9% 総酸量:4g/ℓ(酒石酸換算) |
カビネット | クヴァリテーツヴァインの条件 + KMW:最低15° アルコール:最低9% 残糖:最大9g/ℓ 補糖不可 総酸量:4g/ℓ(酒石酸換算) |
DAC | 13の限定的生産地が定められる |
プラディカーツヴァイン ↓ | 以下の6つのカテゴリーに分類される |
①シュペートレーゼ | 完全に熟したブドウを使用 最低糖度:19°KMW 国家検査番号取得のために収穫翌年1月1日より前に送付不可 |
②アウスレーゼ | 完全に熟したブドウを選果し使用 最低糖度:21°KMW 国家検査番号取得のために収穫翌年1月1日より前に送付不可 |
③ベーレンアウスレーゼ | 過熟、貴腐ブドウを使用 最低糖度:25°KMW 国家検査番号取得のために収穫翌年4月1日より前に送付不可 |
④アイスヴァイン | 収穫時、凍結したブドウを使用 最低糖度:25°KMW 国家検査番号取得のために収穫翌年4月1日より前に送付不可 |
⑤シュトローヴァイン /シルフヴァイン |
完熟ブドウを3か月乾燥させたブドウを使用 最低糖度:25°KMW 国家検査番号取得のために収穫翌年4月1日より前に送付不可 |
⑥トロッケンベーレン アウスレーゼ |
貴腐化したブドウまたは乾燥させたブドウを使用 最低糖度:30°KMW 国家検査番号取得のために収穫翌年4月1日より前に送付不可 |
【その他】
表記の種類 | 説 明 |
Ried (リード) |
Reidは「畑」という意味。 畑名の前に畑という意味のRiedと表記し、生産者が独自に創案した ワイン名と畑名を消費者が混同することを防ぐ。 |
主要ブドウ品種
No | 白ブドウ | 黒ブドウ |
---|---|---|
1 | グリューナー・ヴェルトリーナー | ブラウアー・ヴァイツゲルト |
2 | ヴェルシュリースリング | ブラウフレンキッシュ |
3 | リースリング | ブラウアー・ポルトゥギーザー |
4 | ピノブラン | ブラウブルガー |
5 | ミュラートゥルガウ | ザンクト・ラウレント |
6 | シャルドネ | メルロ |
主要ワイン産地
ニーダーエスタライヒ州
【概要】
白ぶどう: グリューナー・ヴェルトリーナー、リースリング
黒ぶどう: ツヴァイゲルト
タイプ : 白、赤
特 徴 :
【DAC】
産地名 | 特記事項(出題の可能性低) |
クレムスタール | 白ぶどう: グリューナー・ヴェルトリーナー、リースリング 黒ぶどう: Alc% :クラシック:最低12%/レゼルヴェ:最低13% 残 糖:辛口 特 徴 :フレッシュでアロマティックな仕上がりのワイン。樽香や貴腐は不可。レゼルヴェはよりふくよかなワインで少しの樽香や貴腐は可。 |
カンプタール | 白ぶどう: グリューナー・ヴェルトリーナー、リースリング 黒ぶどう: Alc% :クラシック:最低12%/レゼルヴェ:最低13% 残 糖:辛口 特 徴 :フレッシュでアロマティックな仕上がりのワイン。樽香や貴腐は不可。レゼルヴェはよりふくよかなワインで少しの樽香や貴腐は可。 |
トライゼンタール | 白ぶどう: グリューナー・ヴェルトリーナー、リースリング 黒ぶどう: Alc% :クラシック:最低12%/レゼルヴェ:最低13% 残 糖:辛口 特 徴 :フレッシュでアロマティックな仕上がりのワイン。樽香や貴腐は不可。 |
ヴァインフィアテル | 白ぶどう: グリューナー・ヴェルトリーナー 黒ぶどう: - Alc% :クラシック:最低12%/レゼルヴェ:最低13% 残 糖:クラシック:最大6g/ℓ/レゼルヴェ:辛口 特 徴 :フレッシュでアロマティックな仕上がりのワイン。樽香や貴腐は不可。レゼルヴェはよりふくよかなワインで少しの樽香や貴腐は可。 |
カルヌントゥム | ※準備中 |
<その他限定生産地>
【ヴァッハウ】
2020年にDACに認定されましたので、来年度の教本にはDACとして開設されるかと思います。
かなり出題確率の高いトピックだと思います。
ユネスコ遺産に登録された美しいブドウ畑が有名です。冷涼な気候のもと、高品質リースリング生産されています。
急斜面の段々畑が有名で、グリューナーヴェルトリーナーが主に栽培されています。
ヴァッハウでは、高品質をキープしていくために1983年に「Vinea Wachau Nobilis Districtus協会」を設立しました。この協会のもと以下の3つのクラスに分類されます。
Steinfeder (シュタインフェーダー) |
・きゃしゃな野菜になぞられて命名 ・最も軽いタイプの白ワイン |
Federspiel (フェーダーシュピール) |
・鷹狩りの道具にちなんで命名 ・ヴァッハウの基準となるクラス |
Smaragd (スマクラト) |
・エメラルド色のトカゲに由来する名称 ・シュペトレーゼ級のブドウから作られる ・18.2KMW以上、Alc12.5以上 ・最高クラスのワイン |
ブルゲンラント州
【概要】
白ぶどう: ヴェルシュリースリング、シャルドネ、ピノブラン
黒ぶどう: ブラウフランキッシュ、ツヴァイゲルト、ザンクト・ラウレント
タイプ : 白、赤
特 徴 :比較的温暖なエリア/赤ワイン中心/
【DAC】
産地名 | 特記事項 |
ノイジートラーゼ | 白ぶどう: 黒ぶどう: ツヴァイゲルト Alc% :クラシック:最低12%/レゼルヴェ:最低13% 残 糖:最大4g/ℓ 特 徴 :フルーティーでスパイシー/伝統的なオーク樽熟成 |
ライタベルク | 白ぶどう: ピノブラン、シャルドネ、ノイブルガー、グリューナー・ヴェルトリーナー 黒ぶどう: ブラウフランキッシュ最低85%、ザンクト・ラウレント Alc% :最低12.5% 残 糖 :白は辛口/赤は2.5g/ℓ未満 特 徴 :フルーティーでスパイシー/樽風味不可 |
ロザリア | 白ぶどう: - 黒ぶどう: ブラウフランキッシュ、ツヴァイゲルト Alc% :12-13% 残 糖 :最大4g/ℓ 特 徴 :フルーティーでスパイシー、ボリューム感あり/ステンレスまたは樽で熟成必須 |
ミッテルブルゲンラント | 白ぶどう: - 黒ぶどう: ブラウフランキッシュ、ツヴァイゲルト Alc% :クラシックは12-13%、単一畑は13-13.5%/レゼルヴェ:最低13% 残 糖 :最大2.5g/ℓ 特 徴 :フルーティーでスパイシー/ステンレスまたは樽で熟成 |
アイゼンベルク | 白ぶどう: - 黒ぶどう: ブラウフランキッシュ Alc% :クラシック:最低12%/レゼルヴェ:最低13% 残 糖 :最大4g/ℓ 特 徴 :フルーティーでスパイシー/樽風味ほぼなし |
ウィーン州
【概要】
白ぶどう: ゲミシュター・サッツ、リースリング、ピノブラン、シャルドネ
黒ぶどう: ピノノワール
タイプ : 白、赤
特 徴 :比較的温暖なエリアで、しっかりした味わいのワインが造られる。
【DAC】
産地名 | 特記事項 |
ウィーン (ヴィーナー・ゲミシュター ・サッツ) |
品 種 : 3つ以上の認定品種の混植混醸/一品種最大50%/3番目の品種10%以上グリューナー・ヴェルトリーナー、リースリング Alc% :12.5%/単一畑:最低12.5% 特 徴 :辛口で、樽の風味は強くない |
シュタイヤ―マルク州
【概要】
白ぶどう: ヴェルシュリースリング、シャルドネ、グラウブルグンダー、リースリング
黒ぶどう: ブラウアー・ヴィルトバッハー
タイプ : 白、赤、ロゼ
特 徴 :シュターイヤーマルクは、現在進行中のワイン規定をいち早く取り入れている。3段階に分類され①リーデンヴァイン(単一畑ワイン)②オーツヴァイン(単一村名ワイン)③ゲビーツヴァイン(地域名ワイン)
【DAC】
産地名 | 特記事項 |
ヴルカンラント ・シュタイヤーマルク |
白ぶどう: ヴェルシュリースリング、シャルドネ、ピノブラン 黒ぶどう: ー Alc% : ー 残 糖: ー 特 徴 : ー |
ズュート ・シュタイヤーマルク |
白ぶどう: ソーヴィニヨンブラン、トラミーナー、ヴェルシュリースリング 黒ぶどう: ー Alc% : ー 残 糖: ー 特 徴 :ソーヴィニヨンブランの産地として有名/ワインツーリズムで有名/ |
ヴェスト ・シュタイヤーマルク |
白ぶどう: 黒ぶどう: ブラウアー・ヴィルトバッハーのロゼ Alc% :クラシック:11-12%/シルヒャーラントDACは最低12% 残 糖 :辛口 特 徴 :樽の味わいは不可/リートの表示必須/力強く、凝縮感のある味わいが必要 |
オーストリアのスパークリングワイン
【オーストリアのスパークリングワインの分類】
表記の種類 | 説 明 |
Osterriechischer Sect | オーストリアのスパークリングワイン 以下の3つの品質分類規定がある |
【Klassik】 | 単一州での収穫 収穫翌年10月22日以降発売可能 最低9か月、瓶内で滓とともに熟成 製造方法の制限なし 白、ロゼ、赤が可能 原産地名表記は州名のみ ヴィンテージ表記可 |
【Reserve】 | 単一州での収穫/ブドウは手摘み 全房圧搾/搾汁率60% 瓶内二次発酵 収穫2年後10月22日以降発売可能 最低18か月、瓶内で滓とともに熟成 白、ロゼが可能(ロゼの赤と白のブレンドは不可) 原産地名表記は州名のみ ヴィンテージ表記可 ドザージュは12g以下 |
【Grobe Reserve】 | 単一自治体での収穫/ブドウは手摘み 収穫かご内でのブドウの高さは35cm以下 バスケット/空気プレス機で圧搾 全房圧搾/搾汁率50% 瓶内二次発酵 収穫3年後10月22日以降発売可能 最低30か月、瓶内で滓とともに熟成 白、ロゼが可能(ロゼの赤と白のブレンドは不可) リート名表記可 ヴィンテージ表記可 ドザージュは12g以下 アルコール度数制限なし |
最後に
オーストリアのワインを飲んだことはありませんが、生産量の30%を占めるグリューナーヴェルトリーナーを一度飲んでみたくなりました。
自分が勉強したときは、DACまで覚えませんでしたが、近年の過去問をチェックしていると、出題されていました。主要4地区のDACを覚える必要がありますので、大変ですが、頑張りましょう!
別途、過去問練習問題などチェックして、押さえるべきポイントを精査していきます。
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