今までイタリアは北部、中部、南部と3つにエリアを分けていましたが、ボリュームが多すぎ、見にくかったかもしれないので、もう少し小分けにして記事を見直し、詳細な情報を盛り込みました。
本記事では、イタリア北部のうち最重要産地のひとつ「ピエモンテ」について、まとめていています。
この記事で「ピエモンテ」の特徴、DOCG、DOCその他ポイントが分かるようになり、教本を読み返すことで理解、記憶が深まります。
イタリア北部各州のワイン
Piemonte
※ 代表的なDOCGがどこにあるか、チェックしておきましょう!
※ Terre Alfiere , Moscato Canelliは未反映
DOCG名 | タイプ | ブドウ品種・特徴他 |
---|---|---|
Gattinara | 【赤】 | ネッビオーロ、 リゼルヴァ(Alc13%以上、4年熟成) |
Ghemme | 【赤】 | ネッビオーロ リゼルヴァ(Alc12.5%以上、4年熟成) |
Roero | 【赤】 【白・発】 |
赤 : ネッビオーロ 白、発(白) : アルネイス リセルヴァは32か月熟成 |
Barolo | 【赤】 | ネッビオーロ 「ワインの王であり、王のワインである」 土壌:トルトニアーノ(青い灰泥炭)他 熟成期間36か月以上、リセルヴァは60か月以上 |
Barbaresco | 【赤】 | ネッビオーロ、「ピエモンテの女王」 熟成期間26か月以上、リセルヴァは50か月以上 |
Asti |
【白(甘)】 |
モスカートビアンコ |
Brachetto d’Acqui | 【赤】 【発(赤)】 |
ブラケット←ほとんどが甘口のスプマンテ パッシートもあり |
Gavi | 【白】 【発(白)】 |
コルテーゼ、各種発泡ワインあり |
Dogliani | 【赤】 | ドルチェット、スペリオーレあり |
Barbera del Monferrato Superiore |
【赤】 | バルベーラ、長熟タイプ |
Dolcetto di Ovada Superiore |
【赤】 | ドルチェット、若の実から |
Barbera d’Asti | 【赤】 | バルベーラ、スペリオーレあり |
Dolcetto di Diano d’Alba |
【赤】 | ドルチェット、スペリオーレあり |
Erbaluce di Caluso | 【白】 【発(白)】 |
エルバルーチェ、パシートあり |
Ruche’ di Castagnole Monferrato | 【赤】 | ルケ、スペリオーレあり |
Alta Langa | 【発(ロゼ】 【発(白)】 |
ピノネーロ、シャルドネネ90%以上 瓶内二次発酵、リセルヴァあり |
Nizza | 【赤】 | 2014年認定 。バルベーラ100% |
Moscato di Canelli | 【発(白)】 | モスカートビアンコ |
Teere Alfiere | 【白】 【赤】 |
アルネイス、ネッビオーロ |
【特徴】
地名は山の麓という意味。歴史的影響でフランスの影響を強く受ける。トスカーナに並ぶ高級ワイン産地。
ネッビオーロが有名であり、イタリアでは、珍しい単一畑の文化がある地域である。
【歴史】
古代ローマ領となり、トリノなどの町ができてから繁栄が始まった。長らくはサヴォイア家の支配を受けてきた。
サヴォイア家が中心となりイタリア統一運動を行い、1861年にイタリア王国が成立した。
イタリア王国初代首相のカミッロ・ガブール伯爵がフランス人醸造家ルイ・ウダールを招き、それまで甘口だったバローロを長期熟成辛口ワインとして生まれ変わらせた。
【文化・経済】
各国の文化が交わる地域で常に文化的に栄えてきた州である。ピエモンテの人たちは派手なことが嫌いで、控えめ、まじめな働き者が多い。
料理やワインはフランスの影響を受け、特に優れている。スローフード運動はここで起こった。外国人向け料理学校ICIFでは多くの日本人も学んでいる。
トリノにはフィアットなどがあり、企業城下町である。その他チョコレートなどの食品産業、情報産業、金融関係も重要な産業である。2014年にはピエモンテのブドウ畑が世界遺産に登録された。
農業も地理的好条件により、盛んである。
【気候】
大陸性気候
【土壌】
ノヴァ―ラ : 氷堆石、沖積土壌、火山性土壌
アスティ、アレッサンドリア : 粘土石灰質土壌、砂が多いところもある
クーネオ : 泥灰土、凝灰岩のMix
バローロ : トルトニアーノ(青い泥灰土+砂)、エルヴェティアーノ
・Tortoniano:産地西側地区は青い泥灰土・トルトニアーノ。砂混じり、マグネシウム、マンガンが豊富。香り高く、優美で比較的早飲みの女性的バローロ
・Elveziano:東側は鉄分が多い、赤茶色をした泥灰土で厳格でスパイシーな男性的なバローロとなる。
【主要ブドウ品種】
<白ブドウ>
Cortese
→若飲みのシンプルなワイン
Arneis
→食用ブドウとしても好まれる。
Moscato Bianco
→アロマティックな白ブドウ。甘口スパークリングワインに適している。
<黒ブドウ>
Nebbiolo
→もっとも高貴な黒ブドウの一つ。アントシアニンが少なく、タンニンが豊か。
Barvera
→地元で人気の品種。ストレートな果実味、酸が多い。
Dolcetto
→酸が少なく、タンニンが多い。
Brachetto
→アロマティックな黒ブドウ
Grignolino
→色が薄く、タンニンが強い。
【地元料理】
分類 | 料 理 |
前菜 | Carne Cruda Battuta(ピエモンテ牛の生肉を刻んだものに レモン、塩をかけたもの) Peperone Ripieno(ピーマンにツナ、ケッパーなどを 詰めたもの) Vitello Tonnato(仔牛の薄切りにツナマヨのソースを 添えたもの) Bagna Cauda(オリーブオイルにアンチョビ、ニンニクを 入れて火にかけながら、野菜をそのソースにつけて食べる料理) Agnolotti del Pilin(肉を詰めた小ぶりのラヴォオリ) |
パスタ・スープ | Tajarin(卵入り手打ち細麺で、卵黄の量が多い) |
魚介料理 | Carpe in Carpione(鯉の南蛮漬け) |
肉料理 | Brasato(牛肉の塊を野菜とともにワインで マリネしてから長時間に込んだもの) |
チーズ | Castelmagno(DOPチーズ、牛乳主体、半加熱圧搾) Bra(DOPチーズ、牛乳主体、半加熱圧搾) Raschera(DOPチーズ、牛乳主体、半加熱圧搾) Robiola di Roccaverano(DOPチーズ、山羊乳50%以上 、牛乳、羊乳混入、ソフト) Gorgonzola(DOPチーズ、牛乳、青かび、ノヴァ―ラ県) |
ノヴァーラ/ヴェルチェッリ/トリノ県
【気候】
大陸性気候。アルプスからの乾燥した冷涼な風がブドウによい影響を与える。
【主要ブドウ品種】
<白ブドウ> Elbaluce
<黒ブドウ>Nebbiolo,Vespolina,Bonarda di Gattinara
【主要DOCG】
【Gattinara】
ネッビオーロ主体。北ピエモンテでもっとも有名であある。
長期熟成能力を持つ、辛口赤ワイン。
肉付きがよく、深みがあり、力強い。タンニン、酸共に豊富。
【Ghemme】
ネッビオーロ主体の辛口赤ワイン。ガッティナーラより女性的で優美なワイン。
【主要DOC】
【Carema】
トリノ県の赤ワイン。バラ、スミレ、スパイス、タバコなどの複雑な香りがあり、味わいはフレッシュ。
アスティ/アレッサンドリア県
【気候】
大陸性気候だが、比較的温暖。
【主要ブドウ品種】
<白ブドウ>Moscato Bicanco,Cortee,Timorasso
<黒ブドウ>Barbera,Grignolino,Ruchè,Freisa
【主要DOCG】
【Asti】
香り高い甘口ワイン。スパークリング、微発砲、スティルのタイプがある。スプマンテはほとんどシャルマ方式。イタリアでは定番の乾杯用ワイン。
【Brachetto d’Acqui o Acqui】
微発泡性の甘口赤ワイン。バラ、すみれ、麝香日かいアロマを有する。
【Gavi】
ピエモンテでは珍しい白ワイン。コルテーゼを完璧に熟成させる。火打ち石、はちみつ、ハーブの香りがある。魚介類と相性がよい。
【主要DOC】
【Freisa d’Asti】
昔、フランボワーズやバラのアロマが特徴で人気であったが、近年は辛口のフリッツァンテタイプが人気である。
【Grignoline d’Asti】
フラワリーで繊細な香りを持つ。タンニンが非常に強いためマセラシオン期間は短い。色はかなり薄い。
【Monferrato】
様々なタイプのワインを含む。
クーネオ県
【気候】
アスティ県他よりやや冷涼。タナロ川の影響を受ける谷底は温度が低く、湿気が高い。
【土壌】
バローロ : トルトニアーノ(青い泥灰土+砂)、エルヴェチアーノ
・Tortoniano(産地西側地区は青い泥灰土・トルトニアーノ。砂混じり、マグネシウム、マンガンが豊富。香り高く、優美で比較的早飲みの女性的バローロ)
・Elveziano(東側は鉄分が多い、赤茶色をした泥灰土で厳格でスパイシーな男性的なバローロとなる。)
【主要ブドウ品種】
<白ブドウ> Arneis,Favorita
<黒ブドウ> Nebbiolo,Barbera,Dolcetto
【主要DOCG】
【Roero】
赤のネッビオーロと白のアルネイスで作られるワインも含まれる。
バローロより果実味をもち、早飲みで楽しめる。
【Barolo】
「ワインの王」と称される偉大なワイン。ネッビオーロの力強さ、厳格さ、深遠さが特徴としてでる。トルトニアーノと呼ばれる青い泥灰土の土壌で栽培される。
【Barbaresco】
バローロ並び称される、高貴なワイン。バローロの弟分と称される。
【Asti】
香り高い甘口ワイン。スパークリング、微発砲、スティルのタイプがある。スプマンテはほとんどシャルマ方式。イタリアでは定番の乾杯用ワイン。
【主要DOC】
【Barvera d’Alba】
バルベーラ・ダスティより色は濃く、濃厚な果実味が特徴。早のみでも楽しめる。
【Dolcetto d’Alba】
デイリーワインのチャンピオン。濃い紫、若々しくフルーティーでタンニンもしっかりしている。後味の苦味が食事に合う。
【Langhe】
クーネオ県の幅広いタイプのワイン
【Nebbiolo d’Alba】
バローロ、バルバレスコ以外のアルバ周辺で造られたネッビオーロのワイン。果実味があり、フレッシュで親しみやすいワインである。
Barolo/Barbarescoの各村について
<Barolo>
La Morra
香り高く、優美でバランスの良い比較的若飲みのバローロ(畑:Brunate,Cerequio)
Barolo
最も調和のとれた典雅なバローロ(畑:Cannubi)
Castiglione Falletto
独自の土っぽさを持つバローロ(畑:Villero,Monprivato,Rocche)
Serralunga d’Alba
最も厳格で長期熟成能力の高いバローロ(畑:Vigna、Rionda,Lazzarito,Parafada,Gabutti)
Monforte d’Alba
パワフルで力強いバローロ(畑:Ginestra,Moscani)
<Barbaresco>
Barbaresco
純粋な果実味を持つ調和のとれたバルバレスコ(畑:Rabajà,Asili,Martinenga)
Neive
柑橘類、スパイスのトーンを持つミネラル分豊富なバルバレスコ(畑:Santo、Stefano,Gallina,Serraboella,Bricco)
Treiso
知名度は劣るが、ミネラル分あふれるバルバレスコ(畑:Pajoré,Rizzi)
(以上)
【2019/2020 日本ソムリエ協会教本】(日本ソムリエ協会)
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